2025年度第2回成果報告会 さきがけ「社会変革に向けたICT基盤強化」領域

2025年度第2回成果報告会 さきがけ「社会変革に向けたICT基盤強化」領域

日時
12月19日(金) 9:30~16:30(9:15 開場)
開催場所
ハイブリッド開催:オンライン(Zoom Webinar)& AP虎ノ門 11F Room C+D
※現地参加ご希望の際、会場の定員の都合上、オンラインにてご参加いただくこともございます。
 あらかじめご了承ください。
参加費
無料、事前の参加登録をお願いします
参加登録
https://form2.jst.go.jp/s/Platform-Software2025
(登録受付期間:2025年12月17日(水)17:00まで)

 本研究領域では、理論(数学や計算機科学の基礎)と社会システムの基盤技術(アルゴリズム・アーキテクチャ・OS・ネットワーク・データベース・IoT・セキュリティ・言語等)の研究者の領域内の交流・触発により、国際競争力を強化した科学技術イノベーションの創出を実現し、安心・安全・信頼を支える基盤ソフトウェア技術の創出を通じ、社会変革に向けたICT基盤の強化を目指します。さらに、将来の社会システムの課題解決や社会変革を意識した研究開発を通して、by-Designに資する人材の育成を推進します。
 今回は、本さきがけ領域の2期生(2022年度採択)の成果報告会となります。皆さまのご参加をお待ちしております。

プログラム

開会挨拶
9:30~ 9:40
東野 輝夫 (京都橘大学 工学部情報工学科 教授)
9:40~ 10:10
穐山 空道(立命館大学 情報理工学部 准教授)
 「アドレスの秘匿によるサイドチャネル攻撃に頑健なOS」
10:10~10:40
安藤 洸太(北海道大学 大学院情報科学研究院 准教授)
 「協調エッジAI学習によるユーザ主体データ利活用基盤」

休憩 10:40~10:55

10:55~11:25
三輪 忍(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 准教授)
 「HPCユーザのためのTEE利用支援フレームワーク」
11:25~11:55
柏 祐太郎(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 准教授)
 「プログラム異常動作の自動検出技術の創出:機械が実現するセキュアな自動テスト」

休憩 11:55~13:00

基調講演
13:00~13:30
清水 佳奈 (早稲田大学 理工学術院 教授)
 「ヒトゲノムデータの安全な利活用に向けて」
13:30~14:00
小島 拓也 (筑波大学 システム情報系 准教授)
 「機密性と完全性を保証する先鋭的な再構成システムの設計手法」
14:00~14:30
畑 秀明 (信州大学 工学部 准教授)
 「ソフトウェアエコシステムを保守するメタメンテナンスの社会実装」

休憩 14:30~14:50

14:50~15:20
藤木 大地(東京科学大学 総合研究院 准教授)
 「メモリ駆動形DBシステムによるデータ処理基盤強化」
15:20~15:50
宮西 大樹 (東京大学 大学院工学系研究科 特任研究員)
 「リスクポテンシャルを考慮した都市ナビゲーションAIの研究開発」
15:50~16:20
吉岡 健太郎 (慶應義塾大学 理工学部 准教授)
 「サイバーとフィジカルを横断したセンサセキュリティ研究」
総評
16:20~16:30
東野 輝夫 (京都橘大学 工学部情報工学科 教授)

基調講演者紹介

  •  写真

    「ヒトゲノムデータの安全な利活用に向けて」

    清水 佳奈(早稲田大学 理工学術院 教授)

    講演概要

    個人ゲノム配列の解読が急速に進み、医学研究や医療現場における活用が期待されているが、ヒトゲノム配列は個人情報に該当するため、提供者の同意のもと適切にデータを取り扱う必要がある。そこで近年、データの隔離や法整備の推進と並行して、データを暗号化したまま特定の演算を行うことのできる秘密計算等を用いてゲノム情報を安全に分析する方法が国内外において活発に研究されている。これまでに、クエリとデータベースを互いに秘密にしたまま類似するゲノム配列を検索する方法や、遺伝型、及び、表現型を秘密にしたままゲノムワイド関連解析を行う方法をはじめとした様々な方法が考案されている。これら技術に対する期待は大きいものの、実解析への利用に際しては様々な課題が指摘されている。本講演では、現状の技術動向を紹介しながら、今後の展望について議論したい。

    経歴

    2006年早稲田大学より博士(工学)取得。同年、産業技術総合研究所入所。2013年~2015年メモリアルスローンケタリング癌センター客員研究員、2016年早稲田大学准教授を経て現職。情報処理学会理事、日本バイオインフォマティクス学会理事等を歴任。平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)、平成27年度産総研理事長賞(研究)、KDDI Foundation Award 2022(業績賞)等を受賞。ゲノム配列をはじめとする生命情報の解析法を研究。最近は、多数のゲノム配列を効果的に解析する手法や、個人情報を守りながらゲノム情報等を安全に分析する方法に興味を持っている。

講演者紹介

  • 穐山 空道 写真

    「アドレスの秘匿によるサイドチャネル攻撃に頑健なOS」

    穐山 空道(立命館大学)

