低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2015-PP-18

九州地域における太陽光発電大量導入と過渡安定度を考慮した電力システムの新しい経済的負荷配分制御の研究

概要

 低炭素社会を目指す国際状況において、太陽光発電(PV)の割合は増加する傾向にあるが、PVの増加によって系統の安定性が低下することがわかっている。日本においても固定価格買取制度(FIT)の影響によってPVの発電量が増加しており、特に九州地域において顕著である。九州電力管内では最大需要15GW程度に対してFITにより認定され導入が検討されている分の合計が19GWになっており、近い将来にPVが九州電力管内の系統の安定性に対して影響を与えることは明らかである。

 PVの予測の不確実性による安定性の低下については、既存の設備容量の予備力を評価して需給を一致させるという研究例がある。しかしPVが大量に接続されたときの安定性を考慮した経済的負荷配分について考察している論文は殆どないため、本研究をするに至った。
 本研究の手法は、大きく2つある。まず1つ目は、九州を4つの地域に分けて評価することで、地域ごとにPVがどの程度導入可能であるかの計算手法を提案すること。そして2つ目は、その手法を用いて主たる送電線ごとに過渡安定度を考慮したPVによる有効電力に対する安定性の制約を与えた場合と与えない場合でのPVの抑制量の違いを計算することである。シナリオとしては、九州電力が発電設備接続可能量として掲げている容量である8.17GWのPVが導入された場合の5月の第1週の週間電源運用計画を考える。
 PV大量導入時の系統の安定度について考慮すべきであるということと、PVの出力を抑制する際に蓄電池や水素エネルギーなどの電力貯蔵設備について議論する必要があるという課題に対し、マネジメント手法の1つの指針として本研究の手法を用いることを提案する。

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