サイエンスアゴラ2019 公開イベント開「催触れてみよう!未来のインタラクション技術」

サイエンスアゴラ2019 公開イベント開「催触れてみよう!未来のインタラクション技術」

 皆さんが普段の授業で学ぶ「数学」という教科がありますが、この科目は私達が学ぶべき基礎的な計算技法や論理的な考え方を身につけるために多くの人にとって必須のものと考えられています。また最近は高校生の皆さんに数学の楽しさを伝える書籍も多くなりました。
 例えば、天気予報があたりやすくなった背景に数学があるとか、Virtual Realityや人工知能といった世界にも数学が深く関わっていると聞くとワクワクしませんか?その一方で、こうした楽しいと感じる数学の世界と普段の授業の数学の世界には大きなギャップがあると感じる人も多いと思います。いま自分達が学んでいる数学という科目が、どう最先端の「数学研究」へとつながっていくのでしょうか? そもそも、数学を研究するとはどういうことなのでしょうか? その可能性に限界はあるのでしょうか? また、いまの数学の研究者が皆さんと同じ高校生だった頃、数学について何を考え、どのようなことをしていたのでしょうか・・・などなど疑問はつきないと思います。
 本講演会は、こうした高校生の皆さんの様々な疑問や、数学の広い世界を知って貰えるような企画です。昨年度と同様に以下のような多様なテーマでの講演を用意しました。さらに、昨年好評だった参加者と講演者の交流時間をたっぷりと設けています。講演内容への素朴な疑問だけでなく、数学について普段から感じていることなどを講演者の先生に率直に話してみましょう。講演者の先生が高校生の時のことなどを聞いて見るのもよいでしょう。
 数学は、考えられることは何でも考えられるというとても自由な学問です。きっと、学校の授業とはまたひと味違う、研究者の皆さんが感じている生き生きとした数学の姿を感じてくれれば幸いです。

オーガナイザー(プログラム計画):坂上貴之(京都大学 教授)

開催概要

日 時
2022年7月29日(金) 13:15~17:25
場 所
オンライン開催(Zoom)
対 象

高校生・一般(内容は高校生向け)

参加費

無料

主 催
国立研究開発法人 科学技術振興機構 戦略研究推進部
共 催
京都府立嵯峨野高等学校

プログラム

13:00

Zoom開設(受付)

13:15

開会、挨拶(坂上貴之:京都大学 教授)

13:20

千葉大学 環境リモートセンシング研究センター
小槻 峻司 准教授
(講演40分)

大規模数値シミュレーションで切り開く
豪雨・洪水予測研究

14:00

休憩

14:05

お茶の水女子大学 基幹研究院
篠田 万穂 助教
(講演40分)

でたらめさの数学

14:45

休憩

14:50

京都大学 大学院理学研究科
稲生 啓行 准教授
(講演40分)

解けない数学と可視化

15:30

休憩

15:40

研究者を囲んで 第1部(意見交換会)
講演者がブレイクアウトルーム1~3に入室しています。
参加者の皆様は自由に各ブレイクアウトルームに出入りして、講演者と意見交換・質問を行ってください。

16:10

一度メインルームに集合

16:15

研究者を囲んで 第2部(意見交換会)
講演者がブレイクアウトルーム1~3に入室しています。
参加者の皆様は自由に各ブレイクアウトルームに出入りして、講演者と意見交換・質問を行ってください。

16:45

一度メインルームに集合

16:50

研究者を囲んで 第3部(意見交換会)
講演者がブレイクアウトルーム1~3に入室しています。
参加者の皆様は自由に各ブレイクアウトルームに出入りして、講演者と意見交換・質問を行ってください。

17:20

閉会

講演者紹介

  • 小槻 峻司 写真

    「大規模数値シミュレーションで切り開く豪雨・洪水予測研究」

    小槻 峻司(千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 准教授)