    講演概要

    メモリサイドチャネル攻撃では攻撃者が攻撃対象のコンピュータ上でプログラムを実行するだけで通常はアクセス不能な情報を読み出し・書き換えできます。本攻撃の成立要件は、(1)攻撃者と被攻撃者でデータの保管場所が共有されること、(2)データのアドレスから共有された保管場所がわかること、です。そこでメモリ管理をOSから分離し隔離された環境内で実行することで要件(2)を不成立とし、この攻撃を根本から防ぎます。

  • 安藤 洸太 写真

    「協調エッジAI学習によるユーザ主体データ利活用基盤」

    安藤 洸太(北海道大学)

    講演概要

    現状のAI構築・学習は大規模な計算能力とデータを持つクラウドが主体ですが、これをユーザが自身のデータで運用可能なユーザ主体の技術へと移してゆく必要があります。複数端末で協調的にニューラルネットワークを学習する連合学習を用い、興味の異なる複数ユーザがモデルを共有しながら相利的に学習するアルゴリズムと軽量プロセッサにより、個々人のデータと計算資源を活用可能とするプラットフォームの創出を目指します。

  • 三輪 忍 写真

    「HPCユーザのためのTEE利用支援フレームワーク」

    三輪 忍(電気通信大学)

    講演概要

    本研究では、REE用に記述された並列アプリケーションコードからTEE実行すべき処理を自動抽出する技術、ならびに、REEとTEEのハイブリッド実行およびTEE間の高速な暗号通信を行うコードを自動生成する技術を開発します。また、以上の技術を要素とするLLVMベースのコード変換フレームワークを開発し、開発したフレームワークの有用性を実アプリケーションを含む複数のアプリケーションを用いて評価します。

  • 柏 祐太郎 写真

    「プログラム異常動作の自動検出技術の創出:機械が実現するセキュアな自動テスト」

    柏 祐太郎(奈良先端科学技術大学院大学)

    講演概要

    本研究では、人手で作成した入出力テストに頼らず、機械が不具合(異常)を検出することを目指します。具体的には、変更前後のソフトウェアを動作させ、動的解析によりトレースログ(プログラムがどのように動いたかを示すログ)を生成します。そして、変更後の動作が変更前の動作と著しく異なる場合や、開発者の変更意図(コミットメッセージ等)から逸脱している場合を異常な変更として検出する予測モデルを構築します。

  • 小島 拓也 写真

    「機密性と完全性を保証する先鋭的な再構成システムの設計手法」

    小島 拓也(筑波大学)

    講演概要

    本研究では、エネルギー効率や処理性能の観点で有望視される再構成可能ハードウェアをベースにした次世代計算機システムにおいて、情報の機密性と完全性を保証するSW/HWの協調設計手法を実現します。その要素技術として、ハードウェア構成情報の改ざん防止、サイドチャネル攻撃に対する耐タンパー技術、秘密計算のための完全準同型暗号を高速に処理可能な計算システムの設計手法などの確立を目指します。

  • 畑 秀明 写真

    「ソフトウェアエコシステムを保守するメタメンテナンスの社会実装」

    畑 秀明(信州大学)

    講演概要

    オープンソースソフトウェアエコシステムを包括的に保守するメタメンテナンスの社会実装に向け、オープンソースソフトウェア開発プロジェクト群から有用な知見を探索する大規模な実証分析、有用な知見特定とオープンソースソフトウェアエコシステムのモニタリングのためのシステム開発、特定・集約した知を全体へ流通させるためのヒューマンインザループな技術と仕組みの開発と実証実験に取り組みます。

  • 藤木 大地 写真

    「メモリ駆動形DBシステムによるデータ処理基盤強化」

    藤木 大地(東京科学大学)

    講演概要

    本研究では、広く関連DBで使用されているB木の読み取り性能と、NoSQL/NewSQL等で使用されているLSM木の更新性能の両立をインメモリ計算IMCにより達成します。さらに、全エントリに対する準同型暗号演算が前提となっている完全秘匿型データベースについて、IMCにより静的データ近傍のメモリ資源を計算に転用し、データ移動を抑えながら超並列演算を行うことで、計算時間を低減させます。

  • 宮西 大樹 写真

    「リスクポテンシャルを考慮した都市ナビゲーションAIの研究開発」

    宮西 大樹(東京大学)

    講演概要

    本研究では、ユーザーの言語指示に従い、困難な状況下でも安全な経路を移動エージェントに提案できるナビゲーションAIの実現を目指して、(1)都市レベルの3D地図作成と意味情報の自動付与、(2)3D地図データへの言語データのグラウンディング手法の開発、(3)言語指示に従う都市ナビゲーションAIの開発、(4)シミュレーションを用いた災害・事故リスクを考慮したナビゲーションAIへの改良を行います。

  • 吉岡 健太郎 写真

    「サイバーとフィジカルを横断したセンサセキュリティ研究」

    吉岡 健太郎(慶應義塾大学)

    講演概要

    自動運転車が備えるLiDARセンサの脆弱性を突くセンサ幻惑攻撃は自動運転社会の重大な脅威であり、悪用すると衝突事故を誘発可能です。本研究は自動運転車をセンサ幻惑の脅威から守るため、サイバーとフィジカル領域を横断したセンサセキュリティ研究を行います。センサとソフトウェアの協調設計による新セキュリティ技術を創出し、サイバーとフィジカル領域間の情報交換を促進することで脆弱性の早期発見を実現します。

参加登録

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申し込み

(登録受付期間:2025年12月17日(水)17:00まで)