プロジェクト紹介
目標10 研究開発プロジェクト(2025年度採択)空間光蓄積型レーザーフュージョン発電炉
プロジェクトマネージャー(PM)藤岡 慎介大阪大学 レーザー科学研究所 高エネルギー密度科学研究部門 教授/Blue Laser Fusionエネルギー協働研究所 所長
概要
レーザーフュージョンによるエネルギー増幅(=点火)は実証されましたが、レーザーフュージョンをエネルギー源として実用化するためには、この反応を1秒間に10回以上という高い頻度で安定して繰り返す必要があります。この高繰り返し動作の実現が、現在のレーザーフュージョンにおける最大の技術的挑戦であり、本プロジェクトの目標です。
本プロジェクトでは、まずパワーレーザーの高繰り返し化に焦点を当て、ここで技術的ブレークスルーを生み出すことを目指します。中核技術は、光エネルギーを空間に蓄積する新方式パワーレーザー「Optical Enhanced Cavity(OEC)レーザー」です。これは、レーザーフュージョン用ドライバーとして使われている従来の固体ガラスレーザーなどで課題となっていた熱の問題を回避できることから、高繰り返し動作や高効率、さらには低コストの実現が期待されています。
さらに、本プロジェクトではフュージョン研究全体を加速させる共通基盤としてこのOECレーザーを位置づけ、レーザー照射、燃料供給、計測、解析、シミュレーションを統合した自律型研究システム”OEC-laser-based Autonomous System for Innovative fusion Sciences (OASIS)”の構築を目指します。これまでのレーザーフュージョン実験は固体ガラスレーザーを用いて行われてきましたが、熱の問題などによって実験の頻度が低くなり、十分なデータが得られなかったため、フュージョン発生条件の検証など研究開発の進展が大きく制約されていました。そこで、OASISを活用することで、フュージョン発生条件の最適化を高速に進め、技術・知見を体系的に蓄積し、レーザーフュージョンの実現に貢献します。

図1.OECレーザーを活用したフュージョンエネルギー装置(出典:AIによる生成)
2034年までのマイルストーン
- 高出力・高効率・高繰り返し動作を同時に満たすパワーレーザーとしてOECレーザーを確立し(10kJ/1Hz/総合効率10%)、レーザーフュージョン用ドライバーとしての有効性を実証。
- OASISの活用により、実験・理論・シミュレーションを統合した数理炉設計を完了し、レーザーフュージョン発電炉の成立性を科学的・工学的に明確化。
2029年までのマイルストーン
- OECレーザーのレーザーフュージョン用ドライバーとしての技術的成立性を明確化。
- OECレーザーから安定に光を取り出し、フュージョンプラズマ実験への供給を実証。
- 既存の大型レーザー施設等を活用した実験データと実験エミュレーターを統合し、レーザーフュージョンに必要な燃料物理や照射条件に関する定量的理解を獲得。
- OECレーザーを活用した高繰り返し実験を支える研究開発基盤として、自律型研究システム「OASIS」の中核機能を構築し、高速な実験・解析サイクルを実現。
課題推進者
| 研究開発項目[1-1][1-2] | 藤岡 慎介 | 大阪大学 レーザー科学研究所 高エネルギー密度科学研究部門 教授 |
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