細胞内標的結合性抗体を細胞内へ送達可能な脂質ナノ粒子
LNP* enabling intracellular delivery of antibody which binds to intracellular targets
川口 祥正(京都大学 化学研究所)
発明のポイント
* LNP : Lipid Nanoparticle(脂質ナノ粒子)
- 従来技術
- ①膜透過ペプチドと抗体との融合分子の使用や、②ナノ粒子への(ポリアニオンを使用しない)抗体の封入
- 従来技術の課題
- 抗体の結合活性や機能性に負の影響を与えるリスク(①)や、エンドソーム脱出の効率性(①、②)
- 発明ポイント
- エンドソーム脱出した抗体の結合活性や機能に影響を与えないポリアニオンとLNPを使用した細胞内送達技術


A(上:抗NPC抗体検出、下:核染色とマージ)
- 細胞内に送達された抗体が
- ・細胞内でも結合活性*を発揮(A)
- ・細胞内で期待通りの活性**を発揮(B)
- することを確認!
- *核膜複合体による核膜構造を可視化
- **Akt阻害によるアポトーシス誘導


発明の概要
抗体とポリグルタミン酸等のポリアニオンを混合し形成された液滴を含むLNPで細胞を処理
↓
LNPに含まれる抗体が効率よく細胞質内に送達
↓
細胞質に送達された抗体が、細胞内の標的分子に結合し機能することを複数の抗体を用いて確認

従来技術との比較・優位性

- ポリEの添加により、
- ・ポリEがない場合よりもカチオン性脂質を含むより小さなLNPの形成が促進された(C)
- ・形成されたLNPによる細胞質への抗体の送達がはるかに効率的だった(D)


想定される用途
- ◎ (Ras等の疾患の原因となる細胞内分子を標的とする)新規抗体医薬へ応用可能な創薬プラットフォーム技術
ライセンス可能な特許
発明の名称:薬物伝達組成物
国際公開番号:WO2024/181580