ポイント
- 最大で10万本以上の折り目と数万個の面を持つ折紙を自動で折る技術を開発しました。
- これまで、あらゆる多面体を折れる折紙を設計する手法は存在しましたが、設計された複雑なパターンを簡単に製造する手法は存在しませんでした。今回、実質的にあらゆる多面体を自動で折れる製造手法を、世界で初めて実証しました。
- 汎用のUVプリンターと熱収縮するシート状の素材があれば実現できるため、加熱するだけで好きな形に変形するプロダクトとして幅広く応用できると考えられます。
東京大学 大学院工学系研究科の鳴海 紘也 特任講師、川原 圭博 教授、大学院総合文化研究科の舘 知宏 教授、大学院情報理工学系研究科の五十嵐 健夫 教授、宮城大学 事業構想学群の佐藤 宏樹 准教授、Nature Architects株式会社の須藤 海 氏、エレファンテック株式会社の杉本 雅明 氏らによる研究グループは、熱収縮性のシートに折紙のパターンを印刷し、そのシートを加熱することによって、与えられた多面体を自動的に折る技術を開発しました。これまでも折紙構造を自動で折る「自己折り」の技術は複数提案されてきましたが、自動で折れる折り線や面の数は最大で100程度しかなく、作れる形状に大きな制約がありました。本研究では、インクジェット印刷の解像度を活用することにより、従来の1200倍以上の解像度を実現し、最大で10万本以上の折り目と数万個の面を持つ折紙を自己折りすることに成功しました。折紙の研究分野では、理論上あらゆる多面体を1枚の紙から折れることが知られています。しかし、そのような折紙パターンを手で折ると数時間から数十時間の作業が必要になります。本研究成果により、それらの非常に複雑な折紙パターンを数秒から数分で自己折りすることが可能になりました。これにより、実質的にはどんな立体形状でも2次元の製造プロセスと自動変形により実現できることが明らかになりました。
本研究成果は、2023年7月24日(日本時間)に「ACM Transactions on Graphics」に掲載されます(国際会議 SIGGRAPH2023で発表)。
本研究は、「JST ACT-I(課題番号:JPMJPR18UN)」、「インクルーシブ工学連携研究機構 価値交換工学」、「JST AdCORP(課題番号:JPMJKB2302)」の支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Inkjet 4D Print: Self-folding Tessellated Origami Objects by Inkjet UV Printing”
- DOI:10.1145/3592409
<お問い合わせ先>
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東京大学 大学院工学系研究科 特任講師
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