研究課題

※研究機関名は、研究実施場所(クロスアポイントメント先機関)
※2025/10/1時点

2024年度採択

相澤 直矢 北海道大学

グラント番号:JPMJBY24A0
AI×材料化学:フント則が破れた有機発光材料の探索
原子や分子の基本的な経験則であるフント則より、同一電子配置において最大のスピン多重度を持つ状態が最低エネルギーを持ちます。本研究では、AI技術を用いて、フント則に反する励起一重項-三重項逆転材料を開発し、スマートフォンのディスプレイ等に用いられる有機ELデバイスの飛躍的な性能向上を目指します。

赤間 怜奈 国立国語研究所

グラント番号:JPMJBY24A1
日本語が表現する文化的側面の理解と計算のための自然言語処理
言語表現が担う文化的側面に特化した言語理解技術・文生成技術の開発。言葉の細やかな使い分けに宿る精緻なニュアンスを正確に捉える言語理解技術と、言語に依存する特有の世界観を過不足なく表現する文生成技術の実現を目指します。具体的な成果として、語彙選択や修辞に因る言語表現の差異が人間の認知に与える影響のモデル化、日本語に固有の文化や感性にまつわる表現を計算機で効果的に扱うための方法論の確立を目標とします。

朝倉 卓人 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24A2
AIによる数式解釈の分離評価、自動化とその応用
本研究では、数式の解釈をブラックボックスにしない新たな研究潮流を創出することで、数式の解釈に関わる手法や応用システムの開発を促進します。これにより、大規模言語モデルなどのAI技術を活用して理工学系の研究者や学習者の数式の読み書きを効率化し、研究・学習効率を向上させます。本研究が生み出す研究潮流によって、専門家とモデルが共通の数式解釈を形成し、その内容の議論に集中できる未来を実現します。

天方 大地 名古屋大学

グラント番号:JPMJBY24A3
公平でクリーンなスモールデータベースの抽出
データサイエンス等においてビッグデータは価値の源だが、ノイズデータも多い、計算処理コストも大きい、また、処理によってはデータに潜在する不公平さが出力に現れる、という側面があります。本研究では、ビッグデータをデータ間の公平性を保ったノイズのないクリーンなスモールデータに削減するアルゴリズム群を提供することにより上記の課題をまとめて解決し、公平で効果的なデータサイエンスの高速処理をサポートします。

五十嵐 悠紀 東京大学

グラント番号:JPMJBY24A4
AIを活用した生活デザインにおける創造的スキル獲得支援
本研究では、私たちの生活の中の創造的な作業を対象として、熟練者の作業工程をAIを活用してコンピュテーショナルに理解して、苦手な人や初心者に対して支援することでスキル獲得を目指すインタラクション技術を提案します。これにより、人間の特性の理解ができると共に、核家庭増加による教え合うことが家庭内でできなくなってきたことに伴う教育格差や、伝統工芸分野での技術伝承における高齢化問題を解決します。

磯沼 大 東北大学

グラント番号:JPMJBY24A6
言語モデルの知的能力発現過程の解明
現在の大規模言語モデル(LLM)開発は、学習データの量を増やせば増やすほどよいという量的なルール(scaling law)が支配的であり、学習データの中身に関する質的な理解が不足しています。本研究では、LLMの知的能力を引き出す学習データは何か、LLMはどのような順序でそれらを学習するのか、何故それらの学習データにより知的能力が得られるのかを明らかにし、LLMの知的能力発現過程の解明を目指します。

井上 昂治 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24A7
沈黙を理解・生成する会話AIによる対話感の解明
沈黙の意味を理解し、会話の間を最適化する社会的な会話AI・ロボットを実現します。沈黙が生じるメカニズム(順序関係)をマルチモーダルな会話分析で詳細に記述し、これをLLMで新たに学習します。このモデルを搭載した対話ロボットの実証実験・水平展開により「なぜ沈黙が必要か」「対話をした感覚(対話感)は何によってもたらされるか」を明らかにし、短い応答速度を重視する会話AIの研究開発の流れに一石を投じます。

井上 漱太 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24A8
空撮がつなぐ野生動物における集団行動とAI
近年、ドローンが野生動物研究における革命的ツールとして脚光を浴びています。一方で、そこから得られる膨大で複雑なデータの解析は容易ではありません。本研究では、空撮映像解析のためのAIツール開発および野生動物のデータに特有の問題を解決することで、野生動物・ドローン・AIを使った研究の裾野の拡大を目的とします。特に、動物の群れの行動メカニズムを題材として、本研究の達成を目指します。

