JST(理事長 中村 道治)は、タイ国家科学技術開発庁(NSTDA)注1)と共同で平成23年にタイで発生した洪水に関する2件の研究・調査課題を支援することを決定しました。この支援は、戦略的国際科学技術協力推進事業注2)「国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J-RAPID)注3)」の一環として行われるものです。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1) 「洪水対策のための数値解析モデルの構築と2011年タイ洪水の最高水位の測定」
(研究代表者:京都大学 防災研究所 竹林 洋史 准教授/国立エレクトロニクス・コンピューター技術センター 大規模シミュレーション研究室 ソーンテーポ・ヴァンナラット 室長)
本共同研究・調査は、2011年洪水中の最高水位と痕跡水位の平均海水面からの高さを計測し、氾濫水の排水システムを検討するための数値解析モデルを構築することを目指すものです。
(2) 「水害地域における網羅的な微生物解析と多環芳香族炭化水素の室内分解試験によるバイオレメディエーションポテンシャル調査」
(研究代表者:独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 藤田 信之 上席参事官/国立遺伝子工学・バイオテクノロジーセンター 酵素研究室 ベラワット・チャンプレダ 室長)
本共同研究・調査は、バイオレメディエーション(微生物による汚染環境の修復) 実施の可否を判断するための基盤情報の整備として、タイ国における分解菌の分布および病原微生物の増殖などの生態系に与える影響について調査を実施するものです。
今回の緊急共同研究・調査課題の募集では2件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびタイ側の外部専門家により評価しました。その結果をもとにJSTおよびNSTDAが協議を行い、研究内容の優位性や研究計画の有効性などの観点から、日本とタイがともに支援すべきとして合意した2件を支援課題として決定しました。日本側、タイ側とも平成24年4月に支援を開始し、研究期間は支援開始から平成25年3月31日までを予定しています。