戦略的創造研究推進事業

JST HOME戦略的創造研究推進事業TOP募集要項 > III.「研究領域の概要」、および「研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針」 「エピジェネティクスの制御と生命機能」
本ページに直接来られた方は、必ず上部タブ「TOP」をご確認の上、以下ご閲覧下さい。
募集要項

III.「研究領域の概要」、および「研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針」

【さきがけ】
○戦略目標「細胞リプログラミングに立脚した幹細胞作製・制御による革新的医療基盤技術の創出」の下の研究領域

エピジェネティクスの制御と生命機能

研究総括:向井 常博
(佐賀大学 理事・副学長)

研究領域の概要

 本研究領域は、エピジェネティクスの制御と生命機能の解明という視点をもった研究を対象とします。より詳しくは、エピジェネティクスの制御機構の解明、様々な生命現象とエピジェネティクスの関わり、エピジェネティクスの多様性や異常がかかわる疾患の解析を対象とします。それらの研究を通してエピジェネティクスの生命機能としての分子基盤を明らかにする事で、細胞リプログラミングに立脚した幹細胞作製・制御による革新的医療基盤技術の創出を目指します。
 具体的な研究内容としては、1) 動植物を問わずさまざまなモデル生物を用いてエピジェネティクスの制御機構をいろいろな角度から追求し、明らかにする、2) エピジェネティクスの個体差・多様性を探るとともに、エピジェネティクスの異常にもとづく疾患の解析を行なう、3) エピジェネティクスの解析や制御に資する技術の開発を行う、といった課題が考えられます。

このページのトップへ

研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針

 エピジェネティクスの関わる生命現象は、発生、分化、老化の調節、染色体の構造の安定化、遺伝子量の補償など多岐にわたります。最近では、iPS細胞に代表される細胞のリプログラミング、核移植によるクローン細胞の作成、がんの治療などにおいてエピジェネティクスの重要性が認識され、その人為的な制御も重要な課題として浮かび上がってきています。このように生命現象のさまざまな場面でのエピジェネティクの関与は、この領域の研究が広範囲、かつ、喫緊の課題であることを示しています。
 この研究領域では、エピジェネティクスの制御と生命機能の解明という視点をもった、自由な発想による、創意に満ちた基礎的、応用的研究を対象とします。従って先ずエピジェネティクスの制御機構の解明を基盤とした研究が望まれます。現在DNAと結合蛋白との相互作用の研究が精力的に進められていますが、その中でDNAメチル化、様々なヒストン修飾、小分子RNAを初めとする機能性非コードRNAなどの諸因子群のクロストーク、ネットワーク化による調節機構の統合的理解が求められています。また、各種生物の変異体の解析などは機構解明に大きく貢献するでしょう。これに限らず、制御機構の解明に向けて多角的視点でアプローチし、エピジェネティクスが自在に制御できるようになることが進むべき方向だと思います。一方、エピジェネティックな現象は細胞からから細胞へと受け継がれる反面、一卵性双生児を通した研究などから個体差・多様性があることも観察されています。多様性の頻度、その意義なども明らかにされるべき課題です。他方、エピジェネティクスの異常による先天性疾患のみならず、がんを初め、統合失調症、生活習慣病などの後天性疾患でもエピジェネティクスの関与が報告されており、早急に取り組むべき課題と思います。エピジェネティクスの研究の発展にはブレークスルーをもたらす技術開発も合わせて必要です。例えば、エピジェネティクマークが生細胞で可視化できるようになれば医療には有用でしょう。また、病気の治療という観点からは、人為的にエピジェネティクスを制御する方法の開発なども視野に入れておく必要があるでしょう。例えば、特定部位にエピジェネティクな変化を挿入したり、あるいは削除したりするなどです。なお、平成21年度から大挑戦型研究がスタートしますが、斬新な発想のもとチャレンジングな研究テーマを歓迎します。

この要項の目次へ
English 女性研究者のみなさまへ(CREST) 女性研究者のみなさまへ(さきがけ) JDreamII JSTから情報をお届けします