今泉 允聡 京都大学

グラント番号:JPMJBY24A9
深層学習の動力学理論構築によるニューラルネット訓練技術の高速化
本研究の目的は、深層学習の学習挙動を記述する物理法則を導出して数学的に体系化し、さらにそれを活用した人工知能技術の効率的な学習・推論パラダイムを構築することである。具体的には、統計物理の理論に基づく大自由度系の記述法を活用して深層学習・AIの挙動を記述する基礎方程式を導出し、その解析を通じて深層学習の制御を行う技術を開発する。これによって、原理に基づいた深層学習・AIの制御技術を実現する。

岩田 直也 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24B0
西洋古典学のためのAI駆動型テクスト解析とデータベース拡張技術の研究
本研究は、最先端の大規模言語モデルを用い、西洋古典(古代ギリシア語・ラテン語原典)の新たな解析と理解を目指す革新的プロジェクトです。特に、RAG技術を活用することで、膨大なテクストデータから高度な意味検索を行い、従来の枠組みを超えて哲学・文学・歴史の横断的な研究を可能にします。また、AIによる文献学の方法論を確立し、他の人文・社会科学分野における新たな研究アプローチの先駆けとなることを目指します。

Thomas Westfechtel 東北大学

グラント番号:JPMJBY24B1
Unsupervised Domain Adaptation of Foundation Models for Real-World Robot Applications
本研究では、基盤モデルと教師なしドメイン適応の相乗効果について、特に一般論的な基盤モデルから対象タスクのタスク固有知識を抽出することに焦点を当てて研究します。さらに、これらのアルゴリズムの実世界ロボットアプリケーションへの応用に向け、実世界環境がもたらす新たなドメインギャップの克服や、より実世界に近い新たなドメイン適応データセットの作成を取り込みます。

大関 洋平 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24B2
人間の言語知能を参照した次世代言語モデルの開発
大規模言語モデルには、その高い性能の代償として、解釈性、汎化性、効率性、そして認知的妥当性という工学的・科学的な問題が存在します。本研究では、自然言語処理と認知科学を融合することで、人間の言語知能を参照した次世代言語モデルを開発することを目的とします。具体的には、認知科学→自然言語処理のベクトルで次世代言語モデルを開発するのと同時に、自然言語処理→認知科学のベクトルで人間の言語知能を解明します。

大塚 亮真 名古屋大学

グラント番号:JPMJBY24B3
仮想データ生成技術による動物の行動認識の変革
本研究は動物の行動認識(動物に装着したセンサのデータから行動を推定する技術)のデータ不足という課題を解決します。動画データを用いて、動物の任意の部位の仮想センサのデータを生成する技術開発に取り組み、大規模言語モデルや自己教師あり学習も用いて、多様な動物の行動を高い精度で認識する汎用的な基盤技術を整備します。これらの技術は動物行動・生態の研究を加速し、人と動物の共生に貢献します。

岡田 大瑚 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24B4
組合せ構造を活用した機械学習による細胞医薬品のデザイン
細胞医薬品は、遺伝子改変により特定の機能を持つ細胞を作成し、疾患治療や組織再生を目指す新しい技術です。本研究では、人工知能を活用し、細胞医薬品に目的の機能を実装するための遺伝子操作の組合せを発見する新しい理論と仕組みを開発します。これにより、従来困難だった遺伝子操作の組合せ探索を迅速化し、革新的な治療法を実現します。

小川 芳樹 一橋大学

グラント番号:JPMJBY24B5
生成AIと人間の協創によるWell-beingな景観まちづくり
社会受容性の高いwell-beingな景観シナリオと施策の実現を目指し、生成AIを活用して街路画像と3D都市モデルを統合的に入力することで、住民の多様な選好を反映した景観生成シミュレーションモデルを開発します。このモデルにより、具体的で視覚的な将来ビジョンを住民や関係者と共有し、高解像度で精緻な景観まちづくりを支援する新たな手法を提案します。

奥山 真佳 東京科学大学

グラント番号:JPMJBY24B6
liftedマルコフ連鎖モンテカルロ法における指導原理の確立
liftedマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法は詳細つり合い条件を破る不可逆なMCMC法の一種であり、従来の可逆なMCMC法と比べて、計算効率が大幅に改善される例が複数報告されています。しかし、lifted MCMC法では遷移行列の設計自由度が大きく、どのように遷移行列を設計するのかは非自明な問題です。そこで、本研究課題では、lifted MCMC法において、Peskunの定理の対応物を確立し、計算効率の良い遷移行列を設計するための指導原理の確立を目指します。

