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三次元パターンを用いた細胞識別・分離基材
~細胞の性状を維持し、遊走方向を制御する方法~

角南 寛(琉球大学)
横田 育子(北海道大学)

発明のポイント

  • 三次元パターンを用いて、細胞を一方向にのみ遊走
  • 足場表面の弾性を調節することで、細胞の、より硬い表面に運動する「走硬性」を利用
  • × 化学的刺激(要:化学物質、増殖因子、抗体)
  • × 電気的刺激(要:電極の設置、電力の供給)
  • × 温度的刺激(要:熱電素子、ヒートポンプ)

細胞の分化、増殖、機能発現などの性状に影響を与えず、簡便に遊走方向を制御!

発明の概要

◎運動能の高い細胞と低い細胞とを識別・分離する

運動能低い運動能高い
がん細胞正常細胞
iPS細胞分化誘導後の細胞
  • 上矢印:凹部(溝)の中で
  • 下矢印:凸部の三角形の頂点に
  • 引っかかるように細胞伸長

◎細胞の遊走、増殖、分化を制御する

  • 部分的に裏面側から支持することで足場表面の弾性が変化する
  • ⇒集まる細胞数や細胞種別が異なる

<弾性調節方法を用いるメリット>

  • ・あらゆる弾性体に適応可能
  • ・弾性以外の表面物性(親水性・疎水性、電荷など)に影響なし
  • ・弾性率の差を厳密に制御可能
  • ・足場表面の平坦さを維持可能

発明の効果

細胞の軌跡(72時間定点連続観察)

HaCaT細胞
ほぼ動きなし
NIH3T3細胞
右に向かって運動

細胞分離が可能

円形の基材層に支持された硬い表面部分に細胞塊が形成した。

  • 裏面側の基材層の形を工夫することで、望む形やサイズの細胞組織を形成させることが可能

想定される用途

  • ◎ 細胞分離、病理診断
  • ◎ 細胞診断、細胞治療に望まれる安全な細胞の供給
  • ◎ 細胞懸濁液中や生体組織中の各細胞種の存在量、がん細胞の浸潤性の評価
  • ◎ 欠損部や疾患部になじむ配向・配列を持った、再生医療用の細胞シート作製

ライセンス可能な特許

  • 1. 発明の名称:動物細胞の運動方向の制御基材、当該基材を用いた細胞の識別方法及び細胞の分離方法
    国際公開番号:WO2015/068759
    登録番号:特許第6128620号米国9958429
  • 2. 発明の名称:動物細胞用構造体、動物細胞の分離方法及び動物細胞用構造体表面の弾性調節方法
    国際公開番号:WO2015/093472
    登録番号:特許第6226338号米国10513683

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