トピックス
米国化学会が選ぶ「歴史的化学論文大賞」(Citation for Chemical Breakthrough Award 2021)に、研究開発戦略センター(CRDS)野依良治センター長の1987年の論文が選定
研究開発戦略センター
米国化学会(ACS, American Chemical Society)が選ぶ「歴史的化学論文大賞」(Citation for Chemical Breakthrough Award 2021)に、野依良治先生(東海国立大学機構名古屋大学特別教授、JST研究開発戦略センター(CRDS)センター長)の1987年の不斉触媒反応に関する論文が選定されました。
同じく2021年に受賞となった故・福井謙一先生(京都大学名誉教授)の1952年のフロンティア電子理論に関する論文も大変画期的な研究で、多くの偉大な研究とともに化学(科学)の歴史に刻まれることになりました。
この賞は、個人ではなく、研究が行われた研究機関への顕彰です。研究現場を通りかかった人が「あー、この研究はこの場所でなされたのか!」と思いをはせることができるように、それぞれの研究機関に記念の盾が贈られます。
本顕彰について野依先生からは「大変名誉に思う。個人ではなく一編の論文を評価し、それを育てて自由を与えてくれた機関が表彰されたことに意義がある」とコメントされました。
- ■Citation for Chemical Breakthrough Awardについて
- この賞は、18世紀の後半から今日に至る自然科学研究における膨大な数の論文の中から、人類の発展に著しく貢献した歴史的な化学論文が選定され、その研究が行われた研究機関を顕彰するものです。
- 米国化学会の歴史部門は、2006年以降、アボガドロの分子説、パスツールの光学活性体、メンデレーエフの元素周囲規律、ワトソン・クリックのDNA二重らせんなど、画期的な80篇の論文を選出しています。アジアの研究機関が受賞対象となるのは今回が初めてとなります。
- http://acshist.scs.illinois.edu/awards/citations_chem-breakthroughs.php
- ■2021年の受賞論文
- ・野依良治らの不斉触媒反応に関する論文(1987 年:研究機関は東海国立大学機構名古屋大学、自然科学研究機構 分子科学研究所、高砂香料工業株式会社)
R. Noyori, T. Ohkuma, M. Kitamura, H. Takaya, N. Sayo, H. Kumobayashi, and S. Akutagawa “Asymmetric Hydrogenation of β-Keto Carboxylic Esters. A Practical, Purely Chemical Access to β-Hydroxy Esters in High Enantiomeric Purity,” J. Am. Chem. Soc. 1987, 109(10), 5856 - 5858. - ・福井謙一らのフロンティア電子理論に関する論文(1952 年:研究機関は京都大学)
Kenichi Fukui, Teijiro Yonezawa, and Haruo Shingu “A Molecular Orbital Theory of Reactivity in Aromatic Hydrocarbons,” The Journal of Chemical Physics 1952, 20, 722 - 725. - ・J. W. Gibbs の平衡に関する論文(1876 年:研究機関はイェール大学)
J. Willard Gibbs “On the Equilibrium of Heterogeneous Substances,” Transactions of the Connecticut Academy of Arts and Sciences 1876, 3, 108 - 248; 1878, 3, 343 - 524.
- ■名古屋大学の発表
- アジアで初めて米国化学会「歴史的化学論文大賞(Citation for Chemical Breakthrough)」を受賞しました
- https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/award/20220120_award.html
- ■分子科学研究所の発表
- アジアで初めて米国化学会「歴史的化学論文大賞(Citation for Chemical Breakthrough Awards)」を受賞
- https://www.ims.ac.jp/news/2022/01/0120.html
- ■京都大学の発表(福井謙一先生の1952年の論文)
- 「歴史的化学論文大賞(Citation for Chemical Breakthrough Awards)」を受賞しました。
- https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja/news/topics/awards/CCBA
- 米国化学会「歴史的化学論文大賞(2021年)」記念の盾
- http://acshist.scs.illinois.edu/awards/Citations/2021-Noyori%20plaque.pdf