研究課題

※研究機関名は、研究実施場所(クロスアポイントメント先機関)
※2025/5/1時点

2024年度採択

相澤 直矢 北海道大学

グラント番号:JPMJBY24A0
AI×材料化学:フント則が破れた有機発光材料の探索
原子や分子の基本的な経験則であるフント則より、同一電子配置において最大のスピン多重度を持つ状態が最低エネルギーを持ちます。本研究では、AI技術を用いて、フント則に反する励起一重項-三重項逆転材料を開発し、スマートフォンのディスプレイ等に用いられる有機ELデバイスの飛躍的な性能向上を目指します。

赤間 怜奈 国立国語研究所

グラント番号:JPMJBY24A1
日本語が表現する文化的側面の理解と計算のための自然言語処理
言語表現が担う文化的側面に特化した言語理解技術・文生成技術の開発。言葉の細やかな使い分けに宿る精緻なニュアンスを正確に捉える言語理解技術と、言語に依存する特有の世界観を過不足なく表現する文生成技術の実現を目指します。具体的な成果として、語彙選択や修辞に因る言語表現の差異が人間の認知に与える影響のモデル化、日本語に固有の文化や感性にまつわる表現を計算機で効果的に扱うための方法論の確立を目標とします。

天方 大地 名古屋大学

グラント番号:JPMJBY24A3
公平でクリーンなスモールデータベースの抽出
データサイエンス等においてビッグデータは価値の源だが、ノイズデータも多い、計算処理コストも大きい、また、処理によってはデータに潜在する不公平さが出力に現れる、という側面があります。本研究では、ビッグデータをデータ間の公平性を保ったノイズのないクリーンなスモールデータに削減するアルゴリズム群を提供することにより上記の課題をまとめて解決し、公平で効果的なデータサイエンスの高速処理をサポートします。

磯沼 大 東北大学

グラント番号:JPMJBY24A6
言語モデルの知的能力発現過程の解明
現在の大規模言語モデル(LLM)開発は、学習データの量を増やせば増やすほどよいという量的なルール(scaling law)が支配的であり、学習データの中身に関する質的な理解が不足しています。本研究では、LLMの知的能力を引き出す学習データは何か、LLMはどのような順序でそれらを学習するのか、何故それらの学習データにより知的能力が得られるのかを明らかにし、LLMの知的能力発現過程の解明を目指します。

井上 昂治 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24A7
沈黙を理解・生成する会話AIによる対話感の解明
沈黙の意味を理解し、会話の間を最適化する社会的な会話AI・ロボットを実現します。沈黙が生じるメカニズム(順序関係)をマルチモーダルな会話分析で詳細に記述し、これをLLMで新たに学習します。このモデルを搭載した対話ロボットの実証実験・水平展開により「なぜ沈黙が必要か」「対話をした感覚(対話感)は何によってもたらされるか」を明らかにし、短い応答速度を重視する会話AIの研究開発の流れに一石を投じます。

井上 漱太 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24A8
空撮がつなぐ野生動物における集団行動とAI
近年、ドローンが野生動物研究における革命的ツールとして脚光を浴びています。一方で、そこから得られる膨大で複雑なデータの解析は容易ではありません。本研究では、空撮映像解析のためのAIツール開発および野生動物のデータに特有の問題を解決することで、野生動物・ドローン・AI を使った研究の裾野の拡大を目的とします。特に、動物の群れの行動メカニズムを題材として、本研究の達成を目指します。

大塚 亮真 名古屋大学

グラント番号:JPMJBY24B3
仮想データ生成技術による動物の行動認識の変革
本研究は動物の行動認識(動物に装着したセンサのデータから行動を推定する技術)のデータ不足という課題を解決します。動画データを用いて、動物の任意の部位の仮想センサのデータを生成する技術開発に取り組み、大規模言語モデルや自己教師あり学習も用いて、多様な動物の行動を高い精度で認識する汎用的な基盤技術を整備します。これらの技術は動物行動・生態の研究を加速し、人と動物の共生に貢献します。

