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募集要項
IV.「研究領域の概要」、および「研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針」
【CRESTタイプ】
○戦略目標「高セキュリティ・高信頼性・高性能を実現する組込みシステム用の次世代基盤技術の創出」の下の研究領域

76 「実用化を目指した組込みシステム用ディペンダブル・オペレーティングシステム」

研究総括:所 眞理雄(ソニー株式会社 コーポレート・エグゼクティブSVP、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長)
副研究総括:村岡 洋一(早稲田大学理工学術院 教授)

研究領域の概要

 コンピュータ技術の進展に伴い、基幹業務系や汎用PCのみならず、ホームサーバ、デジタルTV、組み込み型高性能サーバ、車載制御装置、生産制御装置、通信制御装置、ロボット、携帯機器、モバイル・ウェラブルコンピュータ、センサー・アクチュエータなど、多数の情報機器・システムがネットワークに接続されるようになってきており、近い将来にいわゆるユビキタス情報社会を構成するであろうと見込まれます。この時、これらの要素システムの多くは目的別の組込みシステムとして構築され、高い信頼性、応答性を確保しつつ、小さく、軽く実現することを要求されます。加えて、それらを接続した情報システムの信頼性、安全性、セキュリティ、性能などの要求を満足でき、さらには将来の拡張性や変更に動的に対応できなければなりません。このようなディペンダブルなシステムを構築するためには、オペレーティング・システム(OS)のレベルからイノベーティブな研究開発を行う必要があると考えられます。本研究領域は、ディペンダブルな情報システムを構築するための組込みシステム向けのOSの研究開発を行うものです。
 本研究領域では、将来、社会で実際に広範に使用されうるOS技術を創出するために、実用化を目指し、個別の研究成果を統合して実用システムとして実現が可能であることを実証し、オープンソースの形で将来の更なる研究開発の基盤を提供することを目指します。このため、本研究領域においては、研究総括の強い統率の下で、必要に応じて研究体制の再編や研究の進め方の調整を行うことにより、研究領域内の研究を横断・統合した推進体制をとり、適切な研究領域運営を行うこととします。
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研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針

(1)研究開発の範囲
 本研究では、ディペンダブルOSを大枠として以下のような機能を持つものと定義します。1 処理要求(負荷)の変動に対して、必要な応答性・リアルタイム性を保持する。2 個別のハードウェア、ソフトウェア、通信システムの故障や障害に対して、情報システム全体を停止させない。3 ネットワークを介した過失や故意の攻撃に対してシステムの性能を確保する。4 ソフトウェアの変更・改良が情報システム全体を停止させることなく安全に行える。5 これらにより、情報システム全体が致命的な状態に至ることなく、安全、快適に利用できる。

 このような組込みシステム向けディペンダブルOSを実現する具体的な技術としては、高信頼実時間制御技術、高信頼通信制御技術、アクセス制御技術、高信頼ファイルシステム技術、ハードウェアセキュリティーモジュールを用いた高信頼実行技術、仮想マシン技術、故障隔離技術、再構成技術, 高速再起動技術、高性能マルチコア管理技術、組み込み型高性能並列処理技術、高可用性技術、高信頼ソフトウェア構築技術、などが含まれると考えますが、これに限定するものではありません。

(2)募集・選考に当たっての方針
 ここで研究開発されたディペンダブルOSは、要素技術としては3年から5年の内に、また、大きなまとまりとしても10年以内に実用に供され、広く世界で使用されるとともに、オープンソースの形で将来の更なる研究開発の基盤を提供することを目指します。従って、利用者や将来の研究開発者が受け入れやすい形で開発することが大切になります。そのためには、オープンソースのOSをベースとして研究開発を行うことが有効な方法であると考えます。ただし、そのような進め方においても、革新的な要素を含みイノベーションに貢献する技術を生み出す研究開発の提案であることが必須です。

 本研究の成果が実用システムとして利用可能なことを実証して行くためには、個別の研究成果を統合し、実際に応用システムを構築することが必須となります。このためには研究チーム間の連携のみならず、応用システムを持つ企業との共同研究推進体制の構築や国内外の普及促進団体との連携など、単なる研究を超えた実用化ならびに普及促進のためのあらゆる方策を実施することも必要になります。このため本研究領域では、研究センターを設置します。また、研究領域内の分担、研究体制の編成、具体的な研究成果物、スケジュールなど、研究の進め方に関して、研究総括が強く統率し指揮を執ります。

 以上の方針に基づいて、平成18 年度には高信頼実時間制御技術、仮想マシン技術、高性能マルチコア管理技術、組み込み型高性能並列処理技術、故障隔離技術、再構成技術、高信頼ソフトウェア構築技術等に関連した5件の研究提案が採択されました(採択課題については、http://www.jst.go.jp/crest/crest-os/をご参照ください)。そして18年度においては、これらの研究提案を基礎としながら、本研究領域の対象となる研究開発を行う組込みシステム向けディペンダブルOSの全体像、目標、基本アーキテクチャ、他の国内外のプロジェクトとの関係等について検討を行い、基本アーキテクチャの設計を行って来ました。

 平成19年度は、18年度の検討ならびに基本アーキテクチャの設計を拡充し、組込みシステム向けディペンダブルOSの機能の充実ならびに実用性の向上のための研究課題の提案を歓迎します。とりわけ、耐攻撃性の向上のための高信頼通信制御技術やアクセス制御技術、高信頼ファイルシステム技術、故障解析技術、ハードウェアセキュリティーモジュールに関連する技術などが18年度採択課題を補強する上で重要であると考えております。重ねて、19年度新規採択課題は18年度採択課題と独立のものではなく、一体として統一的な最終目標に向かって研究開発を進めるものであることを理解したうえ、研究課題を提案してください。(18年度の成果については、コンセプト説明会において発表し、また、同時にJSTホームページに掲載する予定ですので、ご参照ください。)

(3)期待される成果
 アルゴリズムや計算モデルなどの基盤研究の論文発表に留まることなく、実際にシステムを構築するなどによって、その実用可能性を実証することが必要です。すなわち、論文のみならず、実用可能性を実証できる形で実現したソフトウェア自身を研究成果と考えます。更には、各研究チームはそれぞれ個別の成果のデモを行うとともに、研究チーム間の協力の下に統合システムとしてのデモを行うこととし、統合されたソフトウェア自身を本研究領域の最終的な研究成果と考えます。

(4)運営に当たっての方針
 本研究領域では、実用化と将来の更なる研究開発の基盤を与えることを目標とするため、各研究課題の研究成果を統合し、全体システムとして実用に近い形でデモを行い、その有効性ならびに実用性を実証します。このため、研究の初年度には、研究総括ならびに領域アドバイザーのもとに平成18年度採択の研究チームを含め、研究チーム相互の頻繁な議論を行い、全体システム像を明確にし、個々の研究課題の研究開発テーマを再定義し、研究ならびに開発設計を行ってゆくことになります。従いまして、この段階で研究計画の大幅な変更をお願いする場合があります。

 平成18年度採択の研究課題とあわせて統合のデモならびに最終評価を行うことを目的とし、平成19年度採択の研究課題の最終年度は平成23年度(2012年3月終了)とします。それぞれの研究チームは初年度中に再定義された研究計画をもとに、第3年度終了までに成果のデモを行い、その結果によって、研究の継続、変更、中止が判断されます。研究の継続や変更が判断された研究課題は、研究の最終年度における全体システムの再定義、最終年度におけるデモの設計などについて研究統括ならびに領域アドバイザーのもとに議論を行い、最終年度に向けての個々の研究課題の研究計画を再定義し、精緻化し、研究開発を進めます。

 研究チーム間の緊密な連絡を可能にし、共同作業を効率よく進め、研究開発者・技術者を集結し、あるいはリソースを共用し、想定される利用者等との情報交換を行い、最終的な研究成果物をより有益なものにするために本研究領域では平成19年4月より研究センターを設置することといたしました。研究センターには研究センター長を置き、また、若干名の研究要員、開発要員を置き、研究開発の一部を研究チームとの連携の下に行い、研究成果を統合し、最終デモを各研究チームと一体になって行います。また、オープンソースコミュニティーとの緊密な連携を行い、研究成果の広報ならびに利用推進を図ります。研究計画書作成に当たっては、研究センターの有効利用についてもご検討下さい。

(5)研究提案書作成にあたってのご注意
 以上を念頭に入れ、研究代表者は研究提案書の「研究構想」(様式3)に以下の項目を明確に記入して下さい。
a) 対象とする応用分野(「1.研究のねらい」に、項目を設けて記載)
b) 研究開始3年後に目指す、具体的な研究成果物(「1.研究のねらい」に、項目を設けて記載)
c) 研究終了時(4年6ヶ月後)に研究提案者が想定する研究成果物(「1.研究のねらい」に、項目を設けて記載)
d) a)を踏まえb)、c)を実現するための研究スケジュール(「3.研究計画とその進め方」に含めて記載)
e) 研究費について、「研究構想」(様式3)の冒頭に、1)研究開始後第3年次(2年6ヶ月後)までに必要と考える研究費、2)研究開始後第4年次から第5年次(4年6ヶ月後)までに必要と考える研究費、を分けて記載(「(様式1)」には総額を記載して下さい)

 加えて、連携を取り合う研究チーム(研究課題)が想定される場合には、その概要についても記入して下さい(「研究構想」(様式3)中に適宜記載)。
 上記(4)に述べたとおり、他の研究チームの研究計画との調整や、研究センター機能を持った場合の研究ならびに作業分担が必要になるため、研究計画を変更していただく場合がありますので、ご承知の上ご応募ください。

《本研究領域への研究提案にあたってのご注意》
(1) 研究期間について
 上記の通り、本研究領域の今回(平成19年度)の公募では、本募集要項 II.B.5.他の記載に係わらず、提案研究課題の研究期間は、最長で平成24年3月末日までとします。研究期間はこの範囲内で設定して下さい。
(2) 研究費について
 提案研究課題の研究費は、本募集要項 II.B.6.に従って提案してください。ただし、上述の研究開発テーマ・研究計画の再定義の過程、また研究センターの利用に伴って、採択後の研究進行中に大きく見直して頂く場合があります。
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研究領域コンセプト説明会のお知らせ

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