戦略的創造研究推進事業(公募型研究)における平成17年度
新規採択研究代表者・研究者及び研究課題の決定について


○個人型研究(さきがけ)

戦略目標「光の究極的及び局所的制御とその応用」
研究領域:「光の創成・操作と展開」

氏名 機関名 所属部署名 役職名 研究課題名
芦田 昌明 大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教授 光伝導アンテナによる光電場の直接検出
石川 顕一 東京大学 大学院工学系研究科 助教授 高強度超短パルス短波長光中の原子分子ダイナミクス
井戸 哲也 JILA(Joint Institute for
Laboratory Astrophysics )
- Research Associate 位相コヒーレント真空紫外パルスによる精密原子分光
大村 英樹 独立行政法人
産業技術総合研究所
計測フロンティア
研究部門
研究員 位相制御光による量子的分子操作と極限計測技術への展開
尾松 孝茂 千葉大学 工学部 助教授 トポロジカル光波シンセシス
桂川 眞幸 電気通信大学 電気通信学部 助教授 分子光変調による超高繰り返し超短パルス光の発生
久保 敦 University of Pittsburgh Department of
Physics and Astronomy
Postdoctoral fellow ナノ光学素子中のプラズモンダイナミクスのフェムト秒映像化
熊倉 光孝 京都大学 大学院理学研究科 助手 原子波回路を用いた物質波ソリトンの光学的制御
長谷 宗明 独立行政法人
物質・材料研究機構
材料研究所 主任研究員 コヒーレント物質波制御による電子・光子の操作
菱川 明栄 自然科学研究機構 分子科学研究所 助教授 光電子ホログラフィーによるレーザー場反応追跡

五十音順に掲載

総評:研究総括 伊藤 弘昌(東北大学電気通信研究所 所長・教授)

 光・光量子科学技術は、わが国がこれまで積み上げてきた高いポテンシャルを有する分野であり、さらなる優れた基礎的科学技術の創出が求められています。本研究領域は、光の本質の理解、光に関わる新しい現象・物性の解明、光の制御と光による物質の制御に関する新しい概念・手法の探求などに関して、個人の独創的な発想に基づき、将来もたらされると期待される新パラダイムを見据えたこれまでにない研究を対象に選考を実施しました。
 本研究領域の提案に対し、国公立大学、独立行政法人研究機関、民間企業等の方々から計125件もの応募が有りました。応募内容は、赤外、可視光、紫外の広範な領域の光の発生・伝搬・検知の手法・技術や素子等に関する研究、光と物質の局所的相互作用に関する研究、光による原子・分子の制御、光の波長・振動数、位相、エネルギー密度などの光の本質の理解に関する研究など幅広く寄せられ、特に、超短パルスに関わるものが多く寄せられました。これらの研究提案に対し、光関連領域の専門家からなる14名の領域アドバイザーと共に慎重に選考を行いました。選考にあたっては、研究のねらい、提案者自身のオリジナリティ、研究計画、個人研究に適した実施規模であることなどを考慮しましたが、特に、提案内容が「将来どのような新しい科学・技術分野に展開できる可能性を持っているか」を重視して選考致しました。
 まず書類選考により、特に内容が優れた21件に対して面接選考を行いました。選考の結果、新現象の解明を目指す基礎的研究から素子やシステムの革新を追求する研究に至るまで幅広い研究提案10件を採択することとなりました。採択された提案はいずれもオリジナリティが高く、理論的、実験的裏付けに基づく研究計画を明示し、本研究の成果が光・光量子科学技術に革新性をもたらす事が期待できるものです。また、実験的裏付けが十分でないものの、極めて独創性が高く、実現性に説得力がある提案についても採択いたしました。これらの採択課題の中から21世紀の光科学・技術の新芽となる技術が育つことを期待します。
 倍率が10倍を越える沢山の応募のため、優れた提案でありながら採択に至らなかったものが多くあります。そのため、採択に至らなかった研究提案についても、研究をさらに発展していただき、次年度以降に応募をしていただくことを希望します。今後も新たな原理の発見、方法論の創出や革新的な技術展開の契機となる独創性溢れる提案を期待します。