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募集要項

III.「研究領域の概要」、および「研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針」

【さきがけ】/【CREST】
○戦略目標「社会的ニーズの高い課題の解決へ向けた数学/数理科学研究によるブレークスルーの探索(幅広い科学技術の研究分野との協働を軸として)」の下の研究領域

「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」

研究総括:西浦 廉政(北海道大学電子科学研究所 教授)

研究領域の概要

 本研究領域は、数学研究者が社会的ニーズの高い課題の解決を目指して、諸分野の研究者と協働し、ブレークスルーの探索を行う研究を対象とするものです。謂わば21世紀におけるデカルト流の数学的真理とベーコン流の経験則の蓄積との統合を目指すものです。
 諸分野の例として、材料・生命・環境・情報通信・金融などが想定されますが、社会的ニーズに対応した新しい研究課題の創出と解決を目指すものであればこの限りではありません。
 諸分野の研究対象である自然現象や社会現象に対し、数学的手法を応用するだけではなく、それらの数学的研究を通じて新しい数学的概念・方法論の提案を行うなど、数学と実験科学の融合を促進する双方向的研究を重視するものです。

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研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針

 高度に発達した現代社会を見えない部分で支えているのが数学の特徴です。見えない部分という意味は、裏方としての基盤的側面のみならず、日常の人間の感覚を超えた複雑な問題に対して、目に見える「もの」という形ではなく、それに対する斬新な「見方」を提示することで、新たな解決の糸口を提供するという面も含みます。
 現代の科学や社会が孕む多くの困難な問題に現代数学が本質的にできる寄与は後者に属すると考えられます。例えば、高度な計測技術による材料科学や生命科学における膨大な時空間データと階層的かつネットワーク型の自己組織化ダイナミクスは、数学が提供する概念を介さずには理解が困難と思われます。また環境、経済、情報、輸送、サービス、医療から人間心理に至る複雑で不確実な社会に山積する全人類的課題に、数学は定量的記述の枠組みを与えるのみならず、そこに潜む根源的な問題の所在や、一見無関係な諸問題相互の関連性を浮かび上がらせる機能を果たすと期待されます。数学のもつ強力な普遍性が、これまで困難と思われていた問題群に光を当てる契機となると考えられます。
 数学の姿は本来開かれたものであり、また諸科学と不可分のものであると思われます。しかし、前世紀の論理的厳密性の危機を乗り越えた数学は、その内的運動により自律的に深化することが可能になると同時に諸科学との乖離傾向を歩み始めたことも否定できません。本研究領域の推進により、これまでの膨大な数学的蓄積に光を当て、全く新たな応用を見出すと共に、数学者が異なる研究分野に深く関わることにより、単なる表層的応用を越えた新たな数学的概念の創出を実験科学者と共に目指すような研究課題が期待されます。
 実施体制については、平成21年度は個人型研究(さきがけ)及びチーム型研究(CREST)の2つのタイプで行います。さきがけは新たな数学の可能性の開拓、CRESTは世界トップレベルのクロスディシプリナリーなチームによる協働型研究を実施します。予算規模はこれまでのさきがけあるいはCRESTと必ずしも同程度である必要はなく、小規模でも申請可能ですが、本研究領域の趣旨を踏まえたものであることが必要条件となります。単に名前を連ねた論文発表だけにならないように、緊密な情報交換と協働作業に努めて研究を実施することを望みます。

●個人型研究(さきがけ)
 若手・中堅の研究者による数学と実験科学の新たな交流を促す萌芽的ではあるが挑戦的な研究課題や、上に述べた様々な諸問題を全く新たな数学の観点からとり上げた独創的な研究課題が望まれます。とりわけ理論系の若手研究者が異なる諸分野の研究室や実験現場、企業等に一定期間常駐し、その中で協働するトータル・イマージョン(全没入)型の取り組みにも期待します。研究期間については3年間を標準とします。

●チーム型研究(CREST)
 数学者と実験科学等の諸分野の研究者が協働し、融合的・実証的に研究を行い、新たな数学分野、概念の創出や全人類的課題に対する新たな数学的視点、方法論の開拓につながるものを期待します。比較的規模の小さいチーム型研究を主たる対象としますが、テーマが格段に優れ、チーム編成に必然性があれば、この限りではありません。並置的なチーム編成にならないように研究代表者の強い統率力を望みます。但し、本研究領域の趣旨に合致した研究課題の提案が多くない場合には、採択数が少なくなることもあります。チームの国際性にも配慮し、とくにPost-doc(研究補助者)については国際公募を原則とします。
 研究期間については、5年間を標準としますが、CRESTについては、研究の進捗状況によっては、必要に応じて規模や期間の見直し、共同研究者の入れ替えやテーマの一部変更を行うなど、研究総括と研究代表者が協議して柔軟な領域運営を実施します。また3年目の中間評価等の結果によっては研究課題を中止する場合があります。 開拓精神に溢れた多くの研究課題が提案されることを望みます。

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