岡田 大瑚 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24B4
組合せ構造を活用した機械学習による細胞医薬品のデザイン
細胞医薬品は、遺伝子改変により特定の機能を持つ細胞を作成し、疾患治療や組織再生を目指す新しい技術です。本研究では、人工知能を活用し、細胞医薬品に目的の機能を実装するための遺伝子操作の組合せを発見する新しい理論と仕組みを開発します。これにより、従来困難だった遺伝子操作の組合せ探索を迅速化し、革新的な治療法を実現します。

柿沼 洋 物質・材料研究機構

グラント番号:JPMJBY24B9
金属内部を再現した3次元空間における水素拡散シミュレーション
水素はCO2を排出しないクリーンなエネルギー源として期待されているが、水素エネルギーの本格的な社会実装には水素を製造、輸送、利用するための材料開発が必要である。これらの材料開発においては、金属内部の水素のふるまいを理解することが重要となる。本研究では、申請者が開発した水素可視化技術と人工知能を用いて、実験的には観察できない金属内部の水素のふるまいをシミュレーション可能なソフトウェアを開発する。

小林 聖人 神戸大学

グラント番号:JPMJBY24C8
知覚に基づくAI・制御技術統合型ロボットシステム
人間の知覚、いわゆる視覚・触覚等の五感に基づくAIと制御技術を統合したロボットシステムを研究開発します。本研究では、特に視覚と触力覚を有する遠隔制御技術と大規模な基盤モデル等の機械学習技術を糸口とし、制御技術と機械学習技術の統合した革新的なロボットシステムによる作業自律化を導きます。これらシステムが研究支援・産業・サービス業など、多様な分野で自律化を促進し、労働力創出や学際的研究の推進に貢献します。

櫻田 健 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24D3
時空間データのスパースイベント化による計算インフラの超省力化
将来、自動運転車やサービスロボットの普及により伝送・処理・保存されるデータが急増し、計算インフラや消費電力が逼迫します。この課題を解決するため、センサデータの汎用的スパースイベント化手法を構築し、リアルタイム処理可能なセンサデバイスを開発します。そして、計算インフラを超省力化するイベントセンサ分野の基盤システムを確立し世界をリードすることを目指します。

杉下 宗太郎 理化学研究所

グラント番号:JPMJBY24E0
量子時空のランダムネットワーク表現と重力学習模型の構築
量子重力理論では、時空は確率的にゆらいだものであると考えられています。このような量子時空を、ランダムニューラルネットワークとして解釈し、量子重力の性質の解明に挑戦します。また、ランダムニューラルネットワークを量子多体系にも応用し、ホログラフィー対応の知見を用いて、量子状態の予測モデルを構成します。ランダムネットワークによる量子物理の解析を通し、ネットワークの最適化に物理学の手法で迫ります。

杉山 佳奈美 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24E1
AIを活用した化学反応ネットワーク解析の深化
固体触媒は工業的に広く活用されている材料のひとつです。より高機能な触媒をつくるにあたって反応機構の理解は重要な課題となりますが、実験条件、触媒の組成や構造が関与し非常に複雑であるため解析は困難です。そこで本研究ではAIと量子化学計算を活用し、反応過程の詳細な情報が含まれた化学反応ネットワークの構築手法を開発します。またこれを用いて、複雑な触媒反応のメカニズムを解明します。

高橋 雄太 東北大学

グラント番号:JPMJBY24E5
デジタルツイン脳で可能になる精神医学研究
精神医学は脳という計算システムの異常を扱うという点において、他の医学領域とは本質的に異なるAIの貢献が期待されています。しかし、個人ごとに異なる脳計算を数理モデル化することで精神症状を理解する取り組みはまだ萌芽的です。本研究では、患者の脳画像などのバイオデータに基づいて、脳計算モデルを個別化し、治療シミュレーションする技術を開発します。これにより、AI駆動型精神医療の実現に資することを目指します。

