JSTトップ>JSTnews>バックナンバー一覧 2017年度>2018年3月号
JSTnewsは、国立研究開発法人科学技術振興機構(略称JST)の広報誌です。JSTの活動と、最新の科学技術・産学官連携・理数教育などのニュースを、わかりやすくご紹介します。
P.03
生命が刻む時間
動物でも植物でも、ほとんどの生物は約24時間の周期的なリズムを刻んで生活している。太陽光など外からの影響を受けなくても自発的に刻まれるこのリズムは、「体内時計」とも呼ばれる。生命は長い時間をかけて地球の自転が生み出す昼夜のリズムに適応し、この時計を獲得してきた。その研究は、それぞれの生物が歩んできた道のり、そして生命の本質に迫るだけではなく、疾患の理解や治療、農業へと応用を広げている。
P.04生命が刻む時間
生物が刻む時間の謎に迫る
地球上に生息するほぼ全ての生物は、約24時間周期で時を刻む体内時計を持ち、睡眠やホルモンの分泌など生理現象を変化させている。京都大学大学院薬学研究科の岡村均教授は、体内時計を制御する時計遺伝子を人間とマウスで初めて発見し、脳の時計が中枢となって全身でリズムを起こす仕組みを解明してきた。時計遺伝子は睡眠障害や時差ぼけだけでなく、生活習慣病の予防や治療にも役立つ可能性を秘めている。
P.08生命が刻む時間
概日時計から見えてきた植物が生き抜く知恵
植物の概日時計にも、動物と同じような役割分担や時計同士の序列はあるのか。未解明だったこの問いに挑んだのが、京都大学大学院生命科学研究科の遠藤求准教授だ。植物の概日時計の本質に迫るべく、独自の解析法を駆使し、研究を重ねている。
P.10生命が刻む時間
植物が刻むリズムを植物工場に生かす
大阪府立大学中百舌鳥キャンパスの一画に位置する植物工場研究センターには、葉菜類を量産し、実用化に向けた技術を検証する工場がある。ここで植物の概日時計の研究を進めているのが、同大学大学院工学研究科の福田弘和准教授だ。植物の概日時計への理解を深め、生体リズムを整えることで植物の成長をデザインすることをめざしている。
P.12第 10 回 戦略的創造研究推進事業 CREST
観測値と予測値の相乗効果で次世代天気予報をめざす
理化学研究所の三好建正チームリーダーは、スーパーコンピューター「京」によるシミュレーションと、高精細気象レーダーや気象衛星「ひまわり8号」の観測値を融合させる「データ同化」を用いて、気象の変化を高精度に高速で予測する手法を開発している。予測困難な突発的豪雨や洪水などの把握が期待でき、次世代気象予報として注目される技術だ。
P.14JSTの最近のニュースから
NEWS & TOPICS
【研究成果】想定外の故障に「即座に」適応可能なクモヒトデ型の移動ロボットを開発 【研究成果】新しいダイヤモンド量子発光体の作製に成功 【開催報告】生き物たちの気持ちになって考えてみよう 【開催報告】「数学パワーが世界を変える2018」CREST・さきがけ数学関連領域合同シンポジウム開催
P.16戦略的創造研究推進事業 ERATO
細胞の繊維で新たな社会を紡ぐ
セルファイバ社 代表取締役 最高経営責任者(CEO)安達 亜希
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体内時計を制御する時計遺伝子を人間とマウスで初めて発見し、脳の時計が中枢となって全身でリズムを起こす仕組みを解明した京都大学大学院薬学研究科の岡村均教授。時計遺伝子は睡眠障害や時差ぼけだけでなく、生活習慣病の予防や治療にも役立つ可能性を秘めている。