小野 大介 統計数理研究所

グラント番号:JPMJBY24B8
病理と時系列データを織り込んだ脳疾患診断AI
近年アルツハイマー型認知症に代表される脳神経変性疾患に対して、原因分子に直接作用する治療が可能になりましたが、死後脳の検索では生前診断が最終の病理診断と異なることが多く、正確な早期診断が個別化治療への課題です。本研究では大規模言語モデルにより網羅的に取得した診療記録データと国内外のブレインバンクの病理診断を大規模に解析し、医師の診察データから脳疾患を早期に診察する人工知能の開発を目指します。

柿沼 洋 物質・材料研究機構

グラント番号:JPMJBY24B9
金属内部を再現した3次元空間における水素拡散シミュレーション
水素はCO2を排出しないクリーンなエネルギー源として期待されているが、水素エネルギーの本格的な社会実装には水素を製造、輸送、利用するための材料開発が必要である。これらの材料開発においては、金属内部の水素のふるまいを理解することが重要となる。本研究では、代表者が開発した水素可視化技術と人工知能を用いて、実験的には観察できない金属内部の水素のふるまいをシミュレーション可能なソフトウェアを開発する。

梶原 智之 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24C0
読み手の反響を推定し制御する自然言語処理
本研究では、テキストの読み手が抱く感情の推定と制御に取り組みます。同じ内容でも、誰が発信するのか、どう表現するのかによって、その反響は変化します。そこで、書き手の感情や書き手が期待する反響と、実際の読み手の反応の乖離を防ぐために、感情分析を個人特化させる技術や、読み手に所望の感情を想起させるための言い換え技術を創出します。本技術は、情報発信時の影響予測やリスクの軽減、社会受容性の改善に貢献します。

草場 彰 名古屋大学

グラント番号:JPMJBY24C3
結晶成長デジタルツイン自動構築技術の開発
結晶成長は半導体製造の基盤技術であり、新材料の開発にはその物理・化学過程をシミュレーションするデジタルツインが有用です。AIによる新材料発見の急増により、人手でのデジタルツイン構築には限界が生じると予想されます。本研究では、結晶成長デジタルツインの自動構築技術の開発と、AIによる材料設計と結晶成長のプロセス設計を調和させるMI-PI統合アプローチの開発に取り組み、ポストシリコン半導体開発への応用を展開します。

倉持 昌弘 東京大学

グラント番号:JPMJBY24C4
知識とデータの融合による機械学習を活用したX線動態計測法
物質のダイナミクスは構造と機能を結びつける重要因子ですが、計測法は限定的です。原子や分子の微視スケールの時空間動態により支配された機能発現は、異なる時空間階層の多彩な運動情報を取得・統合することで理解できます。本研究では、広域科学にまたがる課題をダイナミクスの視点から解明するため、多次元データ解析や機械学習を適用したAI融合型X線動態計測法を確立します。

栗田 修平 東京科学大学

グラント番号:JPMJBY24C5
テキスト指示に従い自ら試行錯誤する実世界AI
専門的な作業を補助するための大規模なマルチモーダル学習データとモデルを整備します。特に、論文などの専門ドメイン文書からテキスト知識を抽出し、一人称視点作業動画などから作業手順を抽出することで、特定の学術ドメインでの研究開発に特化し、シミュレータや実験装置などの専門的な外部ツールを自動的に操作できるモデルや、指示に従って作業計画を立案し自律的に作業を進める基盤モデル手法の開発を行います。

計良 宥志 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24C6
深層モデルの入力応答特性の包括的制御
次世代のAIは、医学、化学、地球科学、数学など、広くサイエンスへの深層学習の展開であると考えます。本研究では、コンピュータビジョンから気象予測、記号計算まで、深層学習の様々な応用ドメインにおいて、深層学習モデルの入力応答特性を包括的に理解・制御する枠組みを開発します。本研究の目標が達成されれば、応用ドメインごとの応答特性の違いを深層学習に反映し、その応用性を最大化できます。

後藤 信一 理化学研究所

グラント番号:JPMJBY24C7
呼気ガス質量分析データの人工知能解析:非侵襲的NASH検出
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、脂肪肝の炎症が不可逆的な肝硬変・肝癌に進展するものです。早期検出・治療が重要ですが、診断には肝臓の一部を切出す肝生検を要し、安易に検査できないため、多くが見落とされ手遅れになっています。我々は代謝物を呼気から検出しAIに学習させ、NASHを検出する技術を作ります。本研究が成功すれば、患者が機械に息を吐くだけでNASHを検出でき、肝硬変・肝癌の発症を減らせます。

