LCS-FY2018-PP-04
地熱発電(Vol.5)
—水圧破砕による誘発地震の低減に関する提言—
概要
地熱発電の発電量は、2015年において全発電量の 0.3%を占めるに過ぎず、再生可能エネルギーの中で確たる地位を得るには、地熱発電の割合をさらに高める必要がある。これを達成するために、高温岩体発電は有望である。高温岩体発電の開発にあたり、人工貯留層を造成するために実施される水圧破砕による誘発地震の抑制が、課題のひとつである。
誘発地震の最大マグニチュードは、天然亀裂密度が低くなるほど大きくなり、天然亀裂密度の対数と負の比例関係にあることを2017年度に公表したLCS提案書(FY2017-PP-05,2018年1月)に示した。
本報告では、水圧破砕が実施された6サイト(肘折、雄勝、Soultz、Newberry、Basel、Cooper Basin)について、天然亀裂密度と地震エネルギーの関係を調べることにより誘発地震エネルギー総和が注水エネルギーと天然亀裂密度の関数で表されることを明らかにした。また、最大誘発地震エネルギーと誘発地震エネルギー総和を比較することにより天然亀裂の間隔分布が誘発地震に影響することを示した。
エネルギーの観点から誘発地震を解析することにより高温岩体発電の設計に役立つ情報を得ることができ、地下構造との関係を明らかにすることにより誘発地震の抑制ができることを明らかにした。