JSTトップ>JSTnews>バックナンバー一覧 2017年度>2017年6月号
JSTnewsは、国立研究開発法人科学技術振興機構(略称JST)の広報誌です。JSTの活動と、最新の科学技術・産学官連携・理数教育などのニュースを、わかりやすくご紹介します。
P.02未来社会創造事業
経済・社会的インパクトを生む、未来社会価値の創造へのチャレンジ~未来社会創造事業平成29年度公募テーマ決定~
P.03超低摩擦で機械製品の革新に挑む
環境・エネルギー技術としての「トライボロジー」
生活の中で摩擦は大きな役割を果たしている。例えばテフロン加工のフライパンは、鉄製のものより材料との摩擦が小さく調理しやすい。滑り止め加工があると働く摩擦が大きくなり、しっかり物をつかんだり置いたりすることができる。 接触面における摩擦や摩耗、潤滑などの現象を扱う学術領域を「トライボロジー」という。 その対象は幅広く、原子・分子レベルでの現象解明から機械システム、人工関節や補助人工心臓などの医療機器、人工衛星、地震予知まで多岐にわたり、多くの要素が絡まり合う「複雑系」のため十分な理解が進んでいなかったが、先端的な観測技術や、シミュレーション技術の進歩、材料化学の発展によって、ナノ科学の光が当たり、メカニズムの理解が大きく進展しつつある。
P.04超低摩擦で機械製品の革新に挑む
摩擦の科学で支える日本のものづくり
摩擦を制御する技術は省エネルギーや機械の長寿命化をめざすうえで重要だ。しかし、摩擦や摩耗の詳細なメカニズムには不明な部分も多く、これらを科学的に解明することで、効率的な摩擦制御技術や超低摩擦技術の開発が飛躍的に進むと期待される。 摩擦面で起きている現象をナノレベルで解明しようとする東北大学大学院工学研究科の足立幸志教授の研究を紹介する。
P.08超低摩擦で機械製品の革新に挑む
柔らかいナノサイズのブラシで機械の摩擦を低減
機械製品の燃費向上や省エネの鍵を握る技術として、急速に注目を集めている「トライボロジー」。そのトライボロジーの視点で、高分子化学の分野から機械製品の低摩擦化に挑戦し、柔らかいナノサイズのブラシ「濃厚ポリマーブラシ」という新素材を開発している京都大学化学研究所の辻井敬亘教授の研究を紹介する。
P.12第 1 回
新たな分野を開く新たなモノサシ
「科学の母 Mother of Science」と呼ばれる計測技術。科学研究や技術開発は、計測技術の進歩なしには成り立たない。今月号からスタートするこの連載では、さまざまな計測技術を紹介していく。第1回は、研究開発戦略センター(CRDS)で計測分野の調査を続けてきた佐藤勝昭フェローと中山智弘企画運営室長に、計測技術の現在を概観してもらった。
P.14JSTの最近のニュースから
NEWS & TOPICS
【話題】世界初となるオンサイトアンモニア生産の実用化をめざす新会社を設立 【研究成果】道路からインホイールモータへの走行中ワイヤレス給電に成功 【研究成果】生きた植物細胞で初めて遺伝子の活性化を観察 【研究成果】イオンの流れを光によってスイッチングできる固体材料の合成に成功
P.16戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)
「理解したい」という強い気持ちが研究の支えに
同志社大学理工学部 教授平山 朋子
ページトップへ
鎖状の有機化合物であるポリマーを、基板材料の表面にナノサイズのブラシ状に垂直に生やした「濃厚ポリマーブラシ」。開発者である京都大学化学研究所の辻井敬亘教授は、この新素材を機械製品の可動部に生じる摩擦の低減に応用する研究をしている。辻井さんが触れているのは、超高圧環境下で濃厚ポリマーブラシを生成する装置。