LCS-FY2017-PP-05
地熱発電(Vol.4)
—高温岩体発電の水圧破砕による誘発地震に与える地下構造の影響—
概要
高温岩体発電の人工貯留層を造成するために水圧破砕が実施される。水圧破砕によって誘発される地震エネルギーは、各サイトの岩石種類と地下構造によって異なることを前LCS提案書(FY2016-PP-04(2017年3月))で示した。
本報告では、エネルギーの観点から誘発地震と地下構造の解析を行うこととし、具体的には地下構造として既存の天然亀裂の密度を取り上げた。6サイト(雄勝、肘折、Soultz、Cooper Basin、Basel、Newberry)の天然亀裂密度を文献調査し、誘発地震のマグニチュードとの関係を明らかにした。その結果、坑井から採取された地質コア試料の天然亀裂密度を調べることにより、水圧破砕による誘発地震の最大マグニチュードを推定できるという結論を得た。
最大誘発地震エネルギーと天然亀裂密度は、天然亀裂密度から計算される岩石平均面積と坑井の開口部長さを導入することにより、密接な関係にあることを明らかにした。また、最大誘発地震エネルギーは、天然亀裂密度と関係があるだけでなく、水圧破砕の注水エネルギーとも関係があることを示した。それに基づき、天然亀裂密度をパラメータとして注水エネルギーと最大誘発地震エネルギーを関係付ける最大誘発地震エネルギーチャートが重要であることを指摘した。