JST(理事長 橋本 和仁)は、研究倫理映像教材「倫理の空白Ⅱ 盗用編」を制作し、JSTのホームページに公開しました。
JSTではこれまで資金配分機関として、研究機関で研究倫理教育が着実に行われるよう、eラーニングの普及や研究倫理教材の提供、ワークショップや講習の実施などの支援を行っており、昨年度は、映像を活用した新たな研究倫理教育の教材として「倫理の空白 理工学研究室編」を公開しました。
このたび、研究倫理映像教材の第2弾として、新たに「倫理の空白Ⅱ 盗用編」を制作しました。この映像教材は、不正行為における一類型の盗用に焦点を当てたものです。人文・社会科学系と自然科学系それぞれの研究室を舞台にした2本のドラマで、盗用に至る過程が描かれています。
近年の不正事案では、人文・社会科学系における盗用が相次いでいるほか、自然科学系においても盗用が見受けられ、盗用に対する効果的な研究倫理教育教材を希望する声もあることからこの2分野を取り上げながらも、分野を問わず多くの研究に携わる方々が活用できることを目指して制作しました。
研究者が日々の研究活動で求められる倫理意識をより高めることを目的としており、視聴者自らが主体的に学習できる映像教材です。
人文・社会科学編では、主人公の大学生が学部生時代から倫理的問題を含む行為を繰り返す中で、主人公の行為がついに盗用疑惑につながる過程が描かれています。
また、自然科学編では、1つの共著論文を巡って、ある研究室内における盗用の不正行為疑惑が発生します。当事者間の研究倫理の認識に対する違いなどを契機に、登場人物たちは、大学の不正調査委員会を通じ、自身がさまざまな倫理的問題にさらされていたことを振り返ります。
いずれのストーリーにおいても、他人のアイデアや文章を踏まえて論文を書く際の研究倫理の重要性や、自身が執筆する文章を大切にすることへの認識を深めるシーンを含めており、このドラマを通して疑似的な体験をすることで、研究者としてのあるべき姿を考え、倫理的判断力や態度を養うことができます。
これまでのeラーニングやテキストの知識習得型教材とは異なる、ドラマ形式の双方向型教材により、倫理的問題に直面した具体的な場面を想定しながらの議論ができます。ドラマの視聴とディスカッションを組み合わせたワークショップやグループワークで活用することが最も効果的です。
大学での講義や研究機関での講習など、さまざまなシーンで使用することも可能です。本教材が各研究機関における研究倫理教育の一助となり、研究不正を防止し、責任ある研究活動の推進に資することを期待しています。
研究倫理教材「倫理の空白Ⅱ 盗用編」の映像は、以下のJSTホームページからご覧ください。
URL:https://www.jst.go.jp/kousei_p/measuretutorial/mt_movie_gapinethics2.html
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