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世界科学フォーラム(World Science Forum, WSF) 2019で採択された宣言文の和訳を作成しました

「科学と社会」推進部

https://www.jst.go.jp/sis/

世界科学フォーラム(World Science Forum, WSF) 2019で採択された宣言文の和訳をJSTにて作成しました。JSTはWSF2019におけるセッションへの参加を含め、宣言文の検討過程に関与しました。

WSFは1999年にブダペストで開催された世界科学会議を前身とし、2003年の第1回以降、隔年で開催されている世界規模の科学フォーラムです。世界各国から科学者、政策立案者、産業界のリーダー、市民代表、メディアなど様々な関係者が集い、科学と社会の関係のあり方や、社会課題における科学の役割などについて意見交換が行われます。

WSF 2019はハンガリー科学アカデミーがホストし、ユネスコ、国際学術会議(ISC)、米科学振興協会(AAAS)、世界科学アカデミー(TWAS)、アカデミー間研究パートナーシップ(IAP)、および欧州アカデミー科学諮問委員会(EASAC)の支援により2019年11月20日~23日の間、ブダペストで開催されました。

今回のWSFでは、1999年に世界科学会議で採択された「科学と科学的知識の利用に関する世界宣言」(ブダペスト宣言)から20周年という節目を迎え、“Science, Ethics and Responsibility”をテーマに様々なセッションが開催されました。

JSTの濵口理事長は21日に開催されたプレナリーセッション“The Ethics of Science Funding”にパネリストとして登壇。研究資金配分(ファンディング)の倫理的課題について議論するこのセッションで濵口理事長は、2011年の東日本大震災での経験に触れ、こうした災害への適切な対応はファンディング機関としての重要な倫理的責任であると述べました。さらに、人類のWell-Beingに貢献する姿勢こそが今日の科学者を含む科学コミュニティに求められる倫理であると強調しました。プレナリーセッションには、米国国立科学財団(NSF)コルドバ長官や南アフリカ高等教育・科学技術省ヌジマンデ大臣、第三世界科学アカデミー(TWAS)ハサン総裁など世界のリーダーがパネリストとして登壇し、継続的な社会との関係性構築の重要性や、過大な期待への約束に対する科学コミュニティの自制、SDGs達成への貢献、メディアとの連携などについて意見交換を行いました。

また、JSTは国際学術会議(ISC)との共催で企画セッション“Beyond SDGs – Science for Well-Being”を開催。SDGsの達成後に焦点を当てた科学の役割や、政策決定者およびファンディング機関を含めた科学コミュニティがなすべきことについて世界の専門家をパネリストに迎え、会場も交えた議論を行いました。JSTの佐伯理事は、社会の課題に立ち向かうには、政策・戦略・プロジェクトを“共創的”に進める必要があると強調しました。

23日にはWSF2019宣言”Science, Ethics and Responsibility”が発表されました。JSTの渡辺副理事はWSF2019組織委員会のメンバーとして宣言文の策定に参加し、“Well-Being”の重要性を主張しました。その結果、宣言の第1章に“Science for global well-being”として取り入れられました。

次回のWSFは2021年、南アフリカで開催されます。

WSF2019宣言
WORLD SCIENCE FORUM BUDAPEST