【目標6】2050年の社会像(イラストレーション)

2050年はこんな社会になっているかも?

ムーンショット目標6が実現した2050年がどんな社会になっているのかを描いたイラストレーションです

目標6 社会像イラスト

なぜ量子コンピュータを作るの?

従来のコンピュータの場合:従来のコンピュータは、1と0の組み合わせで情報を表し、その組み合わせや繰り返しで計算を行う。情報の単位を「ビット」と呼び、4ビットで計算を行う場合は、1と0の16通りの組み合わせを1つずつ処理していく。様々なタイプの計算ができる! しかし、効率的な計算方法がない場合、処理する組み合わせの数が多くなると計算に時間がかかる 量子コンピュータの場合:量子ビット(量子の振る舞いにもとづき1でもあり0でもある状態をとる)。4量子ビットはそれぞれが「1でもあり0でもある」ため、16通りの組み合わせを同時に表現できる。量子コンピュータが効率的に答えを絞り込み、短時間で求める答えを得ることができる。 トクイ!膨大な組み合わせの計算が短時間でできる!物質の分子中の電子の状態など、量子の振る舞いを「量子のまま」効率的にシミュレーションできる! 化学反応や生命現象が起こるときの電子の状態など、従来のコンピューターでは計算に時間がかかって難しい量子を扱う研究が進む。人工光合成や窒素固定の実現、今までにないアプローチでの材料開発や創薬が発展することが期待されている。

どうやって量子コンピューターを作るの?

量子ビットの間違いを正す: 誤り耐性型汎用量子コンピュータの実現

演算を続けると、量子ビットの制御の誤差によるエラー(誤り)が蓄積して、答えの精度が下がってしまう。従来のコンピュータもエラーを起こすが、訂正する機能がある。2050年、「誤り耐性型」になれば、正しく演算が続けられる!量子ビットを複数個連携させて、1個分の情報を表す。量子ビット全体を見て、連携する量子ビットの間に乱れがあればエラーを訂正して演算を続ける。

もっとたくさんの量子ビットが必要!

誤り耐性型の量子コンピュータを作るには、数百万から一億個の量子ビットを安定して使う必要がある。今の量子コンピュータの量子ビット数はまだ100個未満。

誤り耐性型汎用量子コンピュータが導く2050年の社会

「省エネ」な生物の営みを正確に理解

20世紀初頭に発明されたハーバー・ボッシュ法は窒素肥料の原料となるアンモニアの工業生産を可能にし、人類の繁栄を支えてきた。しかし現在、窒素肥料の生産には人類が消費する全エネルギーの数%が費やされており、地球環境に大きな負担をかけている。
一方で、菌が行う天然の窒素固定(空気中に存在する窒素分子を、窒素化合物に変換する反応)は、ハーバー・ボッシュ法に比べるとはるかに省エネルギー、省資源だ。窒素固定を人工的に再現できれば、エネルギー問題、食料問題、地球温暖化など、私たちが抱える様々な問題の解決につながるだろう。
なぜ、生物は当たり前のように複雑な反応を効率よく行うことができるのか。その秘密は反応に関わる物質を構成する量子のふるまいにあると考えられているが、複雑に絡み合う量子状態はスーパーコンピュータを使っても厳密に計算することが難しい。しかし誤り耐性型汎用量子コンピュータがあれば、生物が行う反応中の量子状態を厳密に計算(再現)することができる。

複数の量子コンピュータをネットワークで連携させることで、大規模な計算を高速で行う

持続可能な安全で豊かな社会

人工光合成の実現。太陽の光と水を使って、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を酸素と有機化合物に変える。 様々な反応の量子状態を厳密に計算し、物質の性質を正確に予言することが可能になるため、創薬や室温超伝導物質などの材料開発が飛躍的に加速する。/人工窒素固定の実現。省エネルギーでありながら、空気中の窒素から窒素化合物を効率よく合成できる。

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国立研究開発法人科学技術振興機構 ムーンショット型研究開発事業部 目標6 担当

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