別紙

J-STAGE20年の歩み

<背景と経緯>

1990年代、インターネットの普及に伴い、学術出版業界に「電子ジャーナル出版」という新たな出版形態が登場しました。当時の国内の学協会などにおいては、電子ジャーナル出版の必要性について理解は進んでいましたが、独自に電子ジャーナルを公開するシステムを構築するのに多大なコストがかかるため、実際に電子ジャーナル出版を行っている学協会はわずかでした。また、そうしたノウハウを持たない学協会が海外大手出版社に自機関のジャーナルの出版を委託する例も見られるようになっていました。

こうした状況の中で、日本の研究成果情報を国際的に発信していくために、国内に電子ジャーナル出版プラットフォームを構築することが求められ、1999年10月に「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」が誕生しました。

<内容>

J-STAGEは、1999年の運用開始以降、2回の大幅なバージョンアップを行い、時代に即したより良いシステムやサービスを提供してきました。最新のアップデートでは、オープンアクセスの推進を目的として、論文の自由な二次利用を許可する国際標準のライセンス「CCライセンス」を論文ごとに表示する機能を追加しました。

また、幅広い刊行物をオンライン公開したいという国内の学協会などのニーズに応えて、人文・社会科学を含めた科学技術分野全体を対象とし、技術報告書や会議要旨集を加えるなど、登載対象誌の範囲を拡大してきました。さらに、歴史的に重要な明治時代以降の刊行物を電子化したアーカイブ誌も公開しています。

その結果、2019年7月にスペイン高等科学研究院が行った調査注)では、J-STAGEが世界で2番目に多く無料アクセス可能な論文記事を提供するジャーナルポータルサイトであることが示されました。また、2020年1月7日には、登載されている科学技術刊行物の数が3,000誌に到達しました。

<今後の展開>

J-STAGEは今後も時代に即したサービスやシステムの提供を通して、日本の研究成果情報の国際発信力の強化に努めていきます。また、公的な助成によって得られた研究成果を誰もが障壁なく享受できることが求められる時代に、学術情報流通のあり方について検討し、日本の学協会などがジャーナル出版に関する戦略を自ら考える一助となるような情報を提供していきます。

注)スペイン高等科学研究院が行った調査
TRANSPARENT RANKING: Portals of Journals by Google Scholar (July 2019)
世界リポジトリランキング(2019年7月版)
https://repositories.webometrics.info/en/node/33

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