理化学研究所,科学技術振興機構(JST)

令和4年8月25日

理化学研究所
科学技術振興機構(JST)

シリコン量子ビットで量子誤り訂正を実現

~誤り耐性半導体量子コンピューター開発に指針~

理化学研究所(理研) 創発物性科学研究センター 量子機能システム研究グループの武田 健太 研究員、野入 亮人 基礎科学特別研究員、樽茶 清悟 グループディレクター(量子コンピュータ研究センター 半導体量子情報デバイス研究チーム チームリーダー)らの研究チームは、シリコン量子ドットデバイス中の電子スピンを用いて、3量子ビット量子誤り訂正を実証しました。

本研究成果は、シリコン半導体を用いた量子コンピューターの実現における課題の1つである量子誤り訂正の最も基本的な実装であり、今後の研究開発を加速させるものと期待できます。

量子コンピューターはその性質上、誤りが生じやすく、実用的な量子計算を行うには、誤り訂正技術が必要と考えられています。これまでに2量子ビットまでの基本操作が実現されていましたが、量子誤り訂正に必要な最低3つの量子ビットを高い精度で完全に制御することは困難でした。

今回、研究チームは、シリコン量子ドットデバイス中の電子スピンを用いた量子ビットを用いて、3量子ビットゲート、およびそれを用いた基本的な量子誤り訂正を実装することに世界で初めて成功しました。

本研究は、科学雑誌「Nature」の掲載に先立ち、オンライン版(現地時間2022年8月24日付:日本時間8月25日)に掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「量子状態の高度な制御に基づく革新的量子技術基盤の創出(研究総括:荒川 泰彦)」の研究課題「スピン量子計算の基盤技術開発(研究代表者:樽茶 清悟)JPMJCR1675」、ムーンショット型研究開発事業 目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現(プログラムディレクター:北川 勝浩)」の研究開発プロジェクト「大規模集積シリコン量子コンピュータの研究開発(プロジェクトマネージャー:水野 弘之)JPMJMS2065」、文部科学省 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP) 技術領域「量子情報処理(主に量子シミュレータ・量子コンピュータ)(研究総括:伊藤 公平)」の研究課題「シリコン量子ビットによる量子計算機向け大規模集積回路の実現(研究代表者:森 貴洋)JPMXS0118069228」による助成を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Quantum error correction with silicon spin qubits”
DOI:10.1038/s41586-022-04986-6

<お問い合わせ先>

(英文)“Researchers demonstrate error correction in a silicon qubit system”

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