JST news 2017年10月号

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JSTnewsは、国立研究開発法人科学技術振興機構(略称JSTの広報誌です。JSTの活動と、最新の科学技術・産学官連携・理数教育などのニュースを、わかりやすくご紹介します。

Index201710月号





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P.03

日本の有機化学をもっと強く

有機化学は日本の「お家芸」ともいわれるほど、世界的に高いレベルを誇る。 その強みを生かし、地球温暖化やエネルギー枯渇など、日本だけでなく世界が直面する問題解決への貢献をめざすのが、ACT-C「低エネルギー、低環境負荷で持続可能なものづくりのための先導的な物質変換技術の創出」だ。國武豊喜研究総括が語るACT-Cの集大成とともに、有機化学に新たな息吹を吹き込む若手研究者たちの挑戦を紹介する。


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P.05日本の有機化学をもっと強く

「切れない結合」を触媒で切る

さまざまな化学結合を切断する手法の開発に力を入れている大阪大学大学院工学研究科の鳶巣守教授は、有機化学の常識では切れないとされていた非常に安定なシグマ結合を、複数の触媒の組み合わせで切断することに成功した。これまでの常識を覆したこの論文は世界中で引用され、医薬品開発や機能性材料開発の分野に大きなインパクトを与えている。


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P.06日本の有機化学をもっと強く

新たな機能をデザインし不可能を可能に

有機エレクトロニクス材料に用いられるパイ電子系と呼ばれる分子群は、分子自体の構造に加え、それらの並び方が性能を左右する重要な鍵となる。名古屋大学大学院理学研究科の深澤愛子准教授は、優れた機能性材料開発を視野にさまざまな新しい分子の設計と合成に挑戦している。


Feature02

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P.08日本の有機化学をもっと強く

コバルト触媒で宝探し

医薬品合成に利用される触媒の多くは、高価な希少金属だ。 北海道大学大学院薬学研究院の松永茂樹教授は、資源量が豊富で安価な汎用金属に、希少金属を超える性能を持たせようと、独自の触媒設計に挑む。まだ知られていない触媒の組み合わせや機能の「宝探し」で、効率的で環境にやさしい医薬品合成をめざす。


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P.10日本の有機化学をもっと強く

斬新な化学反応を求めて
─ひらめきと多様性とチーム力を武器に─

京都大学の依光英樹教授の専門は「有機化学」と非常に幅広い。世界に衝撃を与える斬新な有機化学反応を追求し、有機化学の常識を覆し続ける異端児である。


はかる

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P.12第 5 回 戦略的創造研究推進事業 さきがけ

細胞内の温度変化からミクロの熱収支の謎に迫る

細胞内のエネルギーの流れをテーマに研究を進めているJSTの鈴木団さきがけ研究者(早稲田大学理工学術院招聘研究員)は細胞内部の微小領域の温度を測るナノ温度計の開発で実績を重ねている。これまで細胞内の温度は均一で周囲と同じという前提で研究されてきたが、刺激のある場合、周囲より温度が高い細胞小器官があることが示唆されている。生体の熱収支や熱による細胞の機能の制御などに働く新たな仕組みが見いだされれば、抗肥満薬やがんの温熱療法の開発などへの応用も期待できるという。


NEWS & TOPICS

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P.14JSTの最近のニュースから

NEWS & TOPICS

【話題】着られて洗えるデバイス「e-skin」を開発、個人向け提供を開始
【話題】CO2フリー燃料としてのアンモニアバリューチェーン形成に向けて
    「グリーンアンモニアコンソーシアム」を設立
【研究成果】生きた細胞でDNA収納の様子を観察することに成功
【研究成果】カビの菌糸が伸び続ける仕組みを解明


さきがける科学人

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P.16科学技術情報プラットフォーム

「機械翻訳」で社会に貢献

JST 情報企画部 研究員/京都大学 大学院情報学研究科 民間等共同研究員
中澤 敏明


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表紙画像

表紙写真について

北海道大学大学院薬学研究院の松永茂樹教授は、希少金属であるロジウムの代わりに、資源量が豊富なコバルトの触媒を開発した。反応工程数も減らし、製造費用や副産物削減も実現できる。ドラフトに置かれたビンにはコバルト触媒が入っている。

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