    講演概要

    千葉大学・環境リモートセンシング研究センターでは、機械学習・AIをはじめとした最先端のデータサイエンス技術を用いた高精度・高頻度な災害予測技術を開発しています。
    今回は全球天気予報システムについて紹介しつつ、研究の核となる「データ同化」の数理的本質や、天気予報システムの仕組みを皆様に理解して頂こうと思います。 また、データ同化や深層学習による洪水予測など、数理で切り拓く最先端の災害予測研究を紹介します。

    講演者略歴

    京都大学大学院・工学研究科(2013年工学博士)。2014~2019年理化学研究所・計算科学研究センター博士研究員・研究員として全球天気予報システム開発に従事。2019年~現職。環境予測科学研究室を主宰し、人工衛星ビッグデータや数値モデルを用いた地球環境予測研究を推進。理化学研究所・研究奨励賞(2019年)、千葉大学・先進学術賞(2021年)、文部科学大臣表彰・若手科学者賞(2022年)などの研究表彰を受けている。

    参加者への一言

    研究者になるにせよ、社会人になるにせよ、自分の青春を捧げられることを見つけて欲しいと思います。勉強であれ、スポーツであれ、若いころに何かに打ち込んだ経験は、必ず人生の中で生きてきます。「自分は何が好きなのか?」は、ぼんやりとした気持ちにこそ現れます。何故か自分が興味を持つもの、何故か集中できること、何故かいつも調べてしまうもの、など自分の心の声を識り、大学で深く学んで欲しいと思います。

  • 篠田 万穂 写真
    篠田 万穂 研究テーマ画像

    「でたらめさの数学」

    篠田 万穂(お茶の水女子大学 基幹研究院自然科学系 助教)

    講演概要

    ふたつの「でたらめ」(にみえる)現象があった時に、どちらがより「でたらめ」か、あるいは一方は他方の何倍「でたらめ」かということはどのように表現できるのでしょうか?
    例えば、サイコロを振ることとコインを投げることはどのように比較できるのでしょうか?
    このような「でたらめ」さを定量的に表す概念にエントロピーと呼ばれるものがあります。講演では、エントロピーとその数学研究について紹介します。

    講演者略歴

    2015年慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業。2019年同大学院理工学研究科博士課程修了(博士(理学))。
    京都大学人間・環境学研究科、Ecole Polytechnique, Centre de Physique Theorique でのポスドクを経て、2020年よりお茶の水女子大学基幹研究院自然科学系助教。

    参加者への一言

    素早く、効率的に知識や技術を身につけることが要求される場面も多くありますが、自分や他人の「わかった」「できるようになった」という喜びや楽しさにも目を向けて大切にしてもらえるとうれしいです。

  • 稲生 啓行 写真
    稲生 啓行 研究テーマ画像

    「解けない数学と可視化」

    稲生 啓行(京都大学 大学院理学研究科 准教授)

    講演概要

    数学の問題が解けないときはどうしたらいいでしょうか?
    もちろん様々なアプローチがありますが、具体例について考え、グラフなどの絵を描いてみると色々なことが見えてくることも多いです。
    ここでは私の専門である力学系を主な題材として、色々な概念を可視化してそれを観察することによって、いかに数学の世界が拡がるかをお見せしたいと思います。最近のヴァーチャル・リアリティ技術を用いた可視化についても紹介します。

    講演者略歴

    1975年名古屋市生まれ。2001年京都大学大学院理学研究科博士過程修了(理学博士)。2002年同研究科助手,助教,講師を経て、2018年より同研究科准教授。専門分野の複素力学系に現れる、複素2次元(=実4次元)空間内の複雑な集合を見るために、ヴァーチャル・リアリティを用いた高次元の可視化とインタラクションを開発。

    参加者への一言

    自分で手を動かして考えることが物事の深い理解への第一歩です。一般的な場合や特別な場合、極端な場合など、なにしろ具体例をたくさん知っていることは大きな強みになります。