トピックス
米国科学振興協会(AAAS)2023年次大会にてセッションを開催
米国科学振興協会(AAAS)が主催し、科学・教育・政策分野の関係者が科学と社会について議論するオープンフォーラムAAAS年次大会が2023年3月2日から5日にかけて米国ワシントンD.C.で開催されました。コロナ禍を経て3年ぶりに実地開催された同大会では、全体テーマ“Science for Humanity”のもと、基調講演や科学セッション、ワークショップ、展示など科学と政策、社会に関する約180の対話イベントが行われました。
JSTは「Just system transitions in response to crises」と題したセッションを主催し、日米の有識者3名が登壇するパネルで危機や新たな社会課題によってもたらされた社会の変化に研究開発がどのように対処してきたかを振り返りながら、科学が社会の公正なシステム移行においてどのように責任ある役割を果たすことができるかを議論しました。本セッションでは蟹江憲史教授(慶應義塾大学)が進行を務め、近年の自然・人為的災害が「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に与えている影響と、SDGsの進展を効果的に進める上で「科学-政策-社会インターフェース」の強化が国際的に求められている現状を紹介しました。JST橋本和仁理事長は、東日本大震災に際したファンディング機関や科学者の対応を振り返り、社会の公正な移行を触媒役として実現しうる科学者への期待を述べました。また、米国国立科学財団(NSF) Sethuraman Panchanathan長官からは、危機の経験を学びとし、新たなイノベーションと才能育成を統合的に進める必要性について、米国競争力協議会(CoC)Deborah L. Wince-Smith理事長兼CEOからは産業やビジネス部門の観点から持続的な経済発展と危機管理に「地域発のイノベーション」が有益である等、それぞれの視点が提供されました。パネルディスカッションでは、科学者がエビデンスを提供するのみならず「公正なビジョン」を持ち企業や市民社会と協働することや、その際のコミュニケーションのしかたが重要であること、これらの視点を涵養するために国際的な協力が求められると指摘されました。
左から蟹江教授、Wince-Smith理事長兼CEO、橋本理事長、Panchanathan長官