資料5

戦略目標


■ 戦略目標:「光の究極的及び局所的制御とその応用」
  (平成17年度設定)
1. 名称
光の究極的及び局所的制御とその応用

2. 具体的な達成目標
 光・光量子科学技術は、非常に幅広い多様な研究分野に関わりを持つ横断的で重要な基盤となる分野である。
 また、天然資源に乏しい我が国は、人的資源の活性化をもとに新規産業を世界に先駆けて創出し、産業面での国際競争力を確保・持続していく必要がある。
 このため、我が国が比較的優位に立っている光・光量子科学技術を核にした次世代基盤技術を早期に開拓することが重要である。
(1)究極的な光の発生技術とその検知技術の創出
・ 究極的に高品質な光源および超小型光情報処理素子の実現を目指した量子ドット、フォトニック結晶、非線形光学などの飛躍的発展
・ 量子通信や極限計測技術の飛躍を目指した単一光子光源や単一光子検出技術の創出
(2)光と物質の局所的相互作用に基づく新技術の創出
・ 近接場光などを活用した回折限界を超えた超微細加工技術の高度化
・ 非線形光学や近接場光などのナノ構造・生体物質の観察・分析技術への展開
(3)光による原子の量子的制御と量子極限光の開拓
・ ボース・アインシュタイン凝縮やフェルミ凝縮などを利用した光による原子の精密制御の開拓や光の本質にもとづく新たな物質科学の創出

3. 目標設定の背景及び社会経済上の要請
(1)量子ドット、フォトニック結晶、非線形光学などの研究開発による高品質の光発生及び近接場光をはじめとする光と物質との局所的相互作用の解明と利活用は極めて重要であり、我が国において最先端の研究を進めている。これらの研究開発は基礎科学への貢献のみならず、産業界への応用など多様な波及効果も期待されることから、今後も我が国が世界をリードしていくために、さらに強化を図る必要がある。
(2)原子の量子制御技術や量子極限光の研究は、光と物質の相互作用や光の本質を解明することによって、光に関する研究開発全体の基礎となるものであり、中長期的な観点から研究開発に取り組んでいく必要がある。

4. 目標設定の科学的裏付け
(1)我が国が主導的に研究開発を行って世界をリードしてきた量子ドットやフォトニック結晶などについては、その利活用が望まれる段階に至っている。また、非線形光学効果活用は材料面での地道な努力などにより、さらなる進展が期待される。
(2)光・光量子科学技術の未だ十分に解明されていない本質的な課題である量子レベルでの物質との相互作用や非線形性の起源などを探究することは、今後の科学技術の展開に必須のものであり、学術的に大きな意義を有する。