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「スキャンレス」共焦点レーザー顕微鏡

安井 武史(徳島大学)
山本 裕紹(宇都宮大学)

発明のポイント

  • ●光コムの特徴:高精度に制御された広帯域(離散)スペクトルを有する光コムの特徴を利用し、イメージ情報を光コムにスペクトル重畳させることにより、スキャンレスでのイメージ取得が可能。
  • ●共焦点蛍光強度イメージと共焦点蛍光寿命イメージが同時に取得できる。

発明の概要

「スキャンレス」共焦点レーザー顕微鏡を開発

  • ①繰り返し周波数がわずかに異なる二つの光コムパルスを光軸方向に放射する。
  • ②2次元波長分散素子にてパルスを構成するスペクトルがその光周波数(波長)に応じた方向に偏向される。
  • ③対物レンズによりサンプル試料面に2次元焦点スポット群として照射される。
  • ④個々に強度変調周波数の異なる2次元励起スポット群により蛍光が励起される。
  • ⑤その蛍光はフィルタ、ピンホールアレイを経て光検出器に導かれ、電気信号に変換される。
  • ⑥光検出器信号の各変調周波数と各蛍光スポットは一対一で対応しているため、これに基づいて蛍光像を取得する。

従来技術・競合技術との比較・優位性

高速性:

  • ・数十万画素を数十μsecで取得可能(3,000fps相当)
  • ・分散素子の設計により1024×128,4096×64 8192×32の画素構成を採用すれば、高速フローサイトメトリーへの適用も容易

同時並列性:

  • スキャンレスイメージングにより、生命機能を司る細胞応答を同時性を持って観察可

自家蛍光分離性:

  • 蛍光ビート信号と励起光ビート信号の位相遅れより蛍光寿命が算出できるので、蛍光プローブ発光と不要な自家蛍光がスペクトル重畳しても分離できる

想定される用途

<組み込み装置>

共焦点蛍光顕微鏡

  • バイオイメージング機器/臨床検査機器
  • ✔ 血液中のがん細胞検出、高速性が必要な応用
  • ✔ バイオロジーの原理機構解明への理化学機器

蛍光寿命測定装置

  • 材料評価装置
  • ✔ タンパク質の分子解析、脳神経研究
  • ✔ 創薬時のハイスループット材料評価装置

<研究・診断への利用>

細胞診断(病理検査)

  • □ 体の外に出た細胞を検査し、蛍光観察から特定のたんぱく質が存在しているかどうか確認し、がんの種類と進行度を診断
  • □ 肺癌診断(喀痰に出てくる肺細胞)、膀胱癌(尿中の膀胱細胞)の蛍光顕微鏡観察
  • □ 穿刺針により吸引した細胞、内視鏡や手術により取り出した検体細胞の蛍光顕微鏡観察

脳神経研究(カルシウム・膜電位イメージング )

  • □ 神経活動・シナプス活動のダイナミクス観察を可能にする
  •   スキャンレスで蛍光観察の同時観測性が担保されることを活用
  • □ 協調して神経発火を繰り返す多細胞種の同時計測
  •   五感・行動・記憶などの過程を制御する神経細胞活動の測定

ライセンス可能な特許

発明の名称:計測装置及び照射装置
国際公開番号:WO2019/031584(移行国:日本、米国、中国)
登録番号:特許第7079509号米国10837906

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