背景と目的

本プログラムでは、国際連合の専門機関であるITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)が世界保健機構WHOと連携し進めているeHealthの標準化において、脳情報の取り扱いに関する標準化を提案しています。
標準化活動によって、

・脳情報のプラットフォームアーキテクチャーの共有

・脳の健康管理指標(BHQ)の作成方法の共有

・脳情報の利活用に関するユースケースの共有

が可能となることを目的としています。これらの3つの共有が実現されることにより、脳情報研究が促進され、世界中のすべての人の脳の健康が拡大することを目指しています。

標準化活動の
内容について

本プログラムで現在進めている、具体的な標準化活動は以下の通りです。

・脳情報のプラットフォームアーキテクチャーを共有するための標準化

本プログラムでは、脳の健康管理を実現するための基盤として、MRIを用いた脳情報を中心に、付帯情報として食事・睡眠・運動・仕事など生活習慣や、健康状態・ストレス・その他様々な心理状態に関する質問紙の結果を蓄積するためのプラットフォームを構築しています。これにより、脳の健康管理に繋がる生活習慣の同定や脳の健康管理がもたらす心理状態の変化などを明らかにしています。
このような成果を誰もが使えるようにするためには、これらの情報に誰もがアクセスでき、相互に交換し合い、自由に追加情報を編集できる必要があります。本取組では、このようなプラットフォームに求められる機能や要件についてのアーキテクチャーの標準化を進めています。
この標準を使うことで、新たなプラットフォームの形成及びプラットフォーム間の連携が可能になると考えています。結果として、グローバルな脳情報研究を加速し、その成果を誰もが享受できる社会インフラの構築を目指しています。

・脳の健康管理指標(BHQ)の作成方法を共有するための標準化

本プログラムでは、MRIデータの扱い方の一つとして、専門的な知識がなくても、誰にとってもわかりやすく理解できる脳の健康管理指標として、BHQというコンセプトを提唱しています。BHQでは、例えば健康診断の時に血液検査の項目が複数あり多様な血液の状態を示すことと同様に、脳の多様な状態を示すための複数の項目が存在しうると考えています。
そのため、国際標準化においては、本プログラムが開発した灰白質の状態を示すGM-BHQや白質の状態を示すFA-BHQといった指標のみの標準化を進めるのではなく、日本が提案する指標に加えて各国からの指標の提案も受け入れられる開かれた標準として、指標の作成方法を標準化するという方法をとっています。これにより、多面的な脳の健康の評価を可能にする様々な指標が、グローバルな脳情報研究の上に構成することを目指しています。

・情報の利活用に関するユースケースを共有するための標準化

前述の脳情報のシステムアーキテクチャーや脳の健康管理指標(BHQ)を用いることで可能となる脳情報の利活用に関するユースケースの蓄積を構想しています。これにより、本プログラムやその他日本での取り組みはもちろん、各国の取り組みが共有され、さらなる脳情報研究の促進と、すべての人の脳の健康の拡大を目指しています。

標準化活動の進捗状況

本プログラムでは、ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector) のStudyGroup16(SG16)にて、標準化活動を進めています。2016年9月のSG16会合における審議で脳の健康管理に関する取り組みが承認を受け、以後、約半年に1回のペースで開催されるSG16会合にて提案を行い、標準化文書の作成を進めています。

・脳情報のシステムアーキテクチャーを共有するための標準化

(勧告文書タイトル)
H.861.0 (ex H.MBI-PF) "Requirements on communication platform for multimedia brain information"

(活動状況)
2015年10月 ITU-T SG16のワークアイテムとして提案、承認
2017年10月 初版について合意後、現在勧告承認手続き中
 今後、内容を修正、改善し版を重ねていくと共に、具体例を追加予定。

・脳の健康管理指標(BHQ)の作成方法を共有するための標準化

(勧告文書タイトル)
H.861.1 (ex H.MBI-BHQ) "Requirements on establishing brain healthcare quotients"

(活動状況)
2016年9月 ITU-T SG16のワークアイテムとして提案、承認
2018年2月 初版について合意後、現在勧告承認手続き中
 今後、内容を修正、改善し版を重ねていくと共に、具体例を追加予定。

(勧告文書タイトル)
HSTP.MBI-UC: Use-cases of e-health applications and services using brain data)

(進捗状況)
2016年5月 ITU-T SG16のワークアイテムとして提案、承認

標準化文書

勧告次第、このページで公開予定です。

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