ポイント
- 九州大学が開発した高い発光効率、高い色純度、低コストの有機ELによる発光技術は、実用化に向けてさらなる高効率化と長寿命化が求められていた。
- Kyuluxはマテリアルズ・インフォマティクスを用い、短期間で高効率・長寿命な材料の開発とデバイス構造の最適化に成功した。
- 次世代有機ELの実用化が加速し、スマートフォン、大型テレビなど広い用途が期待される。
JST(理事長 濵口 道成)は、研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 企業主導フェーズ NexTEP-Bタイプの開発課題「高効率・高純度発色を実現する有機EL発光材料」において、目指していた成果が得られたと評価しました。この開発課題は、九州大学 最先端有機光エレクトロニクス研究センター 安達 千波矢 教授らの研究成果をもとに、平成29年2月から令和元年12月にかけて株式会社Kyulux(キューラックス)(代表取締役社長 安達 淳治、本社 福岡県福岡市)に委託し、事業化開発を進めていたものです。
Kyuluxは量子化学計算と機械学習を組み合わせたマテリアルズ・インフォマティクスを用い、独自の有機EL「HyperfluorescenceTM(ハイパーフルオレッセンス)」による発光技術の高効率化と長寿命化に成功しました。
材料設計では、用いる新規TADF(熱活性化遅延蛍光)材料の選別にマテリアルズ・インフォマティクスを使い、研究者の知識と量子化学計算を組み合わせる従来の材料開発手法に比べ10倍以上のスピードで有望な材料を見いだすことができました。
さらに、電荷のバランスの観点から発光層を最適化し、フルカラー表示に必要な赤・緑・青全ての色で目標の寿命を達成しました。特に赤色では目標の4倍の寿命を達成し、長寿命化が最も難しいといわれる青色においても、開発期間中に目標を達成し、プログラム開始時と比べて100倍以上の寿命を実現しました。
高効率、長寿命を実現する次世代有機ELの有力技術になると期待されます。
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)は大学、公的研究機関などで生まれた研究成果を国民経済上重要な技術として実用化し社会に還元することを目指す技術移転支援プログラムです。企業主導フェーズでは、大学などの研究シーズを用いて企業などが行う、開発リスクを伴う規模の大きい開発を支援し、実用化を後押しします。
※A-STEP企業主導フェーズ(NexTEP-Bタイプ/NexTEP-Aタイプ)は、令和2年度より「A-STEP企業主体(マッチングファンド型/返済型)」として公募しています。
<プレスリリース資料>
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<お問い合わせ先>
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<開発内容に関すること>
薮田 明(ヤブタ アキラ)
株式会社Kyulux 開発企画室
〒819-0388 福岡県福岡市西区九大新町4-1 福岡市産学連携交流センター227号
E-mail:infokyulux.com -
<JST事業に関すること>
沖代 美保(オキシロ ミホ)
科学技術振興機構 産学共同開発部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
Tel:03-5214-8995 Fax:03-5214-0017
E-mail:jitsuyokajst.go.jp -
<報道担当>
科学技術振興機構 広報課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
Tel:03-5214-8404 Fax:03-5214-8432
E-mail:jstkohojst.go.jp株式会社Kyulux 事業開発部
〒819-0388 福岡県福岡市西区九大新町4-1 福岡市産学連携交流センター227号
E-mail:infokyulux.com