小林 聖人 神戸大学

グラント番号:JPMJBY24C8
知覚に基づくAI・制御技術統合型ロボットシステム
人間の知覚、いわゆる視覚・触覚等の五感に基づくAIと制御技術を統合したロボットシステムを研究開発します。本研究では、特に視覚と触力覚を有する遠隔制御技術と大規模な基盤モデル等の機械学習技術を糸口とし、制御技術と機械学習技術の統合した革新的なロボットシステムによる作業自律化を導きます。これらシステムが研究支援・産業・サービス業など、多様な分野で自律化を促進し、労働力創出や学際的研究の推進に貢献します。

齋藤 佑樹 産業技術総合研究所

グラント番号:JPMJBY24C9
音声メディアの合成と品質評価のための深層学習モデルの統合的最適化
日々のコミュニケーションの中で、人間は自らの声を柔軟に制御するのみならず、他者の声を何らかの基準に基づいて評価する能力を持っています。本研究では、人間が持つこの能力をAIに実装することを目指し、音声合成・品質評価の深層学習モデルのための大規模データセット構築と統合的最適化のための学習アルゴリズム開発を推進します。

酒井 彬 東海大学

グラント番号:JPMJBY24D0
深層学習を用いた食感オノマトペ特化基盤モデルの構築
我が国は独自の食文化を有しており、近年その重要性は高まっています。しかしながら、食品は複雑な構造物であり、特に食感に関しては未解明です。本研究では日本語に特徴的な表現である「オノマトペ」と超音波検査により得られた食品の構造を深層学習技術によって結びつける特化基盤モデルを開発します。さらに、この基盤モデルを活用することでオノマトペから新たな食品を生成する等の革新的な応用の実現を目指します。

坂上 晋作 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24D1
離散最適化と機械学習の融合の深化
汎用的な意思決定の数理モデルである離散最適化は、現実の傾向を柔軟に捉える技術である機械学習と融合され、その活躍の幅を広げています。しかし、離散最適化と機械学習の融合を理解するための理論は、未だ十分には発展していません。本研究では、離散最適化の強力な国産技術である離散凸解析と平均感度解析に着目して融合の理論的な理解を深め、その理解を土台にAIの適切な利活用を支える理論基盤を築くことを目指します。

櫻田 健 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24D3
時空間データのスパースイベント化による計算インフラの超省力化
将来、自動運転車やサービスロボットの普及により伝送・処理・保存されるデータが急増し、計算インフラや消費電力が逼迫します。この課題を解決するため、センサデータの汎用的スパースイベント化手法を構築し、リアルタイム処理可能なセンサデバイスを開発します。そして、計算インフラを超省力化するイベントセンサ分野の基盤システムを確立し世界をリードすることを目指します。

清水 悠生 横浜国立大学

グラント番号:JPMJBY24D5
設計開発プロセスを革新する自律型モータ設計エージェントへの挑戦
本研究では、設計者と対話しながら自律的にモータ設計開発を行う「設計エージェント」の研究開発を実施します。設計エージェントは設計者の曖昧な要求に柔軟に対応し、人間とAIの共創により設計開発プロセスを革新します。さらに、設計から製造までの完全自動化により少量多品種生産への転換を実現することで、ものづくり業界のパラダイムシフトを引き起こします。

謝 浩然 早稲田大学

グラント番号:JPMJBY24D6
人間創作と画像生成の共進化インタラクションの開拓
本研究は、人間と生成AIが互いに学び合いながら画像生成AIと人間創作の共進化を実現するインタラクション技術基盤の構築を目指します。特に、人間と生成AIが共に成長し革新的創造性を引き出すため、人間の創作プロセスを深く調べ、生成AIがより人間の意図を理解できるように目標としています。本研究成果により、人間の創造性を最大限まで拡張し、労働力不足やイノベーション創出に寄与することを期待します。

張 振亜 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24D7
反例向き、効率と保証を両立するニューラルネットワーク検証技術の開発
ニューラルネットワークは、自動運転などの安全性が重要な分野で急速に普及しており、その品質を厳密に保証するために、形式的な検証が不可欠です。本研究では、既存手法の効率性問題や不完全性問題を解決するため、反例を発見する可能性が高い方向へ検証を誘導する新しい検証手法を提案します。この手法により、早期に反例を検出するか、最終的に問題を検証することが可能となり、効率性と厳密性を両立することを目指します。

