社会の課題解決につながる成果を生み出す仕組みづくりをしていきたい。

未来創造研究開発推進部
企画課 課長代理

湯口玲子

理学部天文学科卒業
2014年入職

PERSON JSTの人

01 科学に関わる仕事を求めて中途入職

 JSTに入職するまではかなり紆余曲折がありました。日本で高校を卒業後、アメリカの大学で天文学を学びました。周囲の学生のほとんどが大学院に進む中、もっと現実の社会を知りたいと思い、卒業後は帰国して日本の通信系ベンチャー企業に勤務しました。でも、学生の頃からいつかは科学技術に関係する仕事をしたいという思いがあり、インターネットで検索していたところ、JSTを知りました。たまたま中途採用の募集をしていたときで、「ここなら研究の最前線の先生方と一緒に仕事ができる」と感じて応募し、採用されました。
 新しいことに惹かれる好奇心旺盛な性格なので、私の知らないさまざまな科学に関われることも魅力でした。新しい科学の世界はいつも私をワクワクさせてくれるからです。
 入職後は社会技術開発センター(RISTEX)に3年半、その後、文部科学省に派遣されて2年ほど勤務し、JSTに戻った現在は未来創造研究開発推進部に所属しています。この部署は、社会や産業界のニーズからバックキャストして研究開発テーマを策定し、未来の社会に求められている、かつインパクトの大きい研究開発を推進する「未来社会創造事業」を手掛けています。

02 研究者が気軽に相談できる存在に

 未来社会創造事業は、基礎研究の終盤から応用研究の前半くらいまでのフェーズに焦点を当て、社会に成果をつなげることを目指しています。真理の探究のみならず、その研究成果がどのように社会に活用でき、社会や産業にどういうインパクトを与えるかを具体的に実証することを重視している事業です。そのため、研究者に社会実装を強く意識しながら研究を進めてもらうことが大切です。そこにおもしろさと難しさがあります。
 私は2019年11月から3年間、未来社会創造事業のプロジェクトを推進する事務局メンバーとして公募や選考、採択した課題のマネジメントや評価などに携わりました。心掛けていたのは、研究者に気軽に相談していただけるような信頼関係を作ること。研究者と話し、共に悩み、考える仕事はとても充実感がありました。特に印象に残る仕事に、培養肉の研究(研究開発代表者:竹内昌治・東京大学教授)があります。この仕事を担当していたときは、食卓の肉を見ても、科学の目で観察するようになっていたくらいです。
 その後、企画・調整を行うラインに部内異動し、文部科学省との予算折衝、事業全体の取りまとめなどを行っています。こちらの仕事は研究者との直接的なやりとりはありませんが、研究の現場に関わった経験が非常に役立っています。研究者にとって望ましい事業制度やルールはどのようなものか、どのように資金を使えば研究を加速させられるのか、などを、実感を持って考えられるからです。
 文部科学省での勤務経験も活きています。官僚の皆さんに鍛えられ、仕事のスピードやレベルが上がりました。また派遣されていた頃の文部科学省の同僚が、今の担当事業の文部科学省側の担当者になったので、コミュニケーションの点でもスムーズに仕事ができています。

03 これまでの経験を活かして新事業にも取り組む

 未来社会創造事業はJSTの中でも新しく、手探りで進めなければならない部分もあって、課題解決が必要なこともよく起こります。複雑な課題を解きほぐし、シンプルに整理して解決することは自分に向いていると思いますし、課題が出てくるとモチベーションが高まる、という私の性分にも合っているようで、日々楽しんで仕事をしています。また、私は世の中の動きや政治動向などにも関心があるので、それを察知しつつ、仕事をすることにもおもしろさを感じています。
 現部署では新しい事業の構築にも携わっています。部内横断的なプロジェクトチームを作り、議論を重ねている段階ですが、私にとってはこれまでの事業推進と、企画・調整の両方の業務経験を総合的に活かせるチャレンジだと感じています。世の中をあっと言わせるような、そして社会の課題解決につながる成果を生み出す仕組みづくりをしていきたいし、そうした仕組みづくりを楽しいと感じる仲間を増やしたいですね。
 これからも物事を前向きにとらえ、常に新しいことを手がけていきたいと思っています。どのような形にしても、科学技術が世の中とどのようにつながっているかを発信し、伝えられる事業に携われれば嬉しいですね。

9:30 出社、メールチェック。その日のタスクと優先順位を決める。
午前中は資料作成(予算のシミュレーション、新事業の企画など)
11:00 打ち合わせ
12:00 昼食
13:00 資料作成
14:00 文部科学省の担当者からの問い合わせに応対
JSTの他部署に連絡
JSTの同部署の他課からの問い合わせを受ける
15:00 文部科学省を訪問(今後の方針確認などの打ち合わせ)
18:00 退社
※所属部署および掲載内容は取材当時のものです
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