国立研究開発法人 科学技術振興機構

第40回 JST数学キャラバン

拡がりゆく数学 in 京都
2024

2024年12月21日(土)13:00-17:00 対面開催

国立研究開発法人 科学技術振興機構

第40回 JST数学キャラバン

拡がりゆく数学 in 京都
2024

2024年12月21日(土)13:00-17:00
対面開催

 皆さんが普段の授業で学ぶ「数学」という教科がありますが、この科目は私達が学ぶべき基礎的な計算技法や論理的な考え方を身につけるために多くの人にとって必須のものと考えられています。また最近は高校生の皆さんに数学の楽しさを伝える書籍も多くなりました。
 例えば、天気予報があたりやすくなった背景に数学があるとか、Virtual Realityや人工知能といった世界にも数学が深く関わっていると聞くとワクワクしませんか?その一方で、こうした楽しいと感じる数学の世界と普段の授業の数学の世界には大きなギャップがあると感じる人も多いと思います。いま自分達が学んでいる数学という科目が、どう最先端の「数学研究」へとつながっていくのでしょうか? そもそも、数学を研究するとはどういうことなのでしょうか? その可能性に限界はあるのでしょうか? また、いまの数学の研究者が皆さんと同じ高校生だった頃、数学について何を考え、どのようなことをしていたのでしょうか・・・などなど疑問はつきないと思います。
 本講演会は、こうした高校生の皆さんの様々な疑問や、数学の広い世界を知って貰えるような企画です。昨年度と同様に以下のような多様なテーマでの講演を用意しました。さらに、昨年好評だった参加者と講演者の交流時間をたっぷりと設けています。講演内容への素朴な疑問だけでなく、数学について普段から感じていることなどを講演者の先生に率直に話してみましょう。講演者の先生が高校生の時のことなどを聞いて見るのもよいでしょう。
 数学は、考えられることは何でも考えられるというとても自由な学問です。きっと、学校の授業とはまたひと味違う、研究者の皆さんが感じている生き生きとした数学の姿を感じてくれれば幸いです。

オーガナイザー(プログラム計画):坂上貴之(京都大学 教授)

開催概要

日 時
2024年12月21日(土) 13:00~17:00
場 所
京都府立嵯峨野高等学校
対 象

高校生・一般(内容は高校生向け)

参加費

無料

主 催
国立研究開発法人 科学技術振興機構
共 催
京都府立嵯峨野高等学校

プログラム

12:45

開場(受付)

13:00

開会、挨拶 (坂上貴之:京都大学 教授)

13:05

理化学研究所 革新知能統合研究センター
園田 翔 上級研究員
(講演40分)

機械学習を支える数学

13:45

休憩

13:50

東京科学大学 情報理工学院
叢 悠悠 助教
(講演40分)

はもりの良さを計算機で証明しよう

14:30

休憩

14:35

ソニーグループ株式会社 Research Platform 先端研究部
慶應義塾大学 量子コンピューティングセンター
前田 洋太 研究員
(講演40分)

量子コンピュータとAIの数理

15:15

休憩

15:25

研究者を囲んで(意見交換会)
各ブースにて講演者と参加者が自由に意見交換・質問を行って頂きます
(最後に写真撮影)

16:55

閉会

講演者紹介

  • 園田 翔 写真
    園田  研究テーマ画像

    「機械学習を支える数学」

    園田 翔  上級研究員
    (理化学研究所 革新知能統合研究センター)

    講演概要

    学習は人間が得意で機械が苦手な機能の一つです。人間にはできるのに、機械にできないのはなぜか?本当にできないのかどうか、作って確かめてみよう!という、研究者たちの素朴な動機と絶え間ない試行錯誤の末に、人類はChatGPTを作り出すところまでやってきました。本講演では機械学習とその数学的背景について紹介します。

    講演者略歴

    2010年早稲田大学理工学部電気・情報生命工学科卒業。2012年同大学大学院修士課程修了。新卒でパナソニック株式会社に入社し、車載機器開発。その後退職して同大学大学院博士後期課程に進学し、2017年学位取得(博士(工学))。2018年より現職。専門は機械学習の理論と応用。深層学習の理論を軸として、各種データ解析や量子機械学習、定理自動証明に足を延ばしています。趣味は旅行とクラフトビール巡り。

    参加者への一言

    研究は人類の知識を増やす営みです。世の中の大抵のことは奥深く、知れば知るほど面白い未解決問題が見えてきます。もっと知りたいと思って一心不乱に試行錯誤するうちに、ふと腹に落ちて問題が解ける瞬間が訪れる。この瞬間が研究の醍醐味です。情報や数学の研究は、国境を越えて、いつでもどこでも誰とでもできるところも魅力です。

  • 叢 悠悠  写真
    叢 悠悠  研究テーマ画像

    「はもりの良さを計算機で証明しよう」

    叢 悠悠 助教
    (東京科学大学 情報理工学院)

    講演概要

    複数のメロディを重ね合わせるとき、良いはもりを得るためには音楽理論の規則に従う必要があります。この規則を計算機のことばで表現すると、はもりの良さの証明をプログラムとして記述することができます。本講演では、このような音楽、数学、計算機科学をかけ合わせた研究について紹介します。

    講演者略歴

    2014年お茶の水女子大学理学部情報科学科卒業。2019年同大学大学院人間文化創成科学研究科理学専攻情報科学領域博士後期課程修了(博士(理学))。2019年より東京工業大学情報理工学院数理・計算科学系助教(2024年10月より東京科学大学に名称変更)。

    参加者への一言

    私は小さい頃から楽器を習っていましたが、このような形で研究に結びつけることができたのは予想外でした。みなさんも勉強のほかに何か打ち込めるものを持っておくと良いと思います。

  • 前田 洋太 研究員 写真
     前田 洋太 研究員 研究テーマ画像

    「量子コンピュータとAIの数理」

    前田 洋太 研究員
    (ソニーグループ株式会社 Research Platform 先端研究部
    慶應義塾大学 量子コンピューティングセンター)

    講演概要

    数学は公理より出発し、推論を積み重ねることによって数学的事実を明らかにする学問です。そのような高度に抽象化された学問が、この社会においてどのように役に立っているかの一端を、量子コンピュータやAIを題材にお話したいと思います。

    講演者略歴

    2021年京都大学(修士課程)卒業後、ソニーグループ株式会社R&Dセンター先端研究部にて機械学習、暗号理論(JST ACT-X)および量子計算の研究に従事。また、2022年より慶應義塾大学量子コンピューティングセンター兼任。2023年京都大学理学研究科数学・数理解析専攻博士後期課程修了(博士(理学))。

    参加者への一言

    皆さんが人生を通して楽しめるものを見つけられる機会になればいいなと思います。