白崎 正人 統計数理研究所

グラント番号:JPMJBY24D8
生成AIで加速する科学-宇宙論における実践とさらなる展開
生成AIは驚くほど鮮明で独創的な画像を出力できますが、十分な訓練データがなければ機能しません。本研究では、科学研究の知見を活用し、訓練データ数が乏しい状況でも学習可能で機能する生成AIを開発します。開発したAIをすばる望遠鏡による銀河観測に応用し、現代宇宙論における未解決問題である「ダークマター」の正体解明に役立てます。この応用の過程で、生成AI技術を洗練させ、気象などの多分野への展開を目指します。

菅原 朔 東京大学

グラント番号:JPMJBY24D9
言語モデルの信頼される実応用のためのスケーラブルな監督
言語モデルからなるシステムは利用者の知識・能力を部分的に超えた振る舞いを見せるようになっています。こうしたシステムの振る舞いの評価は信頼性の高い形で実応用するうえで大きな課題です。本研究は、教育分野を例として人間の知的活動の支援に使われる場合、言語学を例として人間の言語処理のモデルとして利用される場合、という2つの側面に着目し、言語モデルの実応用において必要な技術・知見を整備することを目指します。

杉下 宗太郎 理化学研究所

グラント番号:JPMJBY24E0
量子時空のランダムネットワーク表現と重力学習模型の構築
量子重力理論では、時空は確率的にゆらいだものであると考えられています。このような量子時空を、ランダムニューラルネットワークとして解釈し、量子重力の性質の解明に挑戦します。また、ランダムニューラルネットワークを量子多体系にも応用し、ホログラフィー対応の知見を用いて、量子状態の予測モデルを構成します。ランダムネットワークによる量子物理の解析を通し、ネットワークの最適化に物理学の手法で迫ります。

杉山 佳奈美 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24E1
AIを活用した化学反応ネットワーク解析の深化
固体触媒は工業的に広く活用されている材料のひとつです。より高機能な触媒をつくるにあたって反応機構の理解は重要な課題となりますが、実験条件、触媒の組成や構造が関与し非常に複雑であるため解析は困難です。そこで本研究ではAIと量子化学計算を活用し、反応過程の詳細な情報が含まれた化学反応ネットワークの構築手法を開発します。またこれを用いて、複雑な触媒反応のメカニズムを解明します。

園田 翔 株式会社サイバーエージェント

グラント番号:JPMJBY24E2
大規模言語モデルによる定理証明AIの学習理論
定理証明AIに推論のギャップを埋めてもらうことで、より効率的かつ創造的に数学が運用できる未来を目指します。大規模言語モデル(LLM)による定理証明は、機械学習と計算機科学の境界領域に現れた新しい研究分野です。数学者の直観を模倣させることで、LLMの論理的推論能力を強化します。証明AIの汎化誤差解析や、AIによって証明可能な定理の特徴付けを通じて、AIの設計理論や新しい情報科学・数学の誕生が期待されます。

斉藤 いつみ 東京科学大学

グラント番号:JPMJBY24E3
画像・自然言語・コードの統合理解に基づくマルチモーダルモデル
画像や自然言語など多様な入力を理解し、意味的・視覚的に構造化された図表や文書画像を生成する技術を確立します。LaTeXやPythonなどのコードを中間的に生成することで、画像のシンボリックな理解と高品質な図表・文書画像の効率的な生成を実現します。この技術により、論文執筆の自動化などAIによる複雑な情報の可視化を可能とし、視覚情報を活用した人間とAIの効果的なコミュニケーションを促進します。

高橋 聡明 国立健康危機管理研究機構

グラント番号:JPMJBY24E4
ケアの質の可視化を目指した反実仮想機械学習システムの開発
医療現場では、ケアの質の低下が感染や血栓症といった患者の生命やQOLに深刻な影響を及ぼします。本研究では、RFIDタグなどによる医療資源追跡データと反実仮想機械学習を活用して、ケアプロセスの「見える化」と最適化を目指します。医療資源の使用状況データに基づいてケア状況を推定、さらに機械学習モデルは最適なケアを提案します。これより、安全で効率的なケアを提供する未来を実現します。

高橋 雄太 東北大学

グラント番号:JPMJBY24E5
デジタルツイン脳で可能になる精神医学研究
精神医学は脳という計算システムの異常を扱うという点において、他の医学領域とは本質的に異なるAIの貢献が期待されています。しかし、個人ごとに異なる脳計算を数理モデル化することで精神症状を理解する取り組みはまだ萌芽的です。本研究では、患者の脳画像などのバイオデータに基づいて、脳計算モデルを個別化し、治療シミュレーションする技術を開発します。これにより、AI駆動型精神医療の実現に資することを目指します。

