水の循環系モデリングと利用システム

 

第2回領域シンポジウム
ポスターセッション

  

沖大幹研究チーム


P001 世界水循環水資源モデルを用いた水資源アセスメント
P002 衛星画像と穀物生産力モデルを用いた灌漑農地抽出と灌漑水量推定
P003 都市用水量の現状分析と将来予測モデリング
P004 2020年までの国際交易と農業土地利用変化
P005 アジアの経済発展と水質


 
P001 世界水循環水資源モデルを用いた水資源アセスメント
沖大幹、喜連川優(東京大学生産技術研究所)
安形康(東京大学新領域創生科学研究科)その他

 本プロジェクトの全体像を示すとともに、世界水循環水資源モデルの現段階における現在(2000)・将来(2050)推計を示す。大循環モデル(GCM)を用いた温暖化実験結果の水循環場に存在するモデル独自の時空間バイアスを可能な限り除去した信頼性のより高い現実的な予測降水量分布を作成し、環境用水(河川生態系を維持するために必要な水量)・農業活動(灌漑・ダム操作)を組み込んだ全球水循環モデルに与えることにより、水資源アセスメントに用いられる一人当たりの水資源賦存量が算出される。どのような評価軸で評価するのかはまだ議論中ではあるが、いくつかの結果を例示する。
 また、本プロジェクトで行っているGSWP(全球土壌水分プロジェクト)の全球陸域水文量推定に関して、最先端のWeb技術・データアーカイブ技術を駆使した相互比較センター(ICC)及びデータダウンロードセンター(DDC)を紹介する。

 
P002 衛星画像と穀物生産力モデルを用いた灌漑農地抽出と灌漑水量推定
安岡善文、柴崎亮介(東京大学生産技術研究所)その他

 東京大学生産技術研究所でアーカイブを行っている東アジアおよび東南アジアのMODISデータ受信領域における水田分布マップを作成した。狭域から広域へとスケールアップする手法をASTERとMODISとの間に適用し、東アジアおよび東南アジアにおける国ごとのデータベースを整備し、水田分布図作成モデルを開発した。作成したデータベースとモデルによって得られた1kmグリッドの水田面積比率分布図を、国際稲研究所(IRRI)、世界食料機関(FAO)、各国の農業関連省庁より発行されている統計データをもとに検証した結果、現在大陸レベルで入手可能などの土地被覆分類図よりも高精度なことが確認された。また、LAI(葉面積指数)の時系列変化値と衛星画像から得られるLAIの変化値から、作付日や収穫日、収量や灌漑水投入量を推定する穀物生産力モデルを開発した。モデルキャリブレーションとして、中国の黄河中流域における詳細な現地調査と衛星画像の収集を行った。

 
P003 都市用水量の現状分析と将来予測モデリング
大瀧雅寛(お茶の水女子大学)その他

 グリッド化されたシナリオごとの都市人口予測を元に都市用水使用量を算出し、これに複数の都市を対象とした水使用状況の経年変化とその影響因子の解析結果を加味し、全球グリッドベースの都市用水将来推計を行った。本ポスターでは、チェンマイ及びコンケン(タイ)にて行った各家庭の用途別水利用状況の調査(雨期(6〜8月)及び乾期(12〜2月))、ロンドンなどの欧米の都市を中心として現地研究者を通した文献調査を行って水使用状況とそれに影響を与える要因について経年変化の状況を紹介する。また、社会経済シナリオに対応した各国での一人あたり水使用量の変動に関するモデリングについても検討する。

 
P004 2020年までの国際交易と農業土地利用変化
松村寛一郎(関西学院大学)その他

 穀物生産力モデル(LUCM)と世界食料需給モデル(IFPSIM)を組み合わせることにより、人口増加、経済発展、地球温暖化の影響を考慮した食料需給量推移および農産物の空間的な作付面積変化を説明するモデルを構築した。食料生産性セクター、土地利用セクター、国際交易セクターを構成するモデルを融合することにより、WHEAT(小麦)、MAIZE(トウモロコシ)、RICE(米)、SOYBEANS(大豆)に関する品目別作付面積の時空間変化を説明するモデルによって得られた、将来予測値について説明する。また政策的な要素の変化、たとえば農業政策を反映した外生変数に対してどのような状況がおこりうるかについての計算に関しても説明する。

 
P005 アジアの経済発展と水質
川島博之(東京大学農学生命科学科)その他

 東アジアにおいて、農業や人間活動が水質に与える影響を定量的に予測する数理モデル(メッシュ1km)を作成した。これにより、都市とその周辺における水質汚染の広がりが推定された。東アジアにおける農村地域及び工場地域などを対象とした水質汚染実態調査により高精度のエミッションマップを作成し、シミュレーション結果の検証に用いた。また、シナリオ別のエミッションの増減についてもシミュレーションすると共に、東アジア地域の水質予測を行った。



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