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 JST HOME戦略的創造研究推進事業TOP募集要項 > III.戦略目標 「精神・神経疾患の診断・治療法開発に向けた高次脳機能解明によるイノベーション創出」
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募集要項
III.戦略目標

「精神・神経疾患の診断・治療法開発に向けた高次脳機能解明によるイノベーション創出」
(平成19年度設定)

1.戦略目標名
 精神・神経疾患の診断・治療法開発に向けた高次脳機能解明によるイノベーション創出

2.該当する戦略重点科学技術との関係
 本戦略目標は、ライフサイエンス分野の戦略重点科学技術の中では「生命プログラム再現科学技術」に該当する。「分野別推進戦略」において、「ライフサイエンス研究の大きな流れは、ゲノムから細胞、脳、免疫系などより複雑で高次の機能を統合的に研究する方向性となっている。」とされ、具体的な研究開発内容として、「脳や免疫機構などの生体の高次調節機構のシステムを理解する研究」が挙げられている。
 また、戦略重点科学技術のもう一つの柱である「臨床研究・臨床への橋渡し研究」にも該当する。精神・神経疾患の予防・治療法や感覚器・運動器疾患による生活の質の低下を防ぐ研究の推進や、幼少期からの発達障害、思春期のひきこもり、突発的な攻撃性、反社会的行動など、子どものこころの問題への対応にとって、本戦略目標の成果は、根幹的な位置を占める。
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3.他の戦略重点科学技術等に比して優先して実施しなければならない理由、緊急性、専門家や産業界のニーズ
 ヒトゲノム解析の成果を利用し、精神・神経疾患に関わる遺伝子の探索が世界的に急速に進展している。しかしながら、疾患関連遺伝子情報のみでは、新たな社会的価値や経済的価値を生みだすことはできず、精神・神経疾患の予防、診断、治療といった社会・経済的価値を創出するためには、手法、シード化合物等をモデルを用いて検証し、開発コンセプトを確立して、その知財を確保することが必須である。
 脳科学研究分野において、基礎研究で得られた疾患関連遺伝子の知見などを医療に結びつけるような研究開発プロジェクトはわが国ではこれまでほとんど行われていない。一方で、脳科学の基礎的な知見を活用し、イノベーションにつなげるための研究開発は欧米においても活発となっており、激しい国際競争が展開されている。認知症・うつ病は高齢者の主要な精神疾患であり、障害調整生存年(DALY)は総疾病中第4位、2020年には第2位(15%)になるとされている。世界に例のない高齢化社会を迎えるわが国として、世界に先駆けて戦略目標として集中的にこの研究課題に取り組むことが重要である。
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4.この目標の下、将来実現しうる革新的な成果のイメージ(イノベーション創出の姿。具体例を含めて)及びその背景、社会・経済上の要請
 我が国では、統合失調症、うつ病等精神疾患の受療者は200万人を超え、年間の自殺者は3万人以上となっている。また、急速に進む高齢化に伴いアルツハイマー病等の神経疾患への対応が重要な課題になっているが、多くの神経疾患は難病として根本的な治療法がない状態にある。これらの精神・神経疾患の医療費、介護に関わる経済的負担や労働力減少、社会インフラ整備等による経済的損失は極めて大きく、その予防、治療法の開発に繋がる成果は、少子・超高齢化社会に突入するわが国の将来像を転換する大きな一歩となり得る。
 一方、昨今、重大な少年事件をはじめとした反社会的行動だけでなく、いじめ、不登校、自殺、学校生活不適応等を理由とする高等学校の中途退学、ニートやフリーターの問題などが大きな社会問題となっている。教育現場におけるいじめ、衝動性などの背後にあると考えられる子どもの情動と社会性の解明は、現在の我が国において早急に取り組むべき重要課題であると認識されている。認知・情動などの高次脳機能の解明は、発達障害児に対する教育カリキュラムや支援法の開発につながるイノベーションが期待できるほか、高度で複雑な作業工程における人間の最適関与、注意力の欠如や疲労などを外部から補助するシステムの開発、ヒューマンインターフェイスを有する機器の開発、感覚器・運動器疾患による生活の質の低下を防ぐ機器等の開発、こころの豊かさを感じられる生活を求める消費者を対象とした商品開発、マーケティングなど、産業・教育等経済社会にインパクトを与えるイノベーションに結びつく成果が期待できる。
