低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2021-PP-19

地域自立化に向けた市町村別経済活動の現状分析と方向性

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概要

 人口減少と高齢化の進む日本の脱炭素社会実現において、地域がどのような姿をとるべきかは長く議論が交わされてきた。その中で二つの大きな方向性が取り上げられた。一つはエネルギーや経済の効率化を求め居住や産業の都市部への集中化を目指し、他の一つは自然環境を重視する生活への志向と再生可能エネルギーや農業、観光など地域性ある資源の利活用の視点から、人口と経済の地方への分散化を目指すものであった。その典型は、2005年の藤野による「ドラえもん社会とさつきとメイ社会」[1] に見ることができる。

 地域の持続可能な将来像を具体的に描くにあたり、まず必要なことはその地域の社会経済の現状と過去の推移を定量的に把握しておくことである。本提案書では、将来の持続可能な日本の姿の議論の前提となる地域経済の現状と可能性を全国約1,700市町村の統計に基づき分析する。まず市町村の経済活動の推移を、人口成長率、財政力指数および全産業、製造業、農林水産業、飲食宿泊業、商業の一人当たり売上生産性の成長率で8のパターンに分類した。これらのマクロ指標で成長が示されない場合は、農業、漁業、宿泊飲食業ではさらに細分化した商品分類の成長をみることで、将来性を探る。分析の結果、人口減少と財政力指数が低下傾向にあっても、詳細に見ると地域性を活かした特色ある産業を持つケースが多いことが示された。このような産業をどのように地域に残し育てるかが今後の脱炭素社会への重要な課題である。既存産業の成長機会に乏しい地域では、新たなオプションとして、バイオマス炭化水素利用、データセンター誘致、スポンジ化した街区へのサテライトオフィス誘致を取り上げる。
 また、人口減少が進む地域では、市町村の合併による財政力指数改善の可能性を評価した。結果、日本の市町村は約20%が統合化され減少するが、長期的にはなお集約化が必要と予想される。
 これらの自立の困難な市町村では、統合後に行政サービスをICT他のサービスで補うことが必要である。ICT利用は行政サービスだけでなく、自然資産の効率的管理を経たバイオマス資源の新しい利用形態の導入による産業からの地域経済への貢献、島嶼部ではICT技術によるモニタリングと安全保障への寄与など行政による支援などが考えられる。

提案書全文

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