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世界科学フォーラム(WSF)2022にて日本学術会議若手アカデミーとセッションを共催

未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化

https://www.jst.go.jp/sis/

科学と社会とのあるべき相互関係や人類が直面するグローバルな課題への科学の役割について議論を交わす隔年の国際会議、「世界科学フォーラム」(WSF)が2022年12月6日~9日、南アフリカのケープタウンで開催されました。JSTは日本学術会議若手アカデミー(YAJ)とセッションを共催し、知識生産や利益の分配における格差、また公共善につながる科学のエコシステムをテーマに議論を掘り下げました。

セッションには国際的に活躍する若手有識者が登壇し、科学技術分野において知識の平等な生産や分配「分配的正義」の議論が求められていることや、危機時に容易に拡大化しうる学術的卓越性の地域格差に科学者が直面しているという切実な問題が指摘されました。他方、このような知識生産や知識から生まれる利益の分配をめぐる格差克服に向け、科学者が地域コミュニティと協働して社会課題に対応するプロジェクトを実施するオマーンやザンビアでの事例、また東南アジアにおける平等な教育機会提供に向けた取組みも紹介され、公平な社会の実現に科学が一層重要な意味を持つことが共有されました。また、政策形成に若手科学者の声を届けていくために各国の若手アカデミーがさらに連携していく必要性なども述べられました。JSTはWSFに先立つ10月、サイエンスアゴラ2022において関連テーマのオンラインシンポジウムをYAJと共催しており、日本での議論をWSFの場に繋ぐことにより、WSF2022の全体テーマ「社会正義のための科学(Science for Social Justice)」に寄与する視点を提供しました。

アフリカ大陸で初めての開催となったWSF2022には118カ国から3000人を超える参加者が集いました。5つのサブテーマ、「人間の尊厳のための科学」・「気候正義のための科学」・「アフリカの可能性を解き放つ科学」・「外交のための科学」・「望む社会を実現するための科学」が設けられ、国際的な社会課題の解決につながる実行可能な行動を、科学者の国際協力によって推進する必要性が強調されました。また最終日には5つのテーマを柱に、科学の役割についての宣言文が採択されました 。

関連リンク
JST-YAJセッション“Ecosystem to enhance global public good with science: distributive justice and well-being as key concepts”(外部サイト:英語)
世界科学フォーラム(外部サイト:英語)
サイエンスアゴラ2022
日本学術会議若手アカデミー(外部サイト)