武田 一貴 東京科学大学

グラント番号:JPMJBY24E6
野生動物の化学物質感受性を構造科学で定義する
野生動物の環境汚染物質による中毒死は世界的課題です。化学物質感受性には広範な動物種差があり、致死量が動物種により1000倍異なる事もあります。一方、希少な野生動物での生体実験は禁忌でありこの評価法が存在しません。また、医薬品の毒性評価でも標的分子の同定は未だ困難です。そこで、本研究はこの双方を解決する手法として化学物質の構造情報から毒性標的分子およびハイリスク種を予測する新規AI手法を創出します。

陳 碩也 秋田県立大学

グラント番号:JPMJBY24E7
データ駆動型によるハイスループット木質材料開発基盤の構築
持続可能な社会の実現に向けて、再生可能なリグノセルロースを原材料とした木質材料の積極的な開発と活用が不可欠です。本研究では、木質材料の設計・試作・品質管理の各段階に応じたAI(開発知見統合AI、最適製造条件探索AI、品質管理AI)を構築します。さらに、これらのAIを連携させることで、多様な用途に応じた木質材料の開発を行うための基盤を確立し、新しい木質材料の創出に挑戦します。

包 含 東北大学

グラント番号:JPMJBY24E8
基盤モデルの内部表象理解
基盤モデルの大規模化に伴って表現空間がアーキテクチャ、モダリティを超え画一的構造に収束するという「プラトン表象仮説」に対し、その数理的機序を明らかにし、文化的多様性を損なわない機械学習技術を模索する。特に、表現空間のアーキテクチャやモダリティに対する感度分析をベースとして分析を行い、感度が小さくなる条件の記述を試みる。感度分析を通じて得た知見をもとにモデル崩壊を軽減する方法を模索する。

坪山 幸太郎 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24E9
機能性人工タンパク質の合理設計を実現するAIモデル開発
タンパク質は長い進化の過程で形成され、生命活動を支えています。医学・工学において、天然タンパク質を活用するだけでなく、高機能なタンパク質を人工的に設計することも可能になっています。ただし、その設計の成功率はあまりにも低く運任せになってしまっているのが現状です。そこで、本研究提案では、AI技術をタンパク質科学に導入することで、有用な機能性人工タンパク質を合理的に設計することを目指します。

寺山 慧 東京科学大学

グラント番号:JPMJBY24F0
分子の精製作業を劇的に軽減する精製条件予測AIの基盤創成
精製とは、混合物から目的の分子を取り出し純度を高めるプロセスで、化学から創薬・バイオ・材料科学まで幅広い分野において不可欠です。しかし、多大な時間とコストがかかり、研究者の負担が隠れた大きな課題となっています。本研究では、AIを用いて最適な精製条件を予測し、精製を効率化するシステムを開発します。これにより精製作業の負担を劇的に軽減し、研究開発の加速に貢献することを目指します。

富谷 昭夫 京都大学

グラント番号:JPMJBY24F1
機械学習技術を用いた場の量子論の計算法の確立
AI技術を用いてクォークとグルーオン等の素粒子の物理を高精度かつ高速にシミュレーションすることを目指します。これにより新たな物理現象の発見や宇宙の基本法則の理解が進むことが期待されます。系の対称性を組み込むことにより物理法則に反しないニューラルネットを構築します。またAI分野での応用を鑑み、情報幾何(確率分布の幾何的な記述)を用いて場の量子論と合わせてニューラルネットの仕組みを解き明かします。

中野 晃佑 理化学研究所

グラント番号:JPMJBY24F3
精度と速度を両立した機械学習ポテンシャルの高圧水素諸問題への応用
精度と速度を両立する分子動力学計算を実現する技術として、原子間の多体相互作用を機械学習力場によって記述する方法が注目されています。代表者は、次世代の電子状態計算とされる量子モンテカルロ法による力の計算手法を世界で初めて確立し、機械学習力場の学習データとして利用する道を拓きました。本研究では、そのデータを利用した機械学習力場の構築技術の確立と、未解決問題である高圧水素の状態図計算への応用を行います。

仲平 依恵 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24F4
LLM-guided Control and Learning for Enhanced Performance, Safety, and Context-awareness
本研究では、大規模言語モデルの制御タスクへの応用と、制御理論の大規模モデルやポリシー学習への応用について検討します。前者では、自然言語で記述されたタスクから、安全な自律制御ポリシーを生成する新しい手法の確立を目指します。後者では、限られたデータと計算リソースの中で、大規模モデルや制御ポリシーを効率的に適応させる方法について考察します。

