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有機半導体などの固体のLUMO準位・電子親和力の精密測定

吉田 弘幸(千葉大学)

発明のポイント

低エネルギー逆光電子分光法

有機半導体のLUMO準位・電子親和力測定が世界で初めて可能に原理的に優れている逆光電子分光法を基礎に、従来法の低分解能・有機試料の損傷という課題を低速電子を使うことで解決した。

◆分解能
0.3 eV 従来の2倍以上
◆試料損傷
検出されず(14時間) 従来の100分の1以下
◆光検出が容易
大気中で光検出・石英光学部品の利用

発明の概要

有機太陽電池では、ホールと電子の両方が働くので、価電子帯(HOMO準位、価電子準位)と伝導帯(LUMO準位、空準位)の両方を調べる必要がある。しかし、これまで有機半導体のLUMO準位の有効な測定法がなかった。

従来技術との比較・優位性

多層膜バンドパスフィルターを使うことで、光検出の分解能が、最大7倍まで改善した。装置全体の分解能も、従来の2倍である0.27eVを達成した。

光検出器の分解能

本研究の手法では、14時間の測定でも損傷は見られない。これに対し、従来法では、わずか10分で試料損傷のためスペクトルが変化する。

有機試料の損傷

想定される用途

 有機発光素子、有機太陽電池、有機トランジスタなどの有機エレクトロニクス研究には、ホール伝導をになうHOMO準位と電子伝導をになうLUMO準位の両方についての詳細なエネルギー値が不可欠である。このうち、LUMO準位については、今まで信頼できる測定ができなかった。
 我々が開発した低エネルギー逆光電子分光法は、デバイスと同じ薄膜試料について有機半導体などの固体のLUMO準位と電子親和力を精密測定できる世界で初めての実験手法である。

ライセンス可能な特許

発明の名称:逆光電子分光装置
国際公開番号:WO2015/182641
登録番号:特許第6324501号

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