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マレーシアとのSATREPSパーム油プロジェクトが企業向けワークショップを開催
2014年01月28日 東京 JICA竹橋合同ビル


JICA 竹橋合同ビルでの
第1回ワークショップ会場風景

SATREPSでのマレーシアとの協力プロジェクト「生物多様性保全のためのパーム油産業によるグリーン経済の推進プロジェクト」に関し、本プロジェクトの事業化、商業化につなげることを目指した、企業向けの第1回ワークショップが開催されました。

本プロジェクト(研究代表者:白井義人 九州工業大学 教授)では、パーム油産業が発展する開発途上国で、環境にやさしく高収益なグリーン産業の創出を目指しています。プロジェクト初期段階での第1回目のワークショップにもかかわらず、約60名近くの企業関係者が参加し、関心の高さが伺えました。

白井教授はまずSATREPSのスキームと本プロジェクトについて説明し、SATREPS事業は具体的な研究成果の社会還元(社会実装)を目指している点を強調しました。本プロジェクトで対象にしているパーム油産業やパーム油搾油工場の仕組みを分かり易く説明し、その現状には「様々なビジネスチャンスが隠れている」と熱く語りました。

本プロジェクトでは、パーム油搾油工場から出る余剰バイオマス/エネルギーを有効活用し、バイオマスプラスチック産業など価値あるものの創出を目指しています。また同時に、広大な湿地や河川環境を改善して生物多様性の保全につなげることを目的としています。白井教授は、余剰バイオマス/エネルギーの利用に関して、企業関係者との連携が重要であることを説明し、一緒に考えていきたいと訴えました。

さらに、北九州市が産業の発展を遂げながらも公害を克服した経験を紹介しました。白井教授によれば、我が国は、省エネルギーと省資源の観点で、1滴の石油からできる限り多くの価値をつくる技術を実用化し、石油ショックの危機を乗り切ると同時に、環境中に無駄なものを垂れ流さない社会を作ったといえます。白井教授は、この経験をマレーシアのパーム油産業に活かし、さらなる収益の増加と同時に環境をきれいに保全できることを伝えたいと熱弁しました。

質疑応答では、さらに現地の様子を知ることができるように、現地でのワークショップ開催を強く希望する声もあがるなど、第1回ワークショップは盛況のうちに終了しました。 白井教授は今後も年に1回、日本とマレーシアで企業向けワークショップを開催したいと意気込んでおり、社会実装に向けた具体的な道筋が期待されます。

SATREPS事務局 鵜瀬 美里

  • SATREPS
  • https://www.jst.go.jp/global/
  • 地球規模課題対応国際科学技術協力(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)の略語。
    独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で助成し、地球規模課題解決のために日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行う3~5年間のプログラムです。39カ国77のプロジェクトが実施されています。
  • SATREPS平成24年度採択プロジェクト
  • https://www.jst.go.jp/global/kadai/h2401_malaysia.html
  • 「生物多様性保全のためのパーム油産業によるグリーン経済の推進プロジェクト」
    研究代表者: 白井義人 九州工業大学 教授