西尾 卓純 農業・食品産業技術総合研究機構

グラント番号:JPMJBY24F5
空陸横断型自律フィールドロボットシステムの開拓
本研究では、屋外作業の喫緊の課題であるロボットによる汎用的な農作業の実現を目指します。外乱の多い環境下で自律的に汎用作業能力を獲得する、堅牢性と適応性を兼ね備えた知能体系を解明するとともに、ハードウェアの空間移動能力に関する制約に対応し、多環境に適応可能な空陸両用フィールドロボットシステムを構築します。さらに、屋外検証用仮想基盤の構築と実環境での検証実験を行うことで、循環共創型基盤を確立します。

西口 浩司 理化学研究所

グラント番号:JPMJBY24F6
3D生成AIによる構造力学設計の自動化と民主化
本研究の目的は、力学的設計要件を満足する3次元構造を、力学の非専門家であっても自然言語による指示のみで容易に設計できる生成AIを実現することです。その手段として、力学情報と3次元構造がペアになったデータセットで訓練した3次元構造生成AIと大規模言語モデルを融合させたシステムを研究します。この研究により、あらゆる構造設計が民主化・自動化され、ものづくり設計プロセスに変革が起こることが期待されます。

西山 総一郎 農業・食品産業技術総合研究機構

グラント番号:JPMJBY24F7
AIを活用した植物構造の計測と最適化に関する研究開発
植物の構造は農業生産性を決定する大きな要因です。特に、果樹は「剪定」により人為的な構造の改変が行われることから、植物構造のユニークな研究対象でもあります。一方で、これまで器官の配置を植物構造と紐づけて計測するための効率的な方法が確立されておらず、研究開発のボトルネックになっています。本研究では、代表者らが近年開発した植物構造の機械認識システムを発展させ、様々な植物構造管理の高度化に挑戦します。

Benjamin Heinzerling 東北大学

グラント番号:JPMJBY24F9
Introspective Foundation Models
内観的基盤モデル

基盤モデルは生成AIの分野で劇的な進歩を可能にしましたが、依然として根本的な限界を抱えています。内部状態を検査する仕組みがないため、出力を計画したり、自身の挙動を説明したり、内部フィードバックを通じて自己修正することができません。本研究では、内観的基盤モデルを提案します。このモデルは内部状態を検査することで、自己予測、自己説明、そして自己修正が可能になります。

畑 匡侑 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24G0
眼底マルチモーダル画像から読み解く老化と疾患発症の予測AIモデル構築
眼は小さな臓器ながら神経や血管など多様な組織を含み、眼底イメージング機器を通じて全身の臓器老化の兆候を反映する「窓」となり得ます。 本研究では、眼底マルチモーダル画像から各組織の年齢を推定し、他臓器の老化や疾患発症の予測モデルを構築します。これにより、非侵襲的な眼底検査で全身の加齢性疾患のリスクを早期に把握し、未病の検出や予防医療の発展に貢献することを目指します。

幡谷 龍一郎 京都大学

グラント番号:JPMJBY24G2
小が大を兼ねる次世代深層学習アルゴリズムの開発
現代の生成AIの背後にある大規模基盤モデルの訓練には多量の計算資源が必要となります。訓練済みの基盤モデルは性能を保ったまま大幅な圧縮が可能な一方、圧縮した基盤モデルを訓練すると性能が劣化してしまいます。本研究では、このギャップを乗り越えるために深層モデルを連続化した極限モデルの学習ダイナミクスを利用し、性能を維持しつつ圧縮したままの深層学習の実現を目指します。

林 周斗 公益財団法人川崎市産業振興財団

グラント番号:JPMJBY24G3
AIとシミュレーションによる次世代ナノ医薬分子設計
細胞内タンパク質間相互作用は多くの疾患に関与する一方、従来の創薬アプローチではその標的化が困難でした。その主たる要因は、特定の標的組織・標的細胞への選択的な薬物送達の難しさにあります。そこで本研究では、生成AIと分子動力学シミュレーションを統合的に活用し、標的組織・標的細胞への選択的なデリバリーと、タンパク質間相互作用の効率的な阻害を両立するナノ医薬品設計プラットフォームを開発します。

平原 秀一 東京科学大学

グラント番号:JPMJBY24G5
計算論的学習理論におけるメタ的計算量解析
PAC学習とは、人間の学習を数学的に捉える枠組みであり、計算論的学習理論における中心的概念である。1984年にPAC学習の概念が導入されて以来、「PAC学習がNP完全か」という問いは長年の未解決問題である。この問いを解決することは秘密鍵暗号方式が安全であるために必要である。本研究では、近年国際的に発展してきたメタ計算量というパラダイムに基づいて、前述の未解決問題に進展を与えることを目指す。

