科学技術振興機構(JST),株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR),大阪大学

令和4年10月21日

科学技術振興機構(JST)
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
大阪大学

河野 太郎 大臣のサイバネティック・アバターについて

~年内に実証実験、社会利用に向けた課題を検討~

ポイント

株式会社国際電気通信基礎技術研究所(以下「ATR」) インタラクション科学研究所の宮下 敬宏 所長および大阪大学 大学院基礎工学研究科の石黒 浩 教授のグループは、内閣府が主導しJSTが研究を推進するムーンショット型研究開発事業の中で、ホスピタリティー豊かでモラルのある対話や行動が可能なCAの実現を目指しています。その研究開発の一環として、大臣のCA利用を通して、CA社会における社会規範を探る実証実験を実施します。

CAを用いると、操作者本人は現場に移動することなく社会活動に参画できるようになるため、業務の効率化が期待できます。また、1人で複数体のCAを同時に操作すれば、さらに生産性が向上します。特に、特定の人物が行わなければならない業務(特定の責任者が説明する場合など)では、操作者本人に酷似した見かけを持つCAを用いれば、その人が現場にいる存在感を出しつつ、遠隔での業務が可能です。一方で、CAが操作者と酷似している場合には、操作者が別人や人工知能だったとしても対面者は本人と思う可能性があります。このような特性を持つCAを用いて社会活動を実現するためには、CAが行ったことを操作者本人が行ったことと見なして良いのかという「本人性の問題」について検討する必要があります。このような問題は、CA利用についての社会制度設計に関わる専門家だけで検討するのではなく、多くの方々にCA利用を実感してもらい、共に検討していく必要があります。

上記の課題が顕著に現れる状況の1つとして、本研究開発プロジェクトでは、年内を目途に、河野 太郎 大臣のCAを用いた実証実験を実施します。その結果も踏まえ、CA利用に必要な社会規範の検討に取り組みます。

本取り組みは、理化学研究所 情報統合本部 ガーディアンロボットプロジェクトの港 隆史 チームリーダーらの協力を得て行います。

本成果は、以下の事業・プログラム・プロジェクト・研究開発課題において推進しています。

ムーンショット型研究開発事業(MS)

「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」
(プログラムディレクター:萩田 紀博 大阪芸術大学 教授)
「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」
(プロジェクトマネージャー:石黒 浩 大阪大学大学院基礎工学研究科 教授)
「存在感CAの開発とCA自在操作インターフェースの研究開発」
(石黒 浩 大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授)
「CA基盤構築及び階層的CA連携と操作者割り当ての研究開発」
(宮下 敬宏 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 インタラクション科学研究所 所長)
令和2年12月~令和7年11月

研究開発プログラムでは、2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現するため、サイボーグやアバターとして知られる一連の技術を高度に活用し、人の身体的能力、認知能力および知覚能力を拡張するサイバネティック・アバター技術を、社会通念を踏まえながら研究開発を推進していきます。
研究開発プロジェクトでは、利用者の反応をみて行動するホスピタリティー豊かな対話行動ができる複数のCAを自在に遠隔操作して、現場に行かなくても多様な社会活動(仕事、教育、医療、日常など)に参画できることを実現します。2050年には、場所の選び方、時間の使い方、人間の能力の拡張において、生活様式が劇的に変革するが、社会とバランスのとれたアバター共生社会を実現します。

<プレスリリース資料>

<お問い合わせ先>

(英文)“Japan’s Digital Minister to become a cybernetic avatar”

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