プロジェクト紹介

星 健夫PM 写真

目標10 研究開発プロジェクト(2024年度採択)超次元状態エンジニアリングによる未来予測型デジタルシステム

プロジェクトマネージャー(PM)星 健夫自然科学研究機構 核融合科学研究所 教授

概要

本プロジェクトでは、核融合反応を発電や様々な場面で利用するフュージョンエネルギーシステムの設計や性能試験をデジタル空間上で行えるデジタルプラットフォームおよびバーチャルラボラトリ(仮想実験室:Vラボ)を構築します。
デジタル空間上でフュージョンエネルギーシステムにおけるプラズマ(電離したガス)の状態や構成機器の複雑性と時空間スケール(時間的・空間的な広がり)を再現するために、時間軸・空間(座標)軸・速度軸・物理量などが組み合わされた「超次元データ空間」(図1)を新たに定義し、その特異な空間の特性を組み込んだ計算手法を確立します。さらに、その計算手法を「超次元状態エンジニアリング」として応用できるようにするために、これまでにない革新的AI/データ駆動科学技術を開発します。
これにより、フュージョンエネルギーシステムの実験をデジタル空間上で実施できるVラボを構築し、デジタル空間上での未来(次世代)のフュージョンエネルギーシステムの要素技術やシステム全体の性能予測(未来予測)を可能にします(図2)。本プロジェクトによって、リアル空間では多大な時間とコストを要する試行錯誤(試作機を開発し性能試験を行うこと)のプロセスを大幅に低減させることで、多様なフュージョンエネルギーシステムの早期の社会実装やコスト削減を実現し、フュージョンエネルギーが供給される社会を目指します。

図1.「超次元データ空間」の模式図
図1.「超次元データ空間」の模式図
図2.未来予測技術の模式図
図2.未来予測技術の模式図

2034年までのマイルストーン

デジタル空間上に構築した3種Vラボ(①磁場閉じ込め方式、②慣性閉じ込め方式などの発電向けフュージョンエネルギーシステムおよび③中性子照射などの材料実験施設)において、リアル空間の既存装置の実験結果を使ってベンチマークを行い、3つ全てのVラボがリアル空間の既存装置の実験を再現することを実証します。さらに、Vラボがフュージョンエネルギーシステムの未来予測機能を持ち、その未来予測機能は汎用性があることを実証します。

2029年までのマイルストーン

デジタル空間上に構築した3種Vラボにおいて、リアル空間の既存装置の実験結果を使ってベンチマークを行い、3つのVラボのうち1つがリアル空間の既存装置の実験を再現することを実証します。

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