科学技術振興機構(JST),大阪大学

※アンケート項目の選択肢の一部に誤りがあったため、差し替えました(令和4年12月23日)。

令和4年12月8日

科学技術振興機構(JST)
大阪大学

脳神経科学研究に対する社会からの期待と関心が明らかに

~脳とAIが融合する未来に向け、市民と研究者の意識を調査~

ポイント

「BRAIN-AI×HITE」連携活動は、JST ERATO「池谷脳AI融合プロジェクト」(BRAIN-AI Hybrid)と、JST 社会技術研究開発センター(RISTEX)「人と情報のエコシステム」研究開発領域(HITE)が連携して実施する、脳とAIが融合する未来を科学と人文知から考察する越境型の連携活動です。

近年著しく進展する人工知能研究と脳神経科学研究を融合した「BRAIN-AI」の取り組みは、これまで制限されていた脳活動の限界を突破し、人間の能力の拡張をもたらす可能性を秘めています。一方で、人間の脳の中という究極のプライバシー情報の取り扱いや、人間の能力増強につながるテクノロジーが将来もたらし得る格差拡大の可能性、人間の脳とコンピューターをつなげる「Brain-Computer Interface(BCI)」によってなされた決定は誰の意思によるものなのかというアイデンティティーを巡る哲学的課題など、BRAIN-AIの取り組みには、検討しなければならない課題が残されています。

こうした状況を踏まえ、BRAIN-AI×HITE連携活動では、BRAIN-AIの研究に取り組む研究者と、HITE領域からELSIや哲学を専門とする研究者とのコラボレーションを進めています。研究の初期段階から、その技術が人間や社会に与える影響を人文・社会科学の深い知見に基づいて考察することで、BRAIN-AIの研究が人間にとって真の幸福(ウェルビーイング)をもたらし得るものとなることを目指します。

今回、この活動の一環として、一般市民と脳神経科学分野の研究者を対象に、脳科学や脳情報に対する意識調査(以下、本調査)を実施しました。

本調査により、一般市民の中では脳神経科学について「あまり知らない/知らない」状況であるものの、脳神経科学研究への期待感と幅広い関心(技術の活用の可能性や、個人情報保護などのデータガバナンスなどについて)が存在することが判明しました。一方で、脳を巡るELSI/RRIの検討の必要性については、脳神経科学分野の研究者の関心が先行している可能性が見いだされました。

調査結果を受けて、今後は市民参加型の論点抽出ワークショップなどを開催し、脳神経科学研究への一般市民の期待をより具体的に把握するとともに、社会の期待や懸念を踏まえた脳神経科学研究と社会との適切なコミュニケーションの在り方を探索していきます。

※「BRAIN-AI×HITE」連携活動

<活動内容を紹介する冊子および動画>

冊 子:https://www.jst.go.jp/ristex/hite/topics/img/hite_erato_2022.pdf

動 画:https://youtu.be/ra9zu1rbWjM

「BRAIN-AI×HITE」連携活動の詳細は、以下のHPをご覧ください。

URL:https://www.jst.go.jp/erato/ikegaya/elsi.html

本成果は、以下の事業・研究領域間の連携活動によって得られました。

社会技術研究開発事業 研究開発領域:「人と情報のエコシステム」(HITE)

國領 二郎(慶應義塾大学 総合政策学部 教授)
2016年4月~2024年3月

戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO) 研究領域:「池谷脳AI融合プロジェクト」

池谷 裕二(東京大学 大学院薬学研究科 教授)
2018年10月~2024年3月

<プレスリリース資料>

<お問い合わせ先>

(英文)“A survey of researchers and the public on their attitude toward the BRAIN–AI convergence”

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