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熱化学燃料製造用触媒及び熱化学燃料製造方法

山崎 仁丈(九州大学 エネルギー研究教育機構)

発明のポイント

 持続可能なエネルギー社会の実現に向けた鍵は、無尽蔵だが断続的にしか利用できない太陽光をいかに有効に貯蔵し、変換利用するかにある。太陽光燃料の利用において最も効率が高い燃料電池を使用した場合、そこから排出される水や二酸化炭素は太陽光燃料の原料としてリサイクルできるため、水と二酸化炭素を媒体とした持続可能なエネルギーシステムを組むことが可能である。
 熱化学水分解とは水を熱化学的に分解し水素と酸素を製造する方法で、金属酸化物を2段の温度サイクルにさらすことで可能となった。金属酸化物を高温下におくと一部還元されるため金属酸化物から酸素が放出され、酸化物中に酸素空域サイトが導入される。
 ここで温度を急激に下げ水蒸気に曝露すると金属酸化物が水と再酸化し、酸化物中の空域サイトが水分子の酸素で占有され水素が生成する。

発明の概要

 太陽光を利用して、金属酸化物を2段階の温度サイクルにさらす。
 金属酸化物を高温下におくと一部還元されるため金属酸化物から酸素が放出され、酸化物中に酸素空域サイトが導入される。
 ここで温度を急激に下げ水蒸気に曝露すると金属酸化物が水と再酸化し、酸化物中の空域サイトが水分子の酸素で占有され水素が生成する。

熱化学水分解ペロブスカイト触媒AXO3

従来技術との比較・優位性

【従来技術】

非化学両論組成の金属酸化物を用いた太陽光熱化学水分解水素製造は、従来、ホタル石型構造を有するセリアにおいてのみ報告されていた。動作温度は最高1650℃であり、この高温反応が反応容器設計を困難にするとともに、燃料変換効率を低減する原因となっていた。

【本発明】

本発明では、動作温度の低減およびその温度における水素製造量は中間目標として掲げた1500度以下、5モルパーセントを大幅に上回る成果(1400-800℃、9モルパーセント)が得られ、水素製造量は酸化物の還元反応エネルギーによって定量的に規定されることを見いだした。

想定される用途

  • ◎ 太陽(ソーラー)燃料
  • ◎ 廃熱利用による燃料製造
  • ◎ 放射性廃棄物(トリチウム)分離

ライセンス可能な特許

発明の名称:熱化学燃料製造用触媒及び熱化学燃料製造方法
国際公開番号:WO2013/141385(移行国:日本、米国、欧州、中国)
登録番号:特許第5594800号米国9873109

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