ポイント
- 光合成細菌の一種であるシアノバクテリアは、二酸化炭素からバイオマスを生産できることから、環境負荷の少ない次世代の有用物質生産者として研究開発が進められている。
- シアノバクテリアは光合成によって生育する際、アミノ酸などを合成するために窒素同化を行う。
- ストレス条件(暗所など)では窒素同化が抑制されるが、そのメカニズムは未解明であった。
- ストレス条件で生産される警告物質が、窒素同化を活性化する化合物の合成を阻害することで、窒素同化の制御に関係することを解明した。
神戸大学 先端バイオ工学研究センターの秀瀬 涼太 特命准教授、加藤 悠一 特命助教、松田 真実 特命助手、蓮沼 誠久 教授らの研究グループは、同大学院人間発達環境学研究科の蘆田 弘樹 教授、静岡大学の大林 龍胆 助教、東京工業大学の今村 壮輔 准教授(研究当時。現 日本電信電話株式会社(NTT) 宇宙環境エネルギー研究所 特別研究員)、田中 寛 教授らと協力して、光合成細菌の一種であるシアノバクテリアにおいて警告物質が窒素利用を制御する際の作用メカニズムを解明しました。今後、本知見に基づいてシアノバクテリアの生育やアミノ酸生産の人為的な制御が可能になるなど、光合成によるバイオものづくりでの活用が期待されます。
この研究成果は、2023年12月26日(日本時間)に国際学術誌「Communications Biology」に掲載される予定です。
本研究の遺伝子発現解析(RNA-seq)は静岡大学 グリーン科学技術研究所によって実施されました。
本研究はJST 未来社会創造事業(JPMJMI19E4)「細胞分裂制御技術による物質生産特化型ラン藻の創製と光合成的芳香族生産への応用」の支援を受けて実施されました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “ppGpp accumulation reduces the expression of the global nitrogen homeostasis-modulating NtcA regulon by affecting 2-oxoglutarate levels”
- DOI:10.1038/s42003-023-05632-1
<お問い合わせ先>
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<研究に関すること>
蓮沼 誠久(ハスヌマ トモヒサ)
神戸大学 先端バイオ工学研究センター 教授
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<JST事業に関すること>
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