国際科学技術協力基盤整備事業「日本‐台湾研究交流」平成28年度新規課題 一覧

別紙1
課題名日本側
研究代表者
所属・役職課題概要
台湾側
研究代表者
超高齢化社会における社会参加のための人間拡張・遠隔就労技術の研究

稲見 昌彦

東京大学
先端科学技術研究センター
教授

本研究は、ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)、バーチャルリアリティ、人間拡張技術を活用してテレワークに伴う高齢者特有の心理的・身体的制約を打破する「超人テレワークシステム」を実現し、元気高齢者の遠隔就労と社会参加を促進することを目的とする。
 具体的には、日本側はテレプレゼンス技術および心理的・身体的人間拡張技術の開発、台湾側は高齢者にも使いやすいインタフェースデザイン・UXデザインを担当し、高齢者のアクティブな社会参加を可能にする遠隔就労技術の研究を行う。
 日台の研究チームが相互補完的に取り組むことで、高齢者にとって使いやすく、高齢者の持つ心理的・身体的制約を超えてアクティブに社会参加することを促す実用的な遠隔就労システムの実現が期待される。

陳 炳宇

国立台湾大学
資訊工程学系
教授

超高齢社会における高齢者のための情報想起支援

奥村 学

東京工業大学
科学技術創成研究院
教授

本研究交流は、高齢者が他者と会話などをしている状況において、明示的な検索要求なしで会話の文脈などの情報を利用することで、思い出せない過去の経験などについての情報想起を支援するシステムを研究開発することを目的とする。
 具体的には、1) 個人の経験を示す文書、写真、ビデオなどのデータを収集し、2) それらに様々な情報を付与することで、個人の知識ベースを構築した上で、3) 個人知識ベースを知的に検索し、4) 検索した情報を提示するシステムを研究開発する。日本側チームはすでに2)、 4)で多くの成果を上げており、台湾側チームは2)、3)に強みを持っており、それぞれの強みのある部分を中心に研究開発を行う。
 日台の研究チームによる共同研究を通して、高齢者が幸福かつ健康に暮らす上で重要な、他者とのコミュニケーションを促進する情報想起支援システムが実現し、文化や伝統の継承がより円滑に進められると期待される。

陳 信希

国立台湾大学
資訊工程学系
教授

高齢者のための革新的仮想視覚・力覚刺激呈示システムの開発

加藤 博一

奈良先端科学技術大学院大学
情報科学研究科
教授

本研究は、アルツハイマー病罹患者を含む高齢者の神経運動機能リハビリテーション支援システムの研究開発を目的とする。
 具体的には、日本側は、バーチャルリアリティ技術を応用しリハビリ運動の可視化を行い、人間の視触覚相互作用を活用した自律的な手先の繊細なコントロール感覚の維持・改善を目的とするトレーニング方法の開発を担当する。台湾側は、力覚センサーを搭載した手先トレーニングデバイスの研究開発と脳神経運動系の計測によるリハビリ効果の評価を行う。
 日台の研究チームが相互補完的に取り組むことで、単純な動きのリハビリに留まらない、力加減と感覚に踏み込んだ繊細な手の動きを維持、獲得するリハビリを個人で効率的に行うことを支援するバーチャルリアリティ福祉機器の実現が期待される。

蘇 芳慶

国立成功大学
生物医学工程学系
特別教授