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マネジメントの現場から

2014年1月20日(月)  サイトビジット(清水プロジェクト)報告

 平成24年度に採択された清水プロジェクト「高齢者ケアにおける意思決定を支える文化の創成」のサイトビジットを実施しました(於:富山県砺波市)。

 清水プロジェクトでは、高齢者が住み慣れた地域で最期まで自分らしく生きることが妨げられている問題を解決したいと考えています。そこで、(1)本人・家族の意思決定プロセスを支援する体制の不備、(2)最期の生のあり方や医療の役割についての理解不足、(3)家族の介護負担軽減のための社会的ケア導入に対する否定的な意識、といった生活者、市民の意識、考え方に関して取り組んでいます。

 今回のサイトビジットでは、まずプロジェクトの取り組みフィールドのひとつとなっている砺波市庄東地区に行き、散居村の様子を拝見しました。家々が点在しているなかでは、医療施設はあるものの医師が常駐しているわけではなかったり、高齢化も進行しており、自分で医療機関に行けなかったりするという問題があり、終末期の看取りに対して問題意識を抱いていることを伺いました。

 医療法人社団ナラティブホームが運営している『ものがたりの郷』は、こういった問題を地域で解決するために、高齢者を専門とした賃貸住宅で、必要な時に治療や介護を受けられる施設として運営されています。佐藤伸彦医師(理事長)からは、ものがたりの郷での看取りの実践について、病院・施設でも在宅でもなく第3の終の住処として機能する場所の重要性を伺いました。

 さらに、プロジェクトの方々から進捗状況を伺いました。現在は、高齢者ケアと終末期医療に関して、個別インタビュー、質問紙調査、参与観察から、高齢者ご本人とご家族の意思決定のプロセスを収集していらっしゃいます。インタビューや調査から、意思決定プロセスや最期の生のあり方、社会的ケアの導入に関する意識は、非常に多様ではあるものの共通点が見出される可能性をお話しいただきました。

 その後は、第6回ものがたり在宅塾での佐藤医師による『何所で最期を迎えるのかを選べる地域文化の創成』をテーマとする講座に参加しました。地域の方や、以前にナラティブホームを利用した方のご家族などが参加しているとのことで、19時からという遅めのスタートにも関わらず、80名近い方が熱心に佐藤医師の話を聞いていらっしゃる様子から、多くの方が関心を持っていることが伝わってきました。

 今回のサイトビジットでは、高齢者の終末期における意思決定のあり方と、そのプロセスに関する研究の重要さを改めて認識しました。清水プロジェクトが開発を進める「包括的・継時的意思決定プロセスノート」への期待がますます高まりました。


砺波市の庄東地区にある農家は、家を代々引き継いできたカイニョと呼ばれる屋敷林で囲み、家を風雨や吹雪から守り、冬の寒さや夏の日差しを避けています。

ものがたり診療所庄東と同じ屋根の下にあるぽぴー村にもお邪魔しました。古民家を改装して使っており、とても暖かな雰囲気でした。

ナラティブホームでは、佐藤医師からナラティブホームのシステムも含めてお話を伺いました。

ナラティブホームと併設されているものがたりの郷の一部屋です。1LDK9畳の広さがありますので、家族とも過ごすことができます。

水岡研究員から、プロジェクトの進捗を伺いました。

ものがたり在宅塾の様子です。地域の方を中心に、80名近い方が参加しており、関心の高さがわかります。



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