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2024/10/18
ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標10 プロジェクトマネージャー(PM)採択者一覧
ムーンショット目標10「2050年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現」
プロジェクトマネージャー(PM) | 研究開発プロジェクト名 |
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奥野 広樹(理化学研究所 仁科加速器科学研究センター 核変換技術研究開発室 室長) | 革新的加速技術による大強度中性子源と超高温プラズマ維持装置の開発 |
木須 隆暢(九州大学 超伝導システム科学研究センター センター長) | 多様な革新的炉概念を実現する超伝導基盤技術 |
星 健夫(自然科学研究機構 核融合科学研究所 教授) | 超次元状態エンジニアリングによる未来予測型デジタルシステム |
※ 研究開発プロジェクト名は、採択後の作り込み(提案した研究開発プロジェクトの見直しおよび具体化)を経て変更される場合があります。
<総評> PD:吉田 善章(自然科学研究機構 核融合科学研究所 所長)
2050年という私たちの未来が、地球環境と調和しながら活力ある社会であるために、フュージョンエネルギーという新しい技術を手に入れる——このことを目指して、ムーンショット目標10(以下、「MS10」)が2023年度に策定されました。フュージョンエネルギーの実用化は、70年余りにわたって世界の研究者が結集して挑戦してきた大きな夢です。その早期実現が求められる中、MS10は、研究開発を加速できる破壊的イノベーションを生み出す役割を担っています。この重要な任務を遂行するために、幅広い専門分野に協力を呼びかけ、新しい血(知)を入れた研究チームを編成して取り組みます。
プロジェクトマネージャー(PM)及び研究開発プロジェクトの募集に対して47件の応募がありました。選考にあたっては、プラズマ・核融合学、物理学、化学、数理科学、天文学、経済界など幅広い分野から10名の有識者にアドバイザー(選考委員)として協力いただき、多角的な視点から、研究の挑戦性と確実性のバランスを慎重に評価しました。特に、従来の研究の延長線上にはない意欲的な挑戦であること、研究計画が緻密で筋が通っている(論理矛盾や中心的課題の置き去りが無い)こと、実力のある研究開発チームが提案されていること、社会実装に向けた具体的な戦略を有することを選考のポイントとしました。一次選考によって8件を選択し、これらに対しては質問・コメントを伝達して計画書のブラッシュアップを求めた後、二次選考を実施しました。最終的に、3件のPM及び研究開発プロジェクトの採択に至りました。
採択された3件は、いずれも、2050年までにフュージョンエネルギーの多面的な活用を目指すMS10の趣旨に適った計画であり、マイルストーンの具体性が高い優れた提案でした。他方、今回採択に至らなかった提案の中にも、フュージョンエネルギーの実用化に資する挑戦的で魅力的な要素研究が数多くありました。ムーンショット型研究開発事業の特徴として、個別の要素研究を束ねた「パッケージ」をプロジェクトとして募集することから、プロジェクト全体の挑戦性、国際的競争力、自己無撞着性などの観点から採択に至らなかったことは残念でした。ポートフォリオを俯瞰する中で、必要な要素研究の取り込みを検討して行くつもりです。
フュージョンエネルギーの多面的な応用を目指すMS10の目標達成のためには、未だ十分な研究実施体制が完成したとは言えません。広く分野やセクターを超えた連携が必要となるため、積極的な情報発信やワークショップ等を行い、幅広い科学技術分野、産業界、行政、海外の研究開発機関や企業などのステークホルダーとオープンに議論しながら、PIの選定、PM・研究プロジェクトの追加などを行うことが必要だと考えています。世界の動向を見極めつつ、プログラムの一層強化に努めて参ります。