東京大学,金沢大学,東北大学,理化学研究所,科学技術振興機構(JST)

※令和2年4月30日付で図5を更新しました。

令和2年4月28日

東京大学
金沢大学
東北大学
理化学研究所
科学技術振興機構(JST)

室温・ゼロ磁場で世界最高の磁気熱電効果を実現する鉄系材料

ポイント

東京大学 物性研究所の酒井 明人 助教、Taishi Chen 特任研究員、肥後 友也 特任助教、東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻・物性研究所およびトランススケール量子科学国際連携研究機構の中辻 知 教授らの研究グループは、金沢大学の見波 将 博士後期課程大学院生(研究当時)、石井 史之 准教授(理化学研究所 客員研究員)、東北大学 大学院理学研究科 物理学専攻の是常 隆 准教授、東京大学 大学院工学系研究科の有田 亮太郎 教授(理化学研究所 チームリーダー)、物性研究所・トランススケール量子科学国際連携研究機構の三輪 真嗣 准教授らの研究グループと協力して、鉄を含む汎用材料で鉄単体より20倍大きな磁気熱電効果(=異常ネルンスト効果)が得られることを発見しました。

磁気熱電効果は従来の熱電変換と異なり、温度差と垂直方向に発電し、大面積化やフレキシブル化が容易で、高効率で発電が行えるという利点を持ちます。本研究により、鉄にアルミやガリウムといった元素を添加することで、鉄単体の場合より20倍大きな磁気熱電効果が得られることを発見しました。特に鉄やアルミは地球上の資源として豊富で、廉価な材料であり、このような汎用材料での巨大な磁気熱電効果の発見はその実用化に向けて大きなブレイクスルーとなります。また、同一面積・温度差あたりの発電量は従来技術を凌駕しており、薄膜型デバイスへの発展が期待されます。

本研究開発における材料探索には、まず、東北大学を中心として第一原理計算を用いた磁気熱電効果を自動的に計算するハイスループット計算手法を開発し、磁気熱電効果の理論値をデータベース化しました。その中から、安価かつ工業的にも利用しやすい鉄系材料に着目して材料の作製と実験を行いました。その結果、本材料の発見につながりました。また、この材料の性能理解のため、金沢大学および理化学研究所で電子状態の詳細な解析が行われました。その結果、ノーダルウェブと呼ばれるトポロジカルなバンド構造に由来していることが明らかになり、今後の材料開発の指針が明らかとなりました。

本成果により磁気熱電効果を利用した熱電変換デバイスの開発が加速し、IoT機器の自立電源などに利用されることが期待されます。

本成果は2020年4月27日(英国夏時間)、「Nature」オンライン版に掲載される予定です。

本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST「トポロジカル材料科学に基づく革新的機能を有する材料・デバイスの創出」研究領域(研究総括:上田 正仁)における研究課題「電子構造のトポロジーを利用した機能性磁性材料の開発とデバイス創成」(課題番号:JPMJCR18T3、研究代表者:中辻 知)、戦略的創造研究推進事業 さきがけ「理論・実験・計算科学とデータ科学が連携・融合した先進的マテリアルズインフォマティクスのための基盤技術の構築」研究領域(研究総括:常行 真司)における研究課題「有効模型化を利用したマテリアルズインフォマティクス」(課題番号:JPMJPR15N5、研究者:是常 隆)の支援を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

(英文)“Abundant element to power small devices”

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