ポイント
- シリコン光集積回路プラットフォームを用いて、スキルミオンと呼ばれるトポロジカルな構造を持つ光ビーム(光スキルミオンビーム)を生成する手法を実証しました。
- 光スキルミオンビームの生成系を従来のベンチトップスケールからマイクロメートルスケールへと飛躍的に縮小しました。
- 本成果は光スキルミオンビームの小型・安定な生成手法を実現するものであり、同ビームの持つ特異な性質を利用した次世代光通信技術や光計測技術への展開が期待されるほか、新たな光・物質相互作用の発見・理解へ貢献することが期待されます。
東京大学 先端科学技術研究センターの岩本 敏 教授、東京科学大学 総合研究院の林 文博 助教(研究当時:東京大学 先端科学技術研究センター 特任助教)、慶應義塾大学の太田 泰友 准教授、東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構の荒川 泰彦 特任教授らの研究グループは、スキルミオントポロジーを持つ特殊な光ビームを、シリコンフォトニクス技術を用いて作製した小型光素子を用いて生成することに成功しました。
本研究では、細線導波路による強い光閉じ込めの結果として顕著に発現する光のスピン・軌道相互作用に注目し、同現象を利用して光の角運動量を制御することにより、微小な光素子によりスキルミオンの特徴を持つ光ビーム(光スキルミオンビーム)の生成を初めて実現しました。光スキルミオンビームは外乱に対し強固な耐性を持つ光通信等を実現すると期待されていますが、従来の生成手法では装置サイズや安定性に課題が残されていました。本成果はシリコンフォトニクス技術で実現できる微小光素子の活用により、この課題を克服できる可能性を示すものであり、光スキルミオンビームが持つ多様な可能性を開花させる要素技術となることが期待されます。
本研究成果は、現地時間2024年11月14日付で、「Optica」誌に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) CREST「トポロジカル集積光デバイスの創成(課題番号:JPMJCR19T1)」の支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(624KB)
<論文タイトル>
- “On-chip optical skyrmionic beam generators”
- DOI:10.1364/OPTICA.540469
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