中野 晃佑 理化学研究所

グラント番号:JPMJBY24F3
精度と速度を両立した機械学習ポテンシャルの高圧水素諸問題への応用
精度と速度を両立する分子動力学計算を実現する技術として、原子間の多体相互作用を機械学習力場によって記述する方法が注目されています。代表者は、次世代の電子状態計算とされる量子モンテカルロ法による力の計算手法を世界で初めて確立し、機械学習力場の学習データとして利用する道を拓きました。本研究では、そのデータを利用した機械学習力場の構築技術の確立と、未解決問題である高圧水素の状態図計算への応用を行います。

西口 浩司 理化学研究所

グラント番号:JPMJBY24F6
3D生成AIによる構造力学設計の自動化と民主化
本研究の目的は、力学的設計要件を満足する3次元構造を、力学の非専門家であっても自然言語による指示のみで容易に設計できる生成AIを実現することです。その手段として、力学情報と3次元構造がペアになったデータセットで訓練した3次元構造生成AIと大規模言語モデルを融合させたシステムを研究します。この研究により、あらゆる構造設計が民主化・自動化され、ものづくり設計プロセスに変革が起こることが期待されます。

畑 匡侑 大阪大学

グラント番号:JPMJBY24G0
眼底マルチモーダル画像から読み解く老化と疾患発症の予測AIモデル構築
眼は小さな臓器ながら神経や血管など多様な組織を含み、眼底イメージング機器を通じて全身の臓器老化の兆候を反映する「窓」となり得ます。 本研究では、眼底マルチモーダル画像から各組織の年齢を推定し、他臓器の老化や疾患発症の予測モデルを構築します。これにより、非侵襲的な眼底検査で全身の加齢性疾患のリスクを早期に把握し、未病の検出や予防医療の発展に貢献することを目指します。

林 周斗 公益財団法人川崎市産業振興財団

グラント番号:JPMJBY24G3
AIとシミュレーションによる次世代ナノ医薬分子設計
細胞内タンパク質間相互作用は多くの疾患に関与する一方、従来の創薬アプローチではその標的化が困難でした。その主たる要因は、特定の標的組織・標的細胞への選択的な薬物送達の難しさにあります。そこで本研究では、生成AIと分子動力学シミュレーションを統合的に活用し、標的組織・標的細胞への選択的なデリバリーと、タンパク質間相互作用の効率的な阻害を両立するナノ医薬品設計プラットフォームを開発します。

松原 崇 株式会社サイバーエージェント

グラント番号:JPMJBY24H0
コンテンツ生成幾何学の創出
人工知能(AI)技術を用いたコンテンツ生成は近年急速な進展を見せていますが、一連のコンテンツ内で人物や物体の個性が変化しないという同一性や一貫性、指示によって生成内容を決定できる制御性などが不十分であるため、必ずしも社会実装が進んでいるとは言えません。本研究構想では、これらの諸問題を、微分幾何学や力学系理論の言葉に置き換え、定式化することで解決する「コンテンツ生成幾何学」を創出します。

和賀 正樹 国立情報学研究所

グラント番号:JPMJBY24H8
高信頼AIのための実行時検証の発展~離散から連続へ
AIシステムを社会の中で広く利用するためには、信頼性の担保が必要となります。本研究ではシステムの実行時の情報を用いて、数学的な妥当性の元で安全性や公平性などの品質を保証する実行時検証を、より連続的な設定でも適用可能なように柔軟かつ実用的に発展させることで、自動運転車や交通システム、大規模言語モデルなどを含む幅広いAIシステムの信頼性向上のための基盤技術の創出を目指します。

  • ※採択者は、機関間のクロスアポイントメント協定の調整に時間を要する場合等に、クロスアポイントメント先機関で研究開始できる体制が整うまでの間、最長1年間、採択者の資格を持ったまま研究開始を猶予します。
  • ※条件が整い、研究開始され次第、順次本ページに掲載いたします。