多様な材料をナノシート化する方法
~超膨潤ラメラ相を利用するナノシート化 『TRAP法』~
内田 幸明(大阪大学 基礎工学科)
発明のポイント
・従来困難だった、様々な材料のナノシート化を温和な条件で実現することができる技術。
- ✔厚み数nmのシート状粒子を安定な分散液で得られる。
- ✔様々な材料に適用可能(ex.金属、無機酸化物、MOF、ゼオライト、ポリマー)
- ✔ナノシート化後も「凝集」「再結合」することなく安定に分散を維持できる。
- ✔特殊な製造装置は不要。
発明の概要
1. 背景
『ナノシート』とは…

- ・ 『厚み』(分子レベル)<< (幅)
- ⇒ アスペクト比 100倍以上
- ・ 比表面積 大
- ⇒ 種々の機能向上期待
- (従来のナノシートの製造方法)
- ・トップダウン法 (ex.層状化合物の剥離)
- ⇔ 適用可能な化合物が限定される。
- ・ボトムアップ法 (ex.CVD法、水熱法)
- ⇔ 専用装置が必要。
- 数十nm以下のナノシートは製造困難。
2. 発明の概要
『超膨潤ラメラ相』を利用したナノシート合成法(TRAP ※法)
- (※Two-dimensional Reactor in Amphiphilic Phases)
- 超膨潤ラメラ相
ラメラ相の二分子膜と、他の二分子膜との間が溶媒層で膨潤された状態

- 紫矢印:『厚み 数nm~10nm』の二分子膜
- 青矢印:溶媒層=「二分子膜間の間隔」100nm以上(数百nm~)
超膨潤ラメラ相を形成する二分子膜(内)を反応場として、目的物のナノシートを合成する。
ナノシートの「厚み」と「広い適用範囲」の両立を実現
3. 適用例




・ゼオライト
2.13 × 528 nm

2.20 × 416 nm

1.49 × 580 nm

2.13 × 219 nm


- ナノシートの形状制御
- 「共界面活性剤」
- 「攪拌速度」
- 「流速」
- 等の因子で調整可能
想定される用途
従来法でナノシート化が困難だった各種材料の性能向上
- ・比表面積増大
- ・凝集防止
- ・安定分散液製造

- ●触媒
- ●多孔質材料
- ●分離・吸着材

- コーティング材料
- 表面処理材料
- 塗料

[各種材料の高機能化]
ライセンス可能な特許
発明の名称:金属有機構造体ナノシートおよびその製造方法
国際公開番号:WO2018/016650
登録番号:特許第6978783号(1.58MB)、米国11389781(2.43MB)