Wei Huang 統計数理研究所

グラント番号:JPMJBY24G6
Developing Theoretical Understanding to Enable Efficient and Safe Large Foundation Models
効率的で安全な大規模基盤モデルを実現するための理論的理解の開発

本研究は、AIの基盤技術である大規模モデルの仕組みを解明し、安全で効率的な活用を目指します。Chat GPTやDALL-Eなど、言語処理や画像生成に用いられるモデルの未解明部分を理論的に研究し、特にデータ学習の効率化や新たな学習方法の開発に焦点を当てることで、次世代AI技術を支える知見を提供します。この成果は、産業界や社会における革新的なAI応用の発展に寄与すると期待されます。

二見 太 東京大学

グラント番号:JPMJBY24G8
Encoder型確率モデルへの情報理論を用いた学習理論の展開
深層学習を用いて高次元データを低次元へと圧縮するEncoder型確率モデルが様々な分野で活用されています。その学習時には圧縮で得られた表現について正則化を行うことが多いですが、既存の理論はそうした正則化がなぜ有効なのか説明できません。本研究は情報理論とPACベイズ理論の融合により、新たなアルゴリズム依存型学習理論を構築しその有効性を明らかにします。更に理論をもとにした新たな変分ベイズや圧縮手法の提案を行います。

松原 崇 株式会社サイバーエージェント

グラント番号:JPMJBY24H0
コンテンツ生成幾何学の創出
人工知能(AI)技術を用いたコンテンツ生成は近年急速な進展を見せていますが、一連のコンテンツ内で人物や物体の個性が変化しないという同一性や一貫性、指示によって生成内容を決定できる制御性などが不十分であるため、必ずしも社会実装が進んでいるとは言えません。本研究構想では、これらの諸問題を、微分幾何学や力学系理論の言葉に置き換え、定式化することで解決する「コンテンツ生成幾何学」を創出します。

松本 啓吾 産業技術総合研究所

グラント番号:JPMJBY24H1
自由エネルギー原理に基づく感覚運動連関モデルの設計と評価
本研究では生物の知覚や学習、行動を統一的に説明可能な自由エネルギー原理に基づき、感覚運動連関モデルを設計し、その有効性を検証することで、ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI) や実験心理学において研究の律速となるユーザスタディの代替となるシミュレーション基盤の実現を目指します。これにより、研究のコストと時間が大幅に削減され、ヒトの感覚・知覚・運動に関する研究が加速されることが期待されます。

水野 忠快 統計数理研究所

グラント番号:JPMJBY24H2
未踏化合物群の探索に向けた深層学習モデル開発
存在しうる低分子化合物の数は約10^60個と推定されており、地球上の砂漠に存在する砂粒の総数が約10^25個と考えられることから、これは途方もない数です。この広大な化合物が織りなす空間を探索することができれば、新たな構造の発見につながり、創薬の可能性が拡がると期待されます。本研究では、既存の探索手法では困難とされるこの課題に挑戦し、未踏の化合物群を探索可能とする深層学習モデルの開発に取り組みます。

森岡 博史 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24H4
因果表現学習による世界モデルの創出
様々な分野でAIがヒトを凌駕しつつある一方、その推論に含まれる誤りやバイアスなどが社会的な問題となりつつあります。この研究ではそれらを克服した次世代AIの実現に向け、世界の真に普遍的なメカニズムを表す世界モデルをデータ駆動的に構築することを目的とします。そのため特に、観測の背後に隠れた本質的な時空間階層因果構造を、理論的保証のもとデータ駆動的に推定する手法を開発することでその実現を目指します。

和賀 正樹 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24H8
高信頼AIのための実行時検証の発展~離散から連続へ
AIシステムを社会の中で広く利用するためには、信頼性の担保が必要となります。本研究ではシステムの実行時の情報を用いて、数学的な妥当性の元で安全性や公平性などの品質を保証する実行時検証を、より連続的な設定でも適用可能なように柔軟かつ実用的に発展させることで、自動運転車や交通システム、大規模言語モデルなどを含む幅広いAIシステムの信頼性向上のための基盤技術の創出を目指します。

  • ※採択者は、機関間のクロスアポイントメント協定の調整に時間を要する場合等に、クロスアポイントメント先機関で研究開始できる体制が整うまでの間、最長1年間、採択者の資格を持ったまま研究開始を猶予します。
  • ※条件が整い、研究開始され次第、順次本ページに掲載いたします。