資料4

新規採択研究代表者・研究者および研究課題概要


○個人型研究(さきがけ)

戦略目標「光の究極的及び局所的制御とその応用」
2 研究領域:「光の創成・操作と展開」
研究総括:伊藤 弘昌(東北大学電気通信研究所 所長・教授)

氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
芦田 昌明 大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教授 光伝導アンテナによる光電場の直接検出 微細加工技術を使って光の波長程度のアンテナを作製し、光電場の瞬間値を超短パルスレーザーでストロボ写真を撮るように捉えることにより、光電場の強度だけでなく位相も検出する方法の原理探索と技術開発を行います。さらに、光の回析限界を超えた超高空間分解能の実現を図ります。赤外から可視の広い範囲に感度を持つ従来にない検出器として分光技術に画期的発展をもたらす他、情報通信技術などへの広い応用が期待されます。
石川 顕一 東京大学 大学院工学系研究科 助教授 高強度超短パルス短波長光中の原子分子ダイナミクス 高強度・短波長・超短パルスという特徴をそなえた最新の光源を応用する技術革新においては非線形光学効果や複数の電子の相互作用の存在下での原子・分子の挙動の理解が大きな鍵を握っています。本研究では、時間依存シュレーディンガー方程式に基づいて厳密な数値シミュレーションを行うことにより、光の場での原子や分子の超高速の振る舞いを解明し、さらには、それを光の波長・位相・偏光によって制御する方法を探ります。
井戸 哲也 JILA(Joint Institute for
Laboratory Astrophysics )
- Research Associate 位相コヒーレント真空紫外パルスによる精密原子分光 光周波数コムは最近小規模な受動キャビティーによる高長波発生によって紫外領域にその範囲を広げました。この紫外域での周波数コムとレーザー冷却技術を組み合わせて、従来にない高分解能での紫外領域の分光およびコヒーレント量子操作を行います。紫外領域にはその精密測定が基礎物理理論の検証に大きく貢献する電子遷移が多数あり、中性原子の高エネルギー状態(リドベルグ状態)を紫外コムによるコヒーレントに直接励起して紫外域でのコヒーレント原子操作の可能性を探ります。
大村 英樹 独立行政法人
産業技術総合研究所
計測フロンティア
研究部門
研究員 位相制御光による量子的分子操作と極限計測技術への展開 提案者はフェムト秒パルスの位相を精密に制御した位相制御光による分子操作技術を開発します。位相制御光は従来の光とは本質的に異なった性質を持っているため、光の位相に依存した新しい量子現象の観測、さらに分子制御の新しい方法論を提示できる可能性があります。光による高度な分子操作技術の基礎研究から計測装置の開発まで連続的な研究を行い、日本初の革新的な計測装置の開発を目指します。
尾松 孝茂 千葉大学 工学部 助教授 トポロジカル光波シンセシス 光の新しいパラメーターであるトポロジカルチャージ(軌道角運動量)を効率よく利用できれば、例えば、液中やガス中に浮遊するサブミクロンレベルの微粒子に光照射だけでトルクを与え、任意の回転速度で駆動できます。本研究は、非線形光学、レーザー工学を高度に駆使して、連続波(CW)からフェムト秒に至る時間領域でトポロジカルチャージを有するレーザー光(トポロジカル光波)を高効率でかつ自在に創成することを目的とします。
桂川 眞幸 電気通信大学 電気通信学部 助教授 分子光変調による超高繰り返し超短パルス光の発生 本研究は、ほぼ完全にコヒーレントに振動/回転する高密度分子集団を形成し、それを高周波の光変調器として用いることで、実用レベルの高繰り返し超短パルス光列を生成することを目的とします。すでに10THz繰り返し、パルス幅10fs、ピーク強度>2MWの超短パルス光列の発生を確立しており、本研究ではこれをさらに発展させ、搬送波位相が固定された10THz繰り返しモノサイクル光を発生させることを目指します。
久保 敦 University of Pittsburgh Department of
Physics and Astronomy
Postdoctoral fellow ナノ光学素子中のプラズモンダイナミクスのフェムト秒映像化 超高速現象の映像化に適した顕微鏡を用い、「表面プラズモン」と呼ばれる、電子の集団的揺らぎの映像化を行います。1秒間あたりの映像のコマ数は、3千兆フレーム(3×1015/S)。表面プラズモンは10nm以下の微小空間に留まったり、また逆に光とはほとんど同じ速度で伝播したりします。その運動を直接観察する事でこの著しい性質について理解し、小型で超高速動作する情報処理デバイスに結びつけることを目標にしています。
熊倉 光孝 京都大学 大学院理学研究科 助手 原子波回路を用いた物質波ソリトンの光学的制御 極低温原子気体で実現されたボーズ・アインシュタイン凝縮体は、原子集団が一つの巨視的な物質波として振舞います。本研究では、レーザー技術を駆使してリング状の凝縮体による“原子波回路”を実現し、この回路上に凝縮体の波動性と非線型性に基づく原子波ソリトンを“信号”として発生してその光学的運動制御を試みます。これにより高感度な原子波干渉計や非線形量子素子としての原子波回路の応用可能性を探ります。
長谷 宗明 独立行政法人
物質・材料研究機構
材料研究所 主任研究員 コヒーレント物質波制御による電子・光子の操作 コヒーレント物質波(フォノン)は、その振動周期と同期した光パルス列を照射することによって光制御できることがわかってきました。本研究では、コヒーレント物質波の振動振幅、周波数や位相を巧みに光制御することにより、この物質波と相互作用する固体中の電子の移動度や光子の特性などを操作することを試みます。さらに将来的には、コヒーレント物質波の制御性を活用した全く新しいフォノン・デバイスの創成を目指します。
菱川 明栄 自然科学研究機構 分子科学研究所 助教授 光電子ホログラフィーによるレーザー場反応追跡 強レーザー場における分子のふるまいを構造の変化として実時間計測するために、内殻光電離によって放出された電子のホログラムを利用した新規手法の開発を行います。これによって光吸収に伴う化学反応過程一般の理解へ向けた新たなアプローチを創出するとともに、レーザー場と分子の相互作用に関する新たな原理の発見と高精度な分子反応制御方法への指針を与えることを目的とします。