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5.戦略事業実施期間中に達成を目指す研究開発目標(イノベーションの源泉となる知識の創出。技術シーズ。証明を目指す技術概念等)
 精神・神経疾患や認知・情動に関連する基礎研究では、例えば一群の遺伝子改変動物モデルの作成においてみられるように、近年のゲノム解読の成果を反映して、その解析例が急激に増大し、国内外においてもリソースの蓄積がなされつつある。
 本戦略目標下で行われる研究開発では、高次脳機能に関わる分子あるいは機能マーカーを探索・同定し、認知・情動の理解や精神・神経疾患の予防・診断・治療に繋がる研究開発を目指す。
 具体的には、例えば、精神・神経疾患、認知・情動と関係する遺伝子変異・多型、環境因子等を付与することによって、ヒトの脳機能変化を一部再現させた動物モデルを作成し、ヒトでは直接検証が困難な分子マーカーや機能マーカーを検証すること、またはこうしたモデルを利用し、数理モデルやアルゴリズムを念頭におきつつ、精神・神経疾患又は認知・情動に関わる分子神経機構の生化学的評価法や非侵襲機能解析法を開発すること、あるいはヒトで見出されたマーカーを動物モデルで確認することにより、精神・神経疾患又は認知・情動を診断・評価する技術を開発すること等が挙げられる。
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6.戦略事業実施期間中に達成を目指す研究開発目標の科学的裏付け(関連研究の進捗状況、今後の当該分野の発展の可能性、優れた研究提案が数多くなされる見込み)
 精神・神経疾患と関連した遺伝子変異・多型の同定は、統合失調症の関連遺伝子DISC1の発見を初めとして、急速に進んでいる。また、セロトニントランスポーター遺伝子と養育環境およびストレスの相互作用、あるいは養育がストレス脆弱性を生み出すエピジェネティック機構の解明なども進んでいる。さらに、非侵襲計測技術等の進歩に伴い、ヒト脳機能解析の知見が急速に蓄積されてきている。
 このような基礎・臨床のライフサイエンス研究者による有用な動物モデルとそれを用いた機能解析に関する研究成果を、臨床研究に繋がる技術開発に向かわせることにより、当該分野が大きく進展する可能性が高いと考えられる。
 また、我が国では、近年精神・神経疾患関連分子の機能解析や脳機能を評価する脳イメージング研究も進展しており、これら各所での特筆すべき研究成果が活用される。
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7.この目標の下での研究実施にあたり、特に研究開発目標を達成するために解決が必要となる研究上の課題、留意点、既存の施策・事業等との重複
 本戦略目標により、目的性のある研究開発を実施し、イノベーションの源泉となる知識の創出を目指すために、精神・神経疾患の予防・診断・治療法開発については、「そのモデル自体の機構の解明」のみに終わることがないよう、橋渡し研究を目指した研究が必要である。
 理研脳科学総合研究センターにおいては、「脳を知る」「脳を守る」「脳を創る」「脳を育む」の4領域において、脳科学に関する総合的な研究開発を推進しているところであるが、現在行われている多くの研究は、神経活動や発生過程等における基礎的知見から重要であると個々の研究者が着目している生体分子から研究を発展させる、いわゆるボトムアップ的な研究領域であり、本目標の骨子となるヒトの脳機能で近年その生物学的関連性が示されたエビデンスに基づく、いわゆるトップダウン的な研究領域とは異なるものである。このようなトップダウン的な性質を有する研究領域を有効に進めるためには、モデルマウス開発等の実績を有し、その成果を医療や産業応用に結びつけられるビジョンと実行力をもった研究者を広く多様な大学、研究機関等から募り、明確な方針と計画の下で研究開発を実施する必要がある。
 また、この目標を推進するにあたり、研究推進上及び社会への影響に関する倫理的な側面に配慮することは必要であり、JST社会技術研究開発センターの倫理に関する取組みと連携することが望ましい。
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