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Research Content 研究内容

ネクローシス抑制剤 IM - 54 の開発

 私たちの身体を構成する細胞は、必要に応じて分化や増殖を行い生体のホメオスタシスを維持しています。一方で近年、受動的な現象と考えられていた細胞の死も厳密に制御され、生命体の維持に必要不可欠な生理的現象であることがわかってきています。中でも「アポトーシス」は細胞が自ら死へと至る能動的な死として注目され、その特徴的な形態変化(細胞の縮小、blebbing、核の凝縮・断片化)と共にその分子機構が詳細に解明されてきました。

 これとは対照的に、「ネクローシス」は細胞が物理的傷害を受けた時などの外因に誘導される受動的・非生理的な死として位置づけられてきました。しかしながら、アルツハイマー病などの神経変性疾患や虚血性疾患(心筋梗塞、脳梗塞)でネクローシスの関与が明らかとなり、ある種のネクローシスでは何らかの誘導機構の存在が推定されてきています。その実体は依然不明のままであり、ネクローシスを抑制する化合物は、そのメカニズム解明の鍵になると考えられます。

 このような背景で、私たちは、生理的な細胞死誘導因子である Fas リガンドや様々な抗ガン剤により誘導されるアポトーシスは阻害せず、酸化ストレスによるネクローシスを特異的に抑制するIM-54の開発に成功しました。現在IM-54を用いて、酸化ストレスによるネクローシスの分子機構を明らかにすることを目指しています。

Mikiko Sodeoka, Kosuke Dodo. Development of Selective Inhibitors of Necrosis, Chem. Rec. 10,